測量法と測量の基準(基準点・座標系・誤差)
測量の基準は世界測地系(GRS80・中心=地球重心・短軸=自転軸)に従い、標高=楕円体高−ジオイド高、平面直角座標系は19系で原点の縮尺係数0.9999——この三つの数値関係と測量法の定義条文が本章の得点源である。
測量法(昭和24年法律第188号)第1条は、測量の実施の基準及び実施に必要な権能を定め、測量の重複を除き、測量の正確さを確保するとともに、測量業を営む者の登録の実施、測量業者の業務の適正な運営とその健全な発達を図ることにより、測量制度の改善発達に資することを目的とすると定める。同法は測量を「基本測量」「公共測量」「基本測量及び公共測量以外の測量」に分類する。基本測量とは、すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院の行うものをいう(第4条)。公共測量とは、基本測量以外の測量で、その実施に要する費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担し、又は補助して実施するもの等をいうが、小道路や建物のための測量その他の局地的測量又は高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものは除かれる(第5条)。この定義の入替え(「国土地理院」を「国土交通省」に替える等)は本試験の定番のひっかけであり、条文の主体と例外を正確に押さえることが第一歩である。
技術者資格について、測量士は測量に関する計画を作製し、又は実施する者であり、測量士補は測量士の作製した計画に従い測量に従事する者である(測量法第48条)。すなわち計画の作製・実施は測量士のみの業務であり、「測量士補が計画を作製できる」とする記述は誤りである。基本測量又は公共測量に技術者として従事するには、登録された測量士又は測量士補でなければならない。また、測量計画機関とは測量の計画を実施する者を、測量作業機関とは測量計画機関の指示又は委託を受けて測量作業を実施する者をいう。測量標の保全も頻出であり、何人も国土地理院の長の承認を得ないで基本測量の測量標を移転し、汚損し、その他その効用を害する行為をしてはならない(第22条)。永久標識等の移転を必要とする者は国土地理院の長に申請してその承認を受け、移転に要した費用は申請者(移転を必要とする者)が負担する。さらに、基本測量の測量成果を使用して基本測量以外の測量を実施しようとする者は、あらかじめ国土地理院の長の承認を得なければならない(第30条)。
測量の基準は測量法第11条に規定される。基本測量及び公共測量において、位置は地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示することを原則とし、場合により直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ、又は地心直交座標で表示することができる。距離及び面積は回転楕円体の表面上の値で表示する。そして地理学的経緯度は「世界測地系」に従って測定しなければならない。世界測地系とは、地球を扁平な回転楕円体と想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準であって、①回転楕円体の長半径及び扁平率が政令で定める値(GRS80楕円体=長半径6,378,137m、扁平率1/298.257222101。測量法施行令第3条)であること、②その中心が地球の重心と一致すること、③その短軸が地球の自転軸と一致すること、の三つをすべて満たすものをいう。平成14年の改正測量法施行により日本測地系から世界測地系へ移行しており、この3要件の正誤(「長軸が本初子午線と一致」等の誤り肢)を問う出題が繰り返されている。
経緯度と標高の出発点となるのが測量の原点である。日本経緯度原点は東京都港区麻布台(旧東京天文台跡)に、日本水準原点は東京都千代田区永田町に置かれ、原点数値は測量法施行令第2条に定められている。平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に伴う地殻変動により、日本経緯度原点の経度及び原点方位角と、日本水準原点の原点数値(東京湾平均海面上24.4140m→24.3900m)が改定された。これらの原点を基礎として、国土地理院は基本測量により電子基準点(GNSS衛星からの電波を連続的に受信する基準点で全国に約1,300点)、三角点(水平位置の基準)、水準点(標高の基準)などの国家基準点を設置・管理しており、その測量成果は「測地成果2011」として提供されている。公共測量はこれらの国家基準点又はこれに基づく基準点に基づいて実施しなければならない。プレート運動による定常的な地殻変動の影響を補正するセミ・ダイナミック補正(元期への補正)も、基準点測量と関連して出題されることがある。
我が国の標高は、東京湾平均海面(T.P.)を基準(標高0m)とした高さである。ジオイドとは、平均海面を陸地内部まで延長したと仮定した仮想の面であり、どこでも重力の方向(鉛直線)に直交する重力の等ポテンシャル面である。ジオイドは地下の密度分布の不均一の影響を受けて凹凸を持つため、滑らかな回転楕円体面とは一致しない。回転楕円体面からジオイドまでの高さをジオイド高といい、楕円体高(回転楕円体面から地表までの高さ)、標高、ジオイド高の間には「標高=楕円体高−ジオイド高」の関係が成り立つ。GNSS測量で直接得られる高さは楕円体高であるため、標高を求めるには国土地理院が提供するジオイド・モデルから求めたジオイド高を差し引く必要がある。この三者の関係を用いた計算問題は本試験で繰り返し出題されており、加減の向きを誤らせるひっかけが定番である。数値を与えられたら、下から回転楕円体面・ジオイド・地表の順に断面図を描いて整理すれば確実に得点できる。
公共測量など比較的狭い地域の測量では、球面上の位置を平面上の直角座標として扱う平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号)が用いられる。全国を19の座標系(I系〜XIX系)に区分し、各座標系ごとに座標系原点が定められる。X軸は原点を通る子午線に一致し真北に向かう方向を正、Y軸は原点においてX軸に直交し真東に向かう方向を正とする(数学で慣用のx・yと軸の取り方が逆である点に注意)。投影にはガウス・クリューゲル図法(横円筒による等角投影)が用いられ、座標系原点における縮尺係数は0.9999であり、原点から東西に約130km離れた地点で1.0000となり、それより外側では1より大きくなる。原点の縮尺係数を0.9999とするのは、適用範囲内で距離の投影歪みをおおむね1/10,000以内に収めるためである。「原点の縮尺係数は1.0000」「Y軸は真北方向が正」といった誤り肢が頻出するため、数値と軸の向きをセットで正確に記憶することが得点に直結する。
測量の観測値には必ず誤差が含まれる。誤差はその性質により、過失(過誤・ミス)、系統誤差(定誤差)、偶然誤差(不定誤差)に分類される。系統誤差は、器械の特性や気温・気圧など一定の原因により一定の傾向をもって生じる誤差であり、観測方法の工夫(例:水準測量で後視・前視の視準距離を等しくする、トータルステーションで正・反観測の平均をとる)や補正計算によって消去・軽減できる。これに対し偶然誤差は原因を特定できず偶発的に生じる誤差で、完全に消去することはできないが、正規分布に従うという統計的性質を利用し、最小二乗法によって最も確からしい値(最確値)を推定できる。同一精度で行った観測の最確値は算術平均であり、精度の異なる観測では重量(軽重率)を用いた重量平均による。重量は分散(標準偏差の2乗)に反比例し、観測回数に比例し、水準測量では路線長に反比例する。標準偏差は精度の指標であり、観測回数を増やすほど最確値の標準偏差は小さくなる。誤差の分類と最確値・重量の性質は毎年出題される頻出分野である。
この章の問題から3問
測量士補は、測量に関する計画を作製し、又は実施することができる。
正解 ×(誤り)
誤り。測量法第48条により、測量に関する計画を作製し、又は実施するのは測量士の業務である。測量士補は「測量士の作製した計画に従い測量に従事する」者であり、計画の作製・実施はできない。士と士補の業務を入れ替えるのが定番のひっかけである。
基本測量とは、すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院の行うものをいう。
正解 ○(正しい)
正しい。測量法第4条の定義そのままである。実施主体を「国土交通省」「都道府県」等に置き換えたり、「公共団体が費用を負担して行う測量」(これは公共測量=第5条の要素)と混同させたりするひっかけが頻出のため、条文の主体「国土地理院」を正確に覚えること。
測量法において、基本測量及び公共測量における位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示することを原則とするが、地心直交座標により表示することもできる。
正解 ○(正しい)
正しい。測量法第11条第1項は、位置を地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示することを原則としつつ、場合により直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ、又は地心直交座標(政令で定める)で表示できると規定する。「経緯度以外の表示は一切認められない」とする肢は誤りとなる。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。