コンピュータ構成要素とシステム構成(性能計算・稼働率)
稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)、直列は積・並列は1−(1−A)^n、実効アクセス時間とMIPSの計算を反射で解ける水準にし、デュアル/デュプレックスと信頼性設計4用語の区別を固めることが本章攻略の核心である。
コンピュータの処理性能を測る基本は、クロック周波数・CPI・MIPSの三つの指標である。クロック周波数はプロセッサが1秒間に刻む同期信号の回数であり、2GHzなら1秒間に20億回、1クロックの周期は0.5ナノ秒となる。CPI(Cycles Per Instruction)は1命令の実行に要する平均クロック数であり、命令1個の平均実行時間は「CPI÷クロック周波数」で求められる。MIPS(Million Instructions Per Second)は1秒間に実行できる命令数を百万(10の6乗)単位で表した指標で、「クロック周波数÷CPI÷10の6乗」で計算できる。例えばクロック周波数2GHz・CPI4のプロセッサは、2×10の9乗÷4=5×10の8乗命令/秒、すなわち500MIPSである。IPAの基本情報技術者試験シラバス(テクノロジ系大分類2「コンピュータシステム」・中分類3「コンピュータ構成要素」)に明記された論点であり、科目AではMIPSから1命令の平均実行時間を逆算させる形でも問われるため、ギガ=10の9乗・ナノ=10のマイナス9乗の単位換算を含めて双方向に計算できるようにしておくべきである。
記憶装置は、レジスタ・キャッシュメモリ・主記憶・補助記憶の順にアクセスは遅く容量は大きくなる階層構造を成す。キャッシュメモリはCPUと主記憶の速度差を埋める高速なSRAMであり、プログラムの参照の局所性(時間的局所性・空間的局所性)を利用して平均アクセス時間を短縮する。頻出の計算が実効アクセス時間であり、「ヒット率×キャッシュのアクセス時間+(1−ヒット率)×主記憶のアクセス時間」で求める。例えばキャッシュ10ナノ秒・主記憶60ナノ秒・ヒット率90%なら、0.9×10+0.1×60=15ナノ秒である。書き込み方式には、キャッシュと主記憶の両方へ同時に書き込むライトスルー方式と、いったんキャッシュだけに書き込み追い出し時に主記憶へ書き戻すライトバック方式があり、前者は一貫性の維持が容易、後者は高速だが制御が複雑という対比で出題される。また主記憶を複数のバンクに分けて並行アクセスし実効速度を上げるメモリインタリーブも、科目Aの定番用語として公式シラバスに挙げられている。
システム構成方式では、デュアルシステムとデュプレックスシステムの区別が最頻出である。デュアルシステムは同一の処理を2系統で並行実行し、結果を照合(クロスチェック)しながら処理を進める構成で、信頼性は極めて高いがコストも高い。デュプレックスシステムは主系(現用系)がオンライン処理を行い、従系(待機系)は障害時に処理を引き継ぐ構成である。待機系の状態により、同じ業務システムを起動しておき即時に切り替えられるホットスタンバイと、待機系では別業務(バッチ処理等)を実行しておき障害時に切り替えるコールドスタンバイに分類され、IPA過去問では待機系の使い方から方式名を答えさせる形式が繰り返し出題されている。さらに複数のコンピュータを連携させて1台のように見せるクラスタリング、負荷分散装置(ロードバランサ)で処理を複数サーバへ振り分ける構成、処理能力向上策としてのスケールアップ(装置の増強)とスケールアウト(台数の追加)の対比、シンクライアントシステムや仮想化(サーバ仮想化・VDI)も公式シラバスに列挙された本章の用語である。
信頼性設計の用語は、JIS Z 8115(ディペンダビリティ(総合信頼性)用語)にも整理された概念であり、取り違えを誘う出題が多い。フォールトトレランスは構成要素を冗長化し故障が発生しても機能を維持する設計、フェールセーフは故障時にシステムを安全側に制御する設計(例: 信号機の故障時は赤を表示)、フェールソフトは故障部分を切り離し性能を落としてでも運転を継続する設計(縮退運転・フォールバック)、フールプルーフは利用者の誤操作を想定し誤りが起きても危険が生じないようにする設計である。補助記憶の冗長化技術であるRAIDも頻出であり、RAID0はストライピングにより高速化するが冗長性はなく、RAID1はミラーリングにより同一データを2台に書き込み、RAID5はパリティ情報を全ディスクに分散記録して1台の故障までデータを復元でき(パリティを専用ディスクに集中させるのはRAID4)、RAID6は二重のパリティで2台の同時故障に耐える。必要な最小台数や実効容量(RAID5はn台中n−1台分)まで踏み込んで問われる。
稼働率(アベイラビリティ)はこの章の最重要計算である。定義は「稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)」であり、MTBF(Mean Time Between Failures: 平均故障間隔)は修復後から次の故障までの平均動作時間、MTTR(Mean Time To Repair: 平均修復時間)は修理に要する平均時間である。MTBFを伸ばす施策が予防保全、MTTRを縮める施策が遠隔保守・部品の事前配備などと結び付けて問われる。複数装置の合成では、直列接続(全装置が稼働しないとシステムが稼働しない)は各稼働率の積A1×A2で単体より低くなり、並列接続(1台でも稼働すればよい)は全装置が同時に故障する確率を1から引いた「1−(1−A)のn乗」で単体より高くなる。例えば稼働率0.9の装置2台では、直列は0.81、並列は1−0.1×0.1=0.99となる。直列と並列が混在する構成は、並列部分を先に一つの装置とみなして合成するのが定石である。故障率の時間変化を表すバスタブ曲線(初期故障期・偶発故障期・摩耗故障期)も併せて押さえておく。
性能・信頼性の評価指標も整理しておく。スループットは単位時間当たりに処理できる仕事量、レスポンスタイムは処理要求の入力を終えてから応答が返り始めるまでの時間、ターンアラウンドタイムは依頼を出してから結果の出力が完了するまでの時間であり、両者の測定区間の違いが選択肢の入れ替えで問われる。性能測定には対象業務を模した標準プログラムで比較するベンチマークテスト(SPECint等)を用い、将来の負荷増加を見込んで資源を計画するキャパシティプランニングも公式シラバス用語である。試験対策上は、2023年4月開始の新試験方式(通年CBT・科目A: 四肢択一60問90分+科目B: 20問100分・IRTに基づく採点で各1,000点満点中600点以上が合格基準)において、本章はテクノロジ系の科目Aで毎回複数問出題される得点源である。計算問題は公式が3〜4本に限られパターンが固定的であるため、稼働率・実効アクセス時間・MIPSの計算を過去問で反復し、反射的に解ける水準に仕上げることが合格への近道である。
この章の問題から3問
MIPSは、プロセッサが1秒間に実行できる命令数を百万(10の6乗)単位で表した性能指標である。
正解 ○(正しい)
正しい。MIPS=Million Instructions Per Secondであり、クロック周波数÷CPI÷10の6乗で求められる(IPA基本情報技術者試験シラバス・中分類3「コンピュータ構成要素」)。ひっかけとして「1命令の平均実行時間そのものを表す」とする誤記述が出るが、実行時間はMIPSの逆数(1÷(MIPS×10の6乗)秒)の関係である点に注意。
デュアルシステムとは、主系(現用系)がオンライン処理を行い、待機系が主系の障害発生時に処理を引き継ぐシステム構成である。
正解 ×(誤り)
誤り。設問の記述は主系・待機系を切り替えるデュプレックスシステムの説明である。デュアルシステムは2つの系統で同一の処理を並行実行し、結果を相互に照合(クロスチェック)しながら処理を進める構成で、名前の類似を利用した入れ替えがIPA過去問の定番のひっかけである(公式シラバス・中分類4「システム構成要素」)。
同じ稼働率の装置を並列に接続して多重化すると、システム全体の稼働率は装置単体の稼働率よりも低くなる。
正解 ×(誤り)
誤り。並列接続(1台でも稼働すればシステム稼働)の稼働率は1−(1−A)のn乗で求められ、単体より必ず高くなる。例えば稼働率0.9の装置2台の並列では1−0.1×0.1=0.99。単体より低くなるのは直列接続(積で合成、0.9×0.9=0.81)であり、直列と並列の効果を逆にしたひっかけである(公式シラバス「システムの信頼性設計・信頼性評価」)。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。