基礎法学・憲法
憲法は判例学習が得点の核心。人権は判例の結論と理由付け(目的効果基準・規制目的二分論・間接適用説)、統治は条文の数字と衆議院の優越の異同を正確に暗記することが合格への最短経路である。
基礎法学では、法の分類と法の効力に関する原則が繰り返し出題されている。まず成文法(制定法)と不文法(慣習法・判例法・条理)の区別、公法と私法、実体法と手続法、一般法と特別法の区別を正確に押さえる。特別法は一般法に優先する(特別法優先の原則)、後法は前法を破る(後法優先の原則)、上位法は下位法に優先する、という法の適用順序の三原則は択一の定番である。また法の解釈手法として、文理解釈・論理解釈(拡張解釈・縮小解釈・反対解釈・類推解釈・勿論解釈)の区別が問われる。刑罰法規については罪刑法定主義(憲法31条・39条)から類推解釈が禁止される点が重要なひっかけとなる。法の効力発生については、法の適用に関する通則法2条により、法律は公布の日から起算して20日を経過した日から施行されるのが原則(施行期日の定めがある場合を除く)である点も出題実績がある。
憲法総論では、憲法の最高法規性(98条1項)と憲法尊重擁護義務(99条)が頻出である。99条の義務の名宛人は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」であり、国民が列挙されていない点が定番のひっかけである。また硬性憲法としての改正手続(96条)は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を要する。天皇の国事行為(6条・7条)はすべて内閣の助言と承認を要し(3条)、内閣がその責任を負う。前文の裁判規範性、憲法の私人間効力については三菱樹脂事件(最大判昭和48年12月12日)が間接適用説に立ち、憲法19条・14条は私人相互の関係を直接規律しないと判示した点が最重要判例である。
人権総論では、外国人の人権享有主体性に関するマクリーン事件(最大判昭和53年10月4日)が最頻出である。同判決は、基本的人権の保障は権利の性質上日本国民のみを対象とするものを除き外国人にも及ぶとしつつ、政治活動の自由も在留制度の枠内で保障されるにとどまり、在留期間更新の際に消極的事情として斟酌されることは違法でないとした。法人の人権では八幡製鉄政治献金事件(最大判昭和45年6月24日)が、会社にも性質上可能な限り人権規定が適用され、政治資金の寄附の自由を有すると判示した。公務員の人権制限では猿払事件(最大判昭和49年11月6日)が国家公務員の政治的行為の禁止を合憲とし、在監者(被収容者)についてはよど号ハイジャック記事抹消事件(最大判昭和58年6月22日)が新聞記事の閲読制限を一定の要件下で認めた。
精神的自由権は配点・出題数ともに最大の山である。思想良心の自由(19条)では謝罪広告事件(最大判昭和31年7月4日)、信教の自由(20条)では政教分離に関する津地鎮祭事件(最大判昭和52年7月13日)が目的効果基準を採用し地鎮祭を合憲とした一方、愛媛玉串料事件(最大判平成9年4月2日)は県の玉串料支出を違憲と判断した。空知太神社事件(最大判平成22年1月20日)は市有地の無償提供を89条・20条1項後段に違反するとした。表現の自由(21条)では、検閲の絶対的禁止(21条2項)につき税関検査事件(最大判昭和59年12月12日)が検閲を「行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止すること」と定義し、税関検査は検閲に当たらないとした。「網羅的一般的に」「その全部又は一部の発表の禁止を目的として」という要素は正誤判定の分かれ目になる頻出論点であり、定義は一言一句正確に押さえる。北方ジャーナル事件(最大判昭和61年6月11日)は裁判所による事前差止めを厳格な要件の下で認めた。
経済的自由権では、職業選択の自由(22条1項)に関する規制目的二分論が核心である。小売市場事件(最大判昭和47年11月22日)は積極目的規制につき明白性の原則を採用して合憲とし、薬事法距離制限事件(最大判昭和50年4月30日)は薬局の適正配置規制を消極目的規制と位置づけ、より緩やかな規制手段で目的を達成できるとして違憲と判断した。財産権(29条)では森林法共有林事件(最大判昭和62年4月22日)が分割請求制限を違憲とし、損失補償(29条3項)については、法令に補償規定がなくても直接同項を根拠に補償請求する余地を認めた河川附近地制限令事件(最大判昭和43年11月27日)が重要である。人身の自由では31条の適正手続が行政手続にも及びうるとした成田新法事件(最大判平成4年7月1日)を押さえる。
統治機構では国会・内閣・裁判所の権限配分が問われる。国会は「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関」(41条)であり、衆議院の優越は、法律案(59条・出席議員の3分の2以上で再可決)、予算(60条)、条約承認(61条)、内閣総理大臣の指名(67条)で内容が異なる。予算・条約・首相指名では両院協議会が必須だが、法律案では任意である点がひっかけの定番。国会議員の特権として歳費受領権(49条)、不逮捕特権(50条・会期中のみ、院外での現行犯逮捕は例外)、免責特権(51条・演説、討論又は表決について院外で責任を問われない)がある。内閣については、内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名され(67条)、国務大臣の過半数は国会議員でなければならず(68条)、衆議院の内閣不信任決議(69条)に対し内閣は10日以内に衆議院を解散するか総辞職する。
司法権については、裁判所法3条の「法律上の争訟」の意義と司法権の限界が頻出である。具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって法令の適用により終局的に解決できるものが法律上の争訟であり、国家試験の合否判定(最判昭和41年2月8日)や宗教上の教義に関する判断が前提となる紛争(板まんだら事件・最判昭和56年4月7日)は司法審査の対象外とされた。統治行為論については苫米地事件(最大判昭和35年6月8日)が衆議院解散の効力を司法審査の対象外とした。違憲審査権(81条)は付随的違憲審査制であり、警察予備隊違憲訴訟(最大判昭和27年10月8日)は抽象的違憲審査を否定した。裁判官の身分保障として、罷免は心身の故障・公の弾劾・国民審査(最高裁裁判官のみ)に限られ、行政機関による懲戒は禁止される(78条)。地方自治では「地方自治の本旨」(92条)が住民自治と団体自治を意味することも基本論点である。
この章の問題から3問
憲法99条の憲法尊重擁護義務の名宛人には、天皇・国務大臣・国会議員・裁判官その他の公務員のほか、国民も含まれる。
正解 ×(誤り)
憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定め、国民は列挙されていない。国民を含めるひっかけが定番。
特別法と一般法が抵触する場合、一般法が特別法に優先して適用される。
正解 ×(誤り)
誤り。「特別法は一般法に優先する」(特別法優先の原則)が正しく、本問は優先関係を逆にしたひっかけ。この原則自体を直接定めた一般条文はないが、法令上の現れとして商法1条が分かりやすい。商法1条1項は、商人の営業・商行為等については他の法律に特別の定めがあるものを除くほか商法によるとし、同条2項は、商事に関し商法に定めがない場合には商慣習に従い、商慣習がないときに民法の定めるところによる、と定める。つまり商事については特別法である商法が一般法である民法に先立って適用され、民法は商法(および商慣習)に定めがない場合の補充として働く。したがって「一般法が特別法に優先する」とする本問は誤り。
最高裁判所は、税関検査事件(最大判昭和59年12月12日)において、税関検査は憲法21条2項が絶対的に禁止する「検閲」には当たらないと判示した。
正解 ○(正しい)
同判決は検閲を「行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止すること」と狭く定義し、輸入品は既に国外で発表済みであること等から税関検査は検閲に当たらないとした。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。