コンピュータシステムとネットワーク
信頼性設計(フェールセーフ等)・稼働率計算・RAIDの区別と、TCP/IP各プロトコル(DNS/DHCP/NAPT等)の機能対応、bps換算の伝送時間計算が本章の得点源であり、類似用語の混同を潰せば確実に得点できる。
コンピュータシステムの処理形態は、1台のホストコンピュータに処理を集中させる集中処理と、複数のコンピュータに処理を分担させる分散処理に大別される。分散処理の代表がクライアントサーバシステムであり、サービスを要求するクライアントと提供するサーバで役割を分担する。対等な端末同士が直接通信するピアツーピア(P2P)も出題される。近年の本試験では仮想化とクラウドが頻出であり、1台の物理サーバ上で複数の仮想サーバを動作させるサーバ仮想化、端末側に最小限の機能しか持たせないシンクライアント、デスクトップ環境をサーバ上で実行するVDI(デスクトップ仮想化)を区別すること。クラウドサービスは提供範囲により、アプリケーションまで提供するSaaS、開発・実行環境まで提供するPaaS、サーバやストレージなどの基盤のみを提供するIaaSに分類され、自社設備で運用するオンプレミスとの対比で問われる。IPA公式シラバスでは「システム構成要素」の中項目に位置付けられる論点である。
システムの信頼性設計では、障害への備え方を表す用語の区別が最頻出である。フォールトトレラントは構成要素を冗長化して障害発生時もシステム全体を停止させない設計、フェールセーフは障害時に安全側に制御する設計(例:信号機の故障時は赤を表示)、フェールソフトは故障箇所を切り離し機能を縮退させてでも運転を継続する設計(縮退運転・フォールバック)、フールプルーフは人間の誤操作を想定し誤りが起きても致命的な結果にならないようにする設計である。システム構成では、2系統で同一処理を行い結果を照合するデュアルシステムと、主系と待機系を用意して障害時に切り替えるデュプレックスシステムを区別する。デュプレックスの待機方法にはホットスタンバイとコールドスタンバイがある。磁気ディスクの冗長化技術RAIDも頻出で、RAID0は複数ディスクへの分散書き込み(ストライピング)で高速化するが冗長性はなく、RAID1は同一データを複数ディスクに書き込むミラーリング、RAID5はパリティを分散記録して1台の故障までデータを復元できる方式である。
システムの評価指標では、信頼性を総合的に表すRASIS(Reliability信頼性・Availability可用性・Serviceability保守性・Integrity保全性・Security機密性)を押さえる。定量指標としては、故障から次の故障までの平均稼働時間MTBF(平均故障間隔)と、修理に要する平均時間MTTR(平均修復時間)が用いられ、稼働率はMTBF÷(MTBF+MTTR)で求められる。この計算問題は本試験で繰り返し出題されている。複数装置から成るシステムでは、直列接続の稼働率は各装置の稼働率の積、並列接続では「1−(1−稼働率)の積」で計算する点も定番である。性能評価では、処理依頼から応答が返り始めるまでのレスポンスタイム、依頼から結果の出力完了までのターンアラウンドタイム、単位時間当たりの処理件数を表すスループットを区別する。標準的なプログラムを実行して性能を比較測定するベンチマークテストの用語も併せて確認しておくこと。
ネットワークの基礎では、限られた構内のネットワークであるLANと、通信事業者の回線で広域を結ぶWANの区別が出発点となる。有線LANの標準はイーサネット(IEEE 802.3)であり、機器の識別には製造時に割り当てられる48ビットのMACアドレスが用いられる。無線LANの標準規格はIEEE 802.11シリーズで、Wi-FiはWi-Fi Allianceによる相互接続性の認証名称である。無線LANではアクセスポイントを識別するESSID、暗号化方式のWPA2/WPA3が問われる。ネットワーク機器では、LAN内で宛先MACアドレスを見てフレームを転送するスイッチングハブ(ブリッジ)、異なるネットワーク間でIPアドレスに基づき経路制御(ルーティング)を行うルータ、LANから外部への出口となるデフォルトゲートウェイの役割を区別すること。機器がどの階層(物理層・データリンク層・ネットワーク層)で動作するかと対応付けて理解すると、選択肢の判別が速くなる。
インターネットの通信はTCP/IPプロトコル群を基盤とする。IPアドレスはIPv4が32ビット、IPv6が128ビットであり、アドレス枯渇対策としてのIPv6移行と、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換するNAT、さらにポート番号も組み合わせて1つのグローバルアドレスを複数端末で共有するNAPT(IPマスカレード)が頻出である。ドメイン名とIPアドレスを対応付けるDNSと、端末にIPアドレスなどの設定を自動的に割り当てるDHCPの混同を狙う出題が多い。アプリケーション層では、Webページの転送に用いるHTTPとTLSで暗号化したHTTPS、メール送信のSMTP、受信のPOP3(端末へダウンロード)とIMAP4(サーバ上で管理)、ファイル転送のFTP、時刻同期のNTPを、機能と対応付けて覚える。通信相手のアプリケーションを識別するのがポート番号である点も確実に押さえること。
通信速度の計算問題は毎回のように出題される。回線速度の単位はビット/秒(bps)であり、ファイル容量のバイトとの換算(1バイト=8ビット)と伝送効率の考慮が鍵となる。伝送時間=データ量(ビット)÷(回線速度×伝送効率)の形で立式し、単位をそろえてから計算する習慣を付けること。モバイル・IoT関連では、第5世代移動通信システム5Gの特徴(高速大容量・低遅延・多数同時接続)、省電力で広域をカバーするLPWA、近距離無線のBLE(Bluetooth Low Energy)、複数の周波数帯を束ねて通信を高速化するキャリアアグリゲーション、スマートフォンなどを経由して他の機器をインターネットに接続するテザリング、自前の無線設備を持たず他社回線を借りてサービスを提供するMVNOが、IPA公式シラバスの用語例として挙げられている。IoTの文脈では、端末の近くにサーバを置いて処理し遅延を抑えるエッジコンピューティングも近年の本試験で出題実績がある。
この章の問題から3問
フェールセーフとは、システムに障害が発生したとき、システムを安全な状態に制御して被害を最小限に抑える設計思想である。
正解 ○(正しい)
正しい。フェールセーフは障害発生時に安全側へ動作させる設計であり、信号機が故障時に赤を表示する例が典型(IPA公式シラバス・システム構成要素)。人間の誤操作への対策はフールプルーフ、機能を縮退させて運転を継続するのはフェールソフトであり、これらとの混同を狙う出題が多い。
RAID1は、データを複数の磁気ディスクに分散して書き込むことで読み書きを高速化する方式であり、1台のディスクが故障するとデータは失われる。
正解 ×(誤り)
誤り。この記述はRAID0(ストライピング)の説明である。RAID1はミラーリングであり、同一データを複数のディスクに書き込むため、1台が故障してもデータは失われない。RAID0=高速化(冗長性なし)、RAID1=冗長化、RAID5=パリティ分散という対応が本試験の定番論点である。
IPv6のIPアドレス長は128ビットであり、32ビットのIPv4と比べてアドレス空間が大幅に拡張されている。
正解 ○(正しい)
正しい。IPv4は32ビット(約43億個)、IPv6は128ビットであり、IPv4アドレスの枯渇対策としてIPv6への移行が進められている。ビット数の逆転(IPv4=128ビット等)を仕掛けるひっかけが出るため、32と128の対応を確実に覚えること(TCP/IP・IPA公式シラバス「ネットワーク」)。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。