経営戦略とシステム戦略
SWOT・PPMの分析手法、BSC・CSF・KGI/KPIの目標体系、クラウドのSaaS/PaaS/IaaS区分、調達のRFI→RFPの順序が最頻出であり、類似用語の定義を正確に区別できることが合否を分ける。
経営戦略とは、企業が競争優位を確立するための中長期的な方針である。本試験で最頻出の分析手法がSWOT分析であり、自社の内部環境を強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境を機会(Opportunity)と脅威(Threat)に整理する。内部と外部の対応関係を入れ替えるひっかけが繰り返し出題されている。次にPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)は、市場成長率と市場占有率の2軸で事業を「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」に分類し、経営資源の配分を決める手法である。金のなる木は成長率が低く占有率が高い事業であり、投資を抑えて資金を回収する位置づけとなる。このほか、他社が模倣困難な自社の中核能力を指すコアコンピタンス、企業の合併・買収であるM&A、業務提携(アライアンス)、ポーターの3つの基本戦略(コストリーダーシップ・差別化・集中)も、IPA公式シラバスの「経営戦略手法」に挙げられた定義を正確に押さえるべき論点である。
マーケティング分野では、市場を細分化し(セグメンテーション)、狙う市場を定め(ターゲティング)、自社の立ち位置を明確化する(ポジショニング)というSTPの流れを理解する。施策立案の枠組みが4Pであり、製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・プロモーション(Promotion)の売り手視点4要素からなる。これを買い手視点で捉え直したものが4C(顧客価値・顧客コスト・利便性・コミュニケーション)である。製品が導入期・成長期・成熟期・衰退期をたどるとするプロダクトライフサイクル理論では、各期に応じた投資・撤退の判断が問われる。顧客分析では、最終購買日(Recency)・購買頻度(Frequency)・購買金額(Monetary)で顧客を格付けするRFM分析が代表的である。さらに顧客関係を統合管理するCRM、営業活動を支援するSFA、実店舗とECなど複数チャネルを統合するオムニチャネル、需給に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングも出題実績のある用語である。
経営目標の設定と評価では、バランススコアカード(BSC)が中心論点である。BSCは財務の視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点の4つの視点で戦略を体系化し、財務指標に偏らない業績評価を可能にする。目標管理の用語として、経営目標の達成に決定的な影響を与える要因をCSF(重要成功要因)、最終目標の達成度を測る指標をKGI(重要目標達成指標)、その達成に至る中間プロセスの状況を測る指標をKPI(重要業績評価指標)と呼び、KGIとKPIの取り違えを狙う出題が多い。経営管理システムでは、財務・人事・生産・販売など企業の基幹業務を統合管理するERP、調達から販売までの供給連鎖全体を最適化するSCM、個人の知識やノウハウを組織全体で共有・活用するナレッジマネジメントが頻出である。また、制約条件(ボトルネック)に着目して部分最適でなく全体最適を図るTOC(制約理論)も公式シラバスに含まれる用語である。
技術開発戦略(MOT:技術経営)は、技術に立脚した事業を営む企業が技術投資を収益につなげる経営の考え方である。研究開発を事業化・産業化へ進める過程には三つの障壁があり、研究から開発への障壁を「魔の川」、開発から事業化への障壁を「死の谷」、事業化した製品が市場競争を生き残る障壁を「ダーウィンの海」と呼ぶ。段階の対応関係を入れ替えた誤答が定番のひっかけである。また、既存製品の改良に注力する優良企業ほど破壊的イノベーションに対応できず市場地位を失う現象を「イノベーションのジレンマ」という。自社単独ではなく外部の技術や知識を取り込むオープンイノベーション、将来の技術動向を時間軸上に示す技術ロードマップ、利用者視点で試作と検証を繰り返すデザイン思考、必要最小限の製品(MVP)で仮説検証を繰り返すリーンスタートアップ、本格導入前に技術的な実現可能性や効果を検証するPoC(概念実証)、APIの公開を通じて他社と価値を共創するAPIエコノミーも近年の出題テーマである。
システム戦略の出発点は、情報システム戦略を経営戦略と整合させて策定することであり、その全体最適化の枠組みがEA(エンタープライズアーキテクチャ)である。EAはビジネス・データ・アプリケーション・テクノロジの4つの体系で現状(As-Is)とあるべき姿(To-Be)を整理する。業務プロセスの改善手法としては、業務プロセスを抜本的に再設計するBPR、継続的に改善サイクルを回すBPM、業務を外部の専門企業に委託するBPO、定型的な事務作業をソフトウェアのロボットで自動化するRPAを、それぞれ区別して覚える必要がある。クラウドコンピューティングでは、アプリケーションソフトウェアを提供するSaaS、アプリケーションの開発・実行基盤を提供するPaaS、サーバや記憶装置などの基盤を提供するIaaS、仮想デスクトップ環境を提供するDaaSの区分が最頻出である。加えて、記録のためのシステムSoRと顧客とのつながりのためのシステムSoE、データとデジタル技術で製品・サービスやビジネスモデルを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)も押さえておく。
システム企画のプロセスは、システム化構想の立案、システム化計画の立案、要件定義、調達の順に進む。要件定義では、業務上実現すべき業務要件を明確にしたうえで、システムが備えるべき機能要件と、性能・信頼性・セキュリティなどの非機能要件に整理し、利害関係者(ステークホルダ)間で合意を形成する。調達の流れは出題頻度が特に高く、まずRFI(情報提供依頼書)でベンダーに技術動向や製品情報の提供を依頼し、次にRFP(提案依頼書)で調達対象や調達条件を示して具体的なシステム提案を依頼する。ベンダーは提案書と見積書を提出し、発注側は選定基準に基づいて調達先を決定し契約を締結する。RFIとRFPの目的や発行順序を入れ替えるのが典型的なひっかけである。このほか、環境負荷の小さい製品や環境に配慮した事業者から優先的に調達するグリーン調達(背景法令は「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」=グリーン購入法)も調達分野の周辺論点として出題実績がある。
この章の問題から3問
SWOT分析では、強みと弱みを外部環境の要因として、機会と脅威を内部環境の要因として整理する。
正解 ×(誤り)
対応関係が逆である。IPA公式シラバス(ストラテジ系・経営戦略手法)のとおり、強み(Strength)・弱み(Weakness)は自社の内部環境要因、機会(Opportunity)・脅威(Threat)は市場・競合など外部環境要因に分類する。本問は内部と外部を入れ替えた定番のひっかけである。
情報システムの調達において、RFI(情報提供依頼書)は一般に、RFP(提案依頼書)を発行するより前の段階でベンダーに交付される。
正解 ○(正しい)
正しい。調達の標準的な流れは、RFIでベンダーから技術動向・製品情報などの情報を収集し、その結果を踏まえてRFPで具体的なシステム提案を依頼する順序である(公式シラバス「調達計画・実施」)。RFIとRFPの順序を逆にした誤り文が頻出するため、I(Information=情報収集が先)→P(Proposal=提案依頼が後)と押さえる。
PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)において「花形」に分類される事業は、市場成長率と市場占有率がともに高く、シェア維持のために継続的な投資が必要である。
正解 ○(正しい)
正しい。PPM(ボストンコンサルティンググループが提唱)では、市場成長率・市場占有率がともに高い事業が「花形」であり、成長市場での競争が激しいため資金流入も大きいが投資も継続して必要になる。「金のなる木」(成長率低・占有率高=投資を抑え資金回収)との混同を狙う出題が多い。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。