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システムアーキテクチャ(性能・信頼性設計・仮想化)

稼働率=MTBF/(MTBF+MTTR)、直列=積・並列=1−(1−A)ⁿの計算を軸に、フェールセーフ/フェールソフト等の設計思想、RAID各レベル、仮想化3方式の違いを正確に使い分けられることが本章攻略の核心である。

本章はIPA「応用情報技術者試験(レベル3)シラバス」のテクノロジ系大分類2「コンピュータシステム」中分類4「システム構成要素」に対応し、午前試験で毎回2〜4問程度が出題される頻出分野である。まず性能評価の指標を正確に区別する。スループットは単位時間当たりに処理できる仕事量、レスポンスタイムは利用者が入力を終えてからシステムが応答を返し始めるまでの時間、ターンアラウンドタイムはジョブの依頼から結果の受け取りが完了するまでの総時間を指す。オンラインシステムではレスポンスタイム、バッチ処理ではターンアラウンドタイムが主要な評価指標となる。性能を客観的に比較するベンチマークとしては、CPU演算性能を測るSPEC(SPECint/SPECfp)、オンライントランザクション処理性能を測るTPC(TPC-Cなど)が代表的である。また、将来の業務量増加を予測してCPU・メモリ・ストレージ等の資源を計画的に手当てする活動をキャパシティプランニングと呼び、シラバスにも明記された用語として出題される。

性能計算の定番が待ち行列理論のM/M/1モデルである。ケンドール記法のM/M/1は、客の到着がポアソン分布(到着間隔が指数分布)、サービス時間が指数分布、窓口が1つであることを表す。中心となる公式は三つで足りる。第一に利用率ρ=到着率λ×平均サービス時間Ts(=λ/μ)。第二に平均待ち時間Wq=ρ/(1−ρ)×Ts。第三に平均応答時間(待ち時間+サービス時間)W=Wq+Ts=Ts/(1−ρ)である。この式から、利用率が50%なら平均待ち時間はサービス時間と同じ、80%なら4倍、90%なら9倍と、ρが1に近づくにつれて待ち時間が急激に増大することが分かる。本試験の午前問題では「利用率が0.5から0.8に上がると平均待ち時間は何倍になるか」のように比を問う形式も繰り返し出題されており、公式の暗記にとどまらず、ρ/(1−ρ)の値を素早く計算できるように訓練しておくことが重要である。

信頼性設計の枠組みはRASIS、すなわちReliability(信頼性)・Availability(可用性)・Serviceability(保守性)・Integrity(保全性)・Security(機密性)の5特性で整理される。定量指標としては、故障と故障の間の平均稼働時間を表すMTBF(Mean Time Between Failures)と、故障してから修復完了までの平均時間を表すMTTR(Mean Time To Repair)を用い、稼働率(アベイラビリティ)=MTBF/(MTBF+MTTR)で求める。これらの信頼性用語はJIS Z 8115(ディペンダビリティ(総合信頼性)用語)に定義がある。複合システムの稼働率は、直列接続なら各装置の稼働率の積、並列接続(どれか1台でも稼働すればよい構成)なら1−Π(1−Ai)、稼働率Aの2台並列なら1−(1−A)²で計算する。MTBFを伸ばす施策が予防保守や部品の品質向上、MTTRを縮める施策が遠隔監視・保守部品の事前配備・モジュール交換化であるという対応関係も午前試験で問われる論点である。

冗長構成の用語は毎回のように出題される。デュアルシステムは2系統で同一処理を並行実行し結果を照合する方式、デュプレックスシステムは主系(現用系)が業務を処理し待機系が控える方式である。待機系の状態により、待機系でも業務システムを起動済みで即時に切り替えられるホットスタンバイ、OSは起動済みだが業務アプリケーションは起動していないウォームスタンバイ、電源投入から始めるコールドスタンバイに分かれ、切替時間とコストのトレードオフとなる。障害時に待機系へ切り替える動作をフェールオーバー、復旧後に元の主系へ戻す動作をフェールバックと呼ぶ。設計思想の用語も厳密に区別する。フォールトアボイダンスは高信頼部品の採用などで故障自体を起こりにくくする考え方、フォールトトレランスは冗長化により故障後も全機能を継続する考え方、フェールソフトは故障箇所を切り離し機能を縮退(フォールバック運転)させてでも継続する考え方、フェールセーフは故障時に信号機が赤で停止するように安全側へ制御する考え方、フールプルーフは利用者の誤操作を想定して異常が生じないようにする設計である。

ストレージの信頼性・性能設計ではRAIDが中核である。RAID0は複数ディスクへのストライピングで高速化を図るが冗長性はなく、1台の故障で全データを失う。RAID1はミラーリングにより耐障害性を高めるが、実効容量は総容量の半分になる。RAID5はパリティ情報を全ディスクに分散して記録し、n台構成で(n−1)台分の実効容量を確保しつつ1台の故障までデータを復元できる。RAID6は2種類のパリティを持ち2台の同時故障に耐える。RAID1+0(RAID10)はミラーの組をストライピングして性能と冗長性を両立する。ストレージの接続形態は、サーバに直結され原則そのサーバからのみ使うDAS、TCP/IPネットワーク経由でNFSやSMBによりファイル単位のアクセスを提供するNAS、ファイバチャネルやiSCSIの専用ネットワーク経由でブロック単位のアクセスを提供するSANの3形態を区別する。午後試験のシステムアーキテクチャ分野でも、RAID構成の実効容量計算や障害耐性の判断は記述問題の題材となる。

仮想化はシラバスに「仮想化(サーバ仮想化、VDI、コンテナ型仮想化ほか)」と明記された重点項目である。サーバ仮想化には、ホストOS上の仮想化ソフトウェアで仮想マシンを動かすホスト型、ハードウェア上で直接ハイパーバイザを動作させるハイパーバイザ型(ベアメタル型)、ゲストOSを持たずホストOSのカーネルを共有して隔離された実行環境を作るコンテナ型の3方式があり、コンテナ型は起動が速くオーバーヘッドが小さい点が特徴である(実装はDocker、オーケストレーションはKubernetesが代表)。稼働中の仮想マシンを停止させずに別の物理サーバへ移動させる技術をライブマイグレーションと呼び、物理サーバの保守や負荷の平準化に用いる。このほか、デスクトップ環境をサーバ側で集中実行するVDI、物理容量を超える論理容量を見かけ上割り当てて利用効率を高めるシンプロビジョニングも頻出である。処理能力の増強策としては、1台の性能を高めるスケールアップと台数を増やすスケールアウトを区別し、スケールアウトが仮想化・クラウドと親和性が高いことを押さえておく。

この章の問題から3問

RAID5は、パリティ情報を特定の1台に集中させず全ディスクに分散して記録する方式であり、構成ディスクのうち1台が故障してもデータを復元できるが、2台が同時に故障した場合には復元できない。

正解 ○(正しい)

正しい。RAID5は分散パリティにより1台の故障までデータを復元できる(n台構成で実効容量は(n−1)台分)。ひっかけは「2台同時故障」の部分で、2台の同時故障に耐えるのは2種類のパリティを持つRAID6である。RAID5とRAID6の耐障害台数の違いは午前試験の定番論点(IPA応用情報シラバス「システム構成要素—信頼性設計」)。

デュプレックスシステムのホットスタンバイ方式では、待機系は通常時は電源を切った状態で保管されており、主系に障害が発生した時点で電源を投入して業務を引き継ぐ。

正解 ×(誤り)

誤り。記述内容はコールドスタンバイの説明である。ホットスタンバイは待機系でも業務システムを起動・同期済みの状態で待機させ、障害時に即時フェールオーバーできる方式。切替時間は ホット<ウォーム<コールド、コストはその逆という対応関係で覚える(IPAシラバス「システム構成—冗長構成」)。待機方法の取り違えを狙ったひっかけである。

フェールソフトとは、システムの一部に障害が発生した際に、故障箇所を切り離して性能や機能を縮退させながらも運転を継続する設計思想であり、この縮退運転をフォールバックと呼ぶ。

正解 ○(正しい)

正しい。フェールソフトは全面停止を避け、縮退運転(フォールバック)で処理を継続する考え方である。ひっかけどころは「フェールセーフ(故障時に安全側へ制御する思想)」との混同で、両者は毎回のように選択肢に並べて出題される。信頼性関連の設計思想の用語体系はJIS Z 8115(ディペンダビリティ用語)およびIPAシラバス「信頼性設計」に基づく。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。