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多角測量とGNSSの計算(方向角・座標計算)

方向角は「前辺の方向角+交角-180°」で順次求め、座標はX=X₀+s·cosα、Y=Y₀+s·sinα(Xが北・Yが東)で計算する——この2つの計算手順とGNSS各観測法・誤差対策の使い分けが本章最大の得点源である。

基準点測量は、既知点に基づいて新点である基準点の位置を定める作業であり、国土交通省の作業規程の準則(平成20年国土交通省告示第413号)では1級から4級までに区分される。トータルステーション等を用いる多角測量方式では、既知点と新点を折れ線状に結び、辺長と交角を順次観測して新点の座標を求める。路線の組み方には、両端を既知点に取り付ける結合多角方式、既知点から既知点へ1本の路線で結ぶ単路線方式、路線が出発点に戻る閉合多角方式があり、準則上、1級・2級基準点測量は原則として結合多角方式により行い、3級・4級基準点測量は結合多角方式、単路線方式又は閉合多角方式により行うとされる。既知点への取り付けによる点検条件が多いほど精度の点検が確実になるため、結合多角方式が最も信頼性の高い方式とされる点は本試験で繰り返し問われている。

方向角とは、平面直角座標系のX軸の正方向(座標北)を基準として右回り(時計回り)に測った角をいい、真北を基準とする方位角とは真北方向角(子午線収差角)の分だけ異なる。両者にはおおむね「方位角=方向角+真北方向角」の関係がある。多角測量の計算では、既知の方向角に各測点で観測した交角(進行方向に対して右回りに観測した水平角)を順次加え、180°を減じることで次の辺の方向角を求める。すなわちT(n+1)=T(n)+β(n)-180°であり、計算結果が360°以上となれば360°を減じ、負となれば360°を加えて0°以上360°未満に正規化する。この逐次計算は測量士補試験でほぼ毎年出題される最頻出計算であり、度分秒(60進法)の繰り上がり・繰り下がりの処理を含めて、手計算で確実に解けるよう練習しておく必要がある。

座標計算は、方向角αと平面距離sから座標差を求める計算であり、X(B)=X(A)+s·cosα、Y(B)=Y(A)+s·sinαで新点の座標を得る。ここで注意すべきは、測量で用いる平面直角座標系ではX軸が南北方向(北が正)、Y軸が東西方向(東が正)であり、数学で慣れた座標系とX・Yの向きが入れ替わっている点である。s·cosαをX方向の座標差(緯距)、s·sinαをY方向の座標差(経距)と呼ぶ。多角路線全体では緯距・経距の総和が既知点間の座標差と一致するはずであり、その不一致量が閉合差、閉合差を路線長で除して精度を表したものが閉合比である。試験ではsin・cosの値が表で与えられ、電卓なしで割り切れる数値設定となることが多いため、方向角がどの象限にあるか、座標差の符号が正か負かを、必ず略図を描いて確認する習慣が確実な得点につながる。

平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号)は、日本全国を19の座標系に区分した投影座標系であり、ガウス・クリューゲル図法(横メルカトル図法)により楕円体面を平面に投影する。各座標系の原点は経緯度で定められ、原点における縮尺係数は0.9999である。縮尺係数は原点の子午線(X軸)から東西方向に離れるにつれて大きくなり、約130km離れた地点で1.0000となる。すなわち平面上の距離と楕円体面上の距離の伸縮は東西方向の位置(Y座標の絶対値)で決まり、南北方向に移動しても縮尺係数は変わらない。この点は正誤問題の定番のひっかけである。また各系のX軸は原点の子午線と一致して北へ向かう方向を正、Y軸は東へ向かう方向を正とし、座標値は原点の南側・西側でそれぞれ負の値をとることも併せて押さえておきたい。

GNSS測量は、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の測位衛星からの電波を受信し、複数の観測点で同時観測したデータの解析(干渉測位)により観測点間の基線ベクトルを求める測量である。作業規程の準則では準天頂衛星はGPS衛星と同等のものとして扱うことができる。観測法にはスタティック法、短縮スタティック法、キネマティック法、RTK法、ネットワーク型RTK法があり、スタティック法は複数の観測点に受信機を整置して60分以上(基線長10km以上では2周波により120分以上)観測する最も精度の高い方法、短縮スタティック法は観測時間を20分以上に短縮した方法である。キネマティック法・RTK法は固定局と移動局により観測し、RTK法では基線解析をリアルタイムに行う。ネットワーク型RTK法は電子基準点網に基づく補正データ等を利用するため、固定局を自ら設置せずに観測できる。使用衛星数は、GPS・準天頂衛星のみの場合、スタティック法・短縮スタティック法で4衛星以上(基線長10km以上のスタティック観測は5衛星以上)、キネマティック法・RTK法・ネットワーク型RTK法で5衛星以上と定められている。

GNSS観測は観測点間の視通を必要とせず、天候や昼夜の別にほとんど影響されないが、衛星電波を受信するための上空視界の確保が必要である。主な誤差要因として、電離層遅延(2周波の観測データを用いた解析で軽減できる)、対流圏遅延(基線解析において気象モデル等により補正する)、建物や水面等で反射した電波を受信することによるマルチパス(観測時間の延長やアンテナ設置環境の選定で影響を小さくする)、アンテナ高の測定誤差(基線解析では消去できないため測定を確実に行う)が挙げられる。また、プレート運動等の地殻変動により基準点間の相対的な位置関係は経年変化するため、電子基準点のみを既知点とする基準点測量では、国土地理院が提供する地殻変動補正パラメータを用いて、今期(観測時点)の座標を測地成果2011の元期の座標に整合させるセミ・ダイナミック補正を行う。これらはいずれも近年の本試験で頻出の論点である。

この章の問題から3問

平面直角座標系において、既知点A(X=1,000.000 m, Y=2,000.000 m)から新点B(X=900.000 m, Y=2,100.000 m)を観測した。このとき、AからBへの方向角は45°である。

正解 ×(誤り)

誤り。ΔX=X_B−X_A=900.000−1,000.000=−100.000 m、ΔY=Y_B−Y_A=2,100.000−2,000.000=+100.000 m。方向角Tは tanT=ΔY/ΔX で求めるが、象限判定が必須。ΔX<0かつΔY>0なので第2象限(方向角は90°〜180°)。基準角 arctan(|ΔY/ΔX|)=arctan(1)=45°、第2象限では T=180°−45°=135° となる。よって方向角は45°ではなく135°。単純に arctan(ΔY/ΔX)=arctan(−1)=−45° として符号処理を誤ると45°や315°と間違えるので、必ずΔX・ΔYの符号で象限を確定させること(ΔX>0,ΔY>0→第1象限そのまま/ΔX<0→180°−基準角または180°+基準角/ΔX>0,ΔY<0→360°−基準角)。なお平面距離は√(100²+100²)=141.421 m。

平面直角座標系では、X軸は東西方向にとり、東へ向かう値を正とする。

正解 ×(誤り)

誤り。平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号)では、X軸は座標系原点の子午線に一致させた南北方向で北へ向かう方向が正、Y軸が東西方向で東へ向かう方向が正である。数学の座標系(xが横軸)とX・Yの向きが入れ替わっている点が最頻出のひっかけであり、座標計算問題の符号ミスの原因にもなる。

RTK法によるGNSS観測では、観測終了後に基線解析を行って基線ベクトルを求める。

正解 ×(誤り)

誤り。RTK法(リアルタイムキネマティック法)は、固定局と移動局の観測データを無線等で伝送し、基線解析をリアルタイム(観測しながらその場)で行う方法である(作業規程の準則)。観測終了後に後処理で基線解析を行うのはスタティック法・短縮スタティック法・キネマティック法であり、「リアルタイム」という名称と処理タイミングを入れ替えるひっかけ。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。