ITILの4つの側面と従うべき原則
4つの側面(組織と人材/情報と技術/パートナとサプライヤ/バリューストリームとプロセス)はSVS全体に適用され、7つの従うべき原則は普遍的・永続的で相互に作用する——名称と定義の正確な対応付けが本章攻略の鍵である。
ITIL 4は、サービスマネジメントへの全体論的アプローチを保証するために「サービスマネジメントの4つの側面」を定義している。すなわち(1)組織と人材、(2)情報と技術、(3)パートナとサプライヤ、(4)バリューストリームとプロセスである(公式書籍『ITIL Foundation: ITIL 4 Edition』第3章)。この4つの側面は、サービスバリュー・システム(SVS)全体と、管理対象のすべてのサービスに適用される。公式書籍は、いずれか一つの側面への対処を怠れば、サービスの品質低下や効率悪化を招き得ると明記しており、4側面をバランスよく考慮することが不可欠である。さらに4つの側面は、政治・経済・社会・技術・法律・環境という6つの外部要因(PESTLE)の影響を受ける。本試験(CBT・四肢択一40問・26問=65%で合格)では「4つの側面に含まれないものはどれか」という除外形式が頻出するため、SVSの構成要素(ガバナンス等)と混同しないよう名称の正確な暗記が必須である。
第1の側面「組織と人材」は、価値の創出に関わる人と組織のあり方を扱う。対象には、公式な組織構造と指揮・報告系統、組織文化、必要な人員配置と力量(コンピテンシー)、役割と責任、権限のレベルなどが含まれる。ITIL 4は、組織のあらゆる階層の人々が組織のビジョンと自らの貢献との結び付きを理解し、共通の価値観のもとで協働することを重視する。信頼と透明性に基づく文化を醸成し、リーダー自身が組織の価値観を体現する存在(チャンピオン)として振る舞うことが求められる。また、専門化が進むほど部門間のサイロが生じやすいため、各人が幅広い一般知識と深い専門知識を併せ持ち、コミュニケーションと協働を促進することが重要とされる。試験では「組織構造や組織文化を扱う側面はどれか」という直接的な設問のほか、人材を単なる資源ではなく価値共創の中心として捉える観点が問われる。
第2の側面「情報と技術」は、サービスマネジメントに必要となる情報と知識、および要求される技術を扱う。多くのITサービスでは情報の管理こそが顧客に価値をもたらす主要な手段であり、サービスが創出・管理する情報の可用性・信頼性・アクセス性が価値の認識を左右する。情報管理においては、機密性・完全性・可用性の要件に加え、GDPR(EU一般データ保護規則)のような情報関連の法規制への準拠が課題となることが公式書籍で例示されている。技術面では、クラウドコンピューティング、機械学習・人工知能(AI)、ブロックチェーンといった新技術がサービスマネジメントの可能性を拡張しているとされ、新技術の採用にあたっては、組織の文化や事業の性質と両立するかを問うことが推奨される。試験では「サービスの提供に必要な情報・知識・技術を扱う側面はどれか」という形式で出題される。
第3の側面「パートナとサプライヤ」は、サービスの設計・開発・展開・提供・サポート・継続的改善に関与する、他の組織との関係性を扱う。あらゆる組織とサービスは程度の差こそあれ他組織に依存しており、その関係は物品供給型の正式な契約から、目標とリスクを共有する戦略的パートナーシップまで幅がある。組織のサプライヤ戦略に影響する要因として、公式書籍は戦略的重点、企業文化、リソースの不足、コストに関する懸念、対象領域の専門知識、外部からの制約(規制等)、需要パターンを挙げる。また、複数のサプライヤからのサービスを統合し一元的に管理する手法として、サービスインテグレーションとマネジメント(SIAM)への言及がある点も押さえたい。試験では「契約やその他の合意に基づく他組織との関係を扱う側面はどれか」という定番問題として出題される。
第4の側面「バリューストリームとプロセス」は、組織の諸活動が価値の創出に向けてどのように組織化され、連携するかを扱う。バリューストリームは「製品およびサービスの創出と提供のために組織が実施する一連のステップ」と定義され、これを構造化することで無駄な作業の特定・排除と、価値を生む活動の増強が可能になる。一方、プロセスは「目標の達成に向けて、インプットをアウトプットへと変換する、相互に関連または作用する一連の活動」と定義される。両者の定義の対応関係は最頻出論点の一つであり、バリューストリームが「価値の創出と提供までの流れ」に、プロセスが「インプットからアウトプットへの変換」に焦点を当てる点を明確に区別して記憶する必要がある。この側面は、SVSの中核であるサービスバリュー・チェーンの活動を、具体的な業務の流れへ落とし込む際の設計図として機能する。
「従うべき原則(ガイディング・プリンシプル)」は、「あらゆる状況下で組織の指針となる推奨事項であり、組織の目標、戦略、作業の種類、管理構造が変化しても左右されない、普遍的かつ永続的なもの」と定義される(同書4.3節)。ITIL 4が掲げる原則は7つ、すなわち(1)価値に着目する、(2)現状からはじめる、(3)フィードバックをもとに反復して進化する、(4)協働し、可視性を高める、(5)包括的に考え、取り組む、(6)シンプルにし、実践する、(7)最適化し、自動化する、である。原則は、組織がITILのアプローチを採用し自組織の状況に適応させる際の中核となり、リーン、アジャイル、DevOpsなど他のフレームワークの考え方とも整合する。重要なのは、原則が相互に作用し依存し合うため、一部だけを選んで適用するのではなく、個々の状況ごとにすべての原則の関連性を検討すべきという点である。公式シラバスは7原則の理解を独立した学習成果(出題領域)として指定している。
各原則の要点は以下のとおりである。「価値に着目する」は、組織のあらゆる活動を利害関係者にとっての価値へ直接的・間接的に結び付けることを求め、顧客体験(CX)・ユーザ体験(UX)の把握を含む。「現状からはじめる」は、既存のものをゼロから作り直すのではなく、現状を直接観察・測定した上で再利用できるものを活かすことを説く。「フィードバックをもとに反復して進化する」は、作業を小さく管理可能な単位に分け、反復のたびにフィードバックループを回すことを推奨する。「協働し、可視性を高める」はサイロの排除と、適切な相手との協働および作業・進捗の可視化による信頼の構築を求め、「包括的に考え、取り組む」はサービスをエンド・ツー・エンドの全体として捉えることを求める。「シンプルにし、実践する」は価値を生まないステップの排除と最少ステップでの目標達成を、「最適化し、自動化する」は自動化に先立ちまず最適化を行うことを求める。原則名と説明文の対応を問う問題が最頻出であるため、キーワードで即答できるよう訓練されたい。
この章の問題から3問
ITIL 4における「サービスマネジメントの4つの側面」の一つに「ガバナンス」が含まれる。
正解 ×(誤り)
誤り。4つの側面は「組織と人材」「情報と技術」「パートナとサプライヤ」「バリューストリームとプロセス」である(『ITIL Foundation: ITIL 4 Edition』第3章)。ガバナンスはSVS(サービスバリュー・システム)の構成要素(従うべき原則/ガバナンス/サービスバリュー・チェーン/プラクティス/継続的改善)の一つであり、SVS構成要素と4つの側面を混同させるのが本試験の定番のひっかけである。
従うべき原則は普遍的かつ永続的な推奨事項であり、組織の目標や戦略、作業の種類が変化しても適用できる。
正解 ○(正しい)
正しい。従うべき原則は「あらゆる状況下で組織の指針となる推奨事項であり、組織の目標、戦略、作業の種類、管理構造の変更によっても左右されない」と定義される(同書4.3節)。「状況が変われば適用できない」と逆に述べさせるひっかけが出題されるため、「普遍的(universal)」「永続的(enduring)」という2つのキーワードで判定する。
「最適化し、自動化する」の原則によれば、非効率な作業であってもまず自動化し、効率化はその後に行うのがよい。
正解 ×(誤り)
誤り。順序が逆である。同原則(同書4.3.7節)は、自動化に先立ちまず最適化(対象を可能な限り効果的・有用な状態にすること)を行うべきとする。非効率なプロセスをそのまま自動化すると、非効率が固定化・増幅されるためである。正誤問題では手順の順序を入れ替えるひっかけが典型パターンとして出題される。
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ITIL 4 ファンデーションの他の章
- サービスマネジメントの主要概念(価値・サービス関係)
- サービスバリューシステム(SVS)とバリューチェーン
- 一般的マネジメントプラクティス(継続的改善ほか)
- サービスマネジメントプラクティス① インシデント・問題・変更
- サービスマネジメントプラクティス② サービスデスク・SLM・展開
本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。