Ukaru.資格試験オンライン講座

水準測量(レベル・標尺・往復観測の較差)

往復観測の較差の許容範囲(mm)は片道観測距離S(km)を用いて1級2.5√S・2級5√S・3級10√S・4級20√S・簡易40√Sであり、超過時は再測が必須。この数表と誤差消去法の対応関係が本章攻略の核心である。

水準測量とは、既知点(水準点)に基づき、レベルと標尺を用いて新点の標高を定める作業である。我が国の標高の基準は東京湾平均海面(T.P.)であり、これを地上に表示するため国会前庭に日本水準原点が設けられている。原点数値は測量法施行令第2条に規定され、平成23年(2011年)の東北地方太平洋沖地震に伴う改正後は24.3900mである。公共測量として行う水準測量は、測量法第34条に基づき国土交通大臣が定めた「作業規程の準則」に従い、1級水準測量から4級水準測量まで及び簡易水準測量に区分され、等級ごとに使用機器、視準距離、読定単位、往復観測値の較差の許容範囲などが定められている。直接水準測量では、レベルで後視(既知点側の標尺)と前視(求点側の標尺)を読定し、「後視の読定値−前視の読定値」を各測点区間で積み上げて高低差を求める。本試験ではこの原理の理解と、等級別の数値規定の正確な暗記が全ての出題の前提となる。

使用機器について、レベルには、気泡管を手動で合わせて視準線を水平にするチルチングレベル、コンペンセータ(自動補償装置)により視準線を自動的に水平に保つ自動レベル、標尺のバーコード状目盛を画像処理で読み取り読定値と視準距離を自動的に取得・記録する電子レベルがある。1級・2級水準測量には1級レベル(電子レベルを含む)等の上位級の機器と、温度変化による伸縮が極めて小さいインバール(鉄・ニッケル合金)の目盛帯を持つ1級標尺を使用する。機器は所定の検定に合格したものを用い、レベル及び標尺の点検調整は、観測着手前及び観測期間中おおむね10日ごとに実施する。点検項目には円形水準器及び視準線の点検調整が含まれ、自動レベル・電子レベルではコンペンセータの点検も行う。なお、電子レベルとバーコード標尺は読取り方式が機種に依存するため、対応した組合せで使用しなければならない。これらの機器規定は正誤問題の頻出領域である。

観測の実施に関する作業規程の準則の主な規定は次のとおりである。観測は往復観測により行い、視準距離は最大で1級50m、2級60m、3級・4級70m、簡易水準測量80mとし、レベルは後視標尺と前視標尺までの距離が等しくなる位置に整置する。読定単位は1級が0.1mm、2級以下は1mmである。標尺は2本1組とし、往観測の出発点に立てる標尺と復観測の出発点に立てる標尺は交換する。あわせて、水準点間のレベルの整置回数は偶数回とし、出発点に立てた標尺を到着点にも立てる。これらはいずれも標尺の零点誤差を消去するための措置である。さらに1級水準測量では、大気の屈折(レフラクション)の影響が地表付近で大きいことから標尺の下方20cm以下を読定してはならず、観測順序を後視→前視→前視→後視(後前前後)とすることで、レベルや三脚の沈下による系統誤差の影響を軽減する。本試験では数値のすり替えによる出題が多く、等級と数値の対応を表ごと覚える必要がある。

誤差とその消去・軽減方法は本章最頻出の論点である。①視準線誤差(気泡管軸と視準線が平行でないために生じる誤差)は、後視と前視の視準距離を等しくすれば前視・後視で同量生じて差し引きで消去できる。②地球の曲率による球差と大気の屈折による気差(合わせて両差)も、視準距離を等しくすることで消去される。③標尺の零点誤差(底面の摩耗等により零目盛の位置が正しくないことによる誤差)は、レベルの整置回数を偶数回とし、出発点に立てた標尺を到着点にも立てることで消去できる。④鉛直軸誤差は視準距離を等しくしても消去できないため、三脚の特定の2脚を進行方向に平行に据え、そのうち特定の1脚を常に同一の標尺に向けて整置することで影響を小さくする。⑤大気による屈折誤差は、視準距離を短くし、標尺下部の読定を避けることで軽減する。試験では誤差名と消去法の組合せを入れ替えたひっかけが定番であり、「等距離で消えるもの」と「消えないもの(鉛直軸誤差)」の区別が得点を分ける。

往復観測値の較差とは、同一区間の往観測と復観測で得た高低差の差(絶対値)である。作業規程の準則は、片道の観測距離をS(km単位)として較差の許容範囲を、1級2.5mm√S、2級5mm√S、3級10mm√S、4級20mm√S、簡易水準測量40mm√Sと定めている。例えば片道4kmの2級水準測量では5×√4=10mmが許容限度となる。較差が許容範囲を超えた場合はその区間を再測しなければならず、往復の平均を採用して済ませることは許されない。また、複数の既知点から新点の標高を求めた場合の最確値は、路線長(観測距離)に反比例する重み(軽重率)を用いた重量平均で計算する。環閉合差の点検を含め、水準測量の誤差は距離の平方根に比例して累積するという構造(√Sに比例)を理解しておけば、許容範囲計算・最確値計算のいずれにも対応できる。この計算は毎年のように出題される。

精密な水準測量では観測値に各種の補正を加える。標尺補正は、1級水準測量では常に行い、2級水準測量では水準点間の高低差が70m以上の場合に行う。補正量は、基準温度(20℃)における標尺改正数をC0、膨張係数をα、観測時の標尺の平均温度をT、観測高低差をΔhとすると、{C0+(T−20)×α}×Δhで求められ、この形式の計算問題は繰り返し出題されている。1級水準測量ではさらに楕円補正(正規正標高補正)を行う。また、令和2年の作業規程の準則改正により、GNSS観測で得た楕円体高からジオイド・モデルを用いてジオイド高を差し引いて標高を求めるGNSS水準測量が導入され、3級水準測量に相当する標高の測量がGNSSで可能となった。このほか、河川や海峡を挟む観測には渡海(渡河)水準測量(交互法等)が用いられる。補正計算は公式に代入するだけで解けるため、確実な得点源にすべき分野である。

この章の問題から3問

水準測量において、レベルを後視標尺と前視標尺のほぼ中央に整置して視準距離を等しくすると、視準線誤差(気泡管軸と視準線が平行でないことによる誤差)と球差・気差(両差)の影響を消去できる。

正解 ○(正しい)

正しい。作業規程の準則に基づく観測の基本で、視準距離を等しくすると視準線誤差・球差・気差は後視と前視で同量生じ、高低差(後視−前視)の計算で相殺される。ひっかけ対策として、同じ「等距離視準」でも鉛直軸誤差は消去できない点(その対策は三脚の特定2脚を進行方向に平行に据える方法)まで区別して覚えること。

標尺の零点誤差(零目盛誤差)の影響は、水準点間におけるレベルの整置回数を奇数回とすることで消去できる。

正解 ×(誤り)

誤り。正しくは「偶数回」である。整置回数を偶数回とし、出発点に立てた標尺を到着点にも立てれば、2本の標尺の零点誤差が高低差の計算で相殺される。作業規程の準則もレベルの整置回数を偶数回とするよう定めており、「奇数回」へのすり替えが本問のひっかけである。往と復で出発点の標尺を交換する規定も同じ趣旨と併せて押さえる。

1級水準測量では、大気による屈折(レフラクション)の影響を小さくするため、標尺の下方20cm以下を読定してはならない。

正解 ○(正しい)

正しい。作業規程の準則は1級水準測量について標尺の下方20cm以下を読定しないことを定めている。大気の屈折は温度勾配の大きい地表付近ほど影響が大きいため、標尺下部の視準を避ける。同趣旨の軽減策として視準距離を短くすることも有効である。数値を「30cm」等にすり替える出題に注意。

この章の残り7問を解く

登録不要 ・ 採点と解説はその場 ・ 進捗は端末に保存

測量士補の他の章

本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。