基準点測量(トータルステーション・GNSS測量)
TSは方向観測法の対回数・読定単位と倍角差・観測差、GNSSは方式別の観測時間・使用衛星数が最頻出。「視通不要だが上空視界必要」「標高=楕円体高−ジオイド高」の2原則と数値基準を正確に暗記せよ。
基準点測量とは、既知点に基づいて新点である基準点の位置を定める測量をいう。公共測量は測量法第33条に基づく作業規程により実施され、その標準として国土交通省告示「作業規程の準則」(平成20年国土交通省告示第413号)が定められている。基準点測量は精度に応じて1級から4級までに区分され、1級・2級基準点測量は原則として電子基準点・三角点等の上位の基準点を既知点とする結合多角方式により行い、3級・4級基準点測量では結合多角方式のほか単路線方式によることができる。作業工程は「作業計画→選点→測量標の設置→観測→計算→成果等の整理」の順で進められ、この工程順序自体が本試験で繰り返し出題されている。なお測量の基準は測量法第11条により世界測地系(測地成果2011)であり、位置は経緯度及び平均海面からの高さ(標高)で表示される。
選点とは、平均計画図に基づき、現地において既知点の現況を調査するとともに新点の位置を選定し、選点図及び平均図を作成する作業である。新点の位置は、後続作業における利用のしやすさ、既知点との配置の均衡、TS観測の場合は観測点間の視通、GNSS観測の場合は上空視界を考慮して選定する。GNSS測量では観測点間の視通は不要である一方、上空視界の確保が必須であり、樹木や建物等による電波の遮断や反射波(マルチパス)の影響が小さい場所を選ぶ必要がある。新点を私有地に設置する場合は土地所有者等から建標承諾書等を取得し、作成した平均図については計画機関の承認を得る。「点間の視通は不要だが上空視界は必要」という対比は、択一式での定番のひっかけ論点である。
トータルステーション(TS)を用いる観測では、水平角観測、鉛直角観測及び距離測定を1視準で同時に行うことを原則とする(作業規程の準則第37条)。水平角観測は方向観測法により行い、読定単位と対回数は級別に定められている。すなわち1級基準点測量では読定単位1秒・2対回(水平目盛位置0度・90度)、2級基準点測量で2級TSを用いる場合は10秒・3対回(0度・60度・120度)、1級TSを用いる場合は1秒・2対回、3級基準点測量では10秒・2対回、4級基準点測量では20秒・2対回である。鉛直角観測は1対回で行う。距離測定は1視準2読定を1セットとし、2セット行う。光波測距儀による距離測定では気温及び気圧を測定して気象補正を行わなければならない。この観測基準の表は本試験で最も出題頻度の高い暗記事項の一つである。
観測値の良否は倍角差及び観測差により点検する。方向観測法において、望遠鏡正・反の秒読値の和を倍角、その差を較差といい、同一方向における対回間の倍角の差を倍角差、較差の差を観測差という。これらが運用基準の許容範囲(例えば1級基準点測量では倍角差15秒・観測差8秒)を超えた場合は、当該方向について再測を行う。距離測定についてはセット内・セット間の較差を点検する。さらに計算段階では、単位多角形の閉合差や既知点間の結合における水平位置・標高の閉合差等について点検計算を行い、許容範囲を超えた場合は再測その他の適切な措置を講じる。倍角・較差・倍角差・観測差の定義は、実際の観測値の表を与えて計算させる形式で頻出であり、定義の正確な理解が不可欠である。
GNSS測量は、GPS、準天頂衛星システム(QZSS)、GLONASS、Galileo等の衛星測位システムの電波を受信し、基線解析により観測点間の基線ベクトルを求める測量である。観測方法にはスタティック法、短縮スタティック法、キネマティック法、RTK法及びネットワーク型RTK法があり、1級・2級基準点測量に適用できるのはスタティック法のみで、3級・4級基準点測量には全ての方法を適用できる。観測時間はスタティック法で60分以上(1級基準点測量における観測距離10km以上の基線では120分以上)、短縮スタティック法で20分以上、RTK法では10エポック以上を標準とする。使用衛星数は、スタティック法ではGPS・準天頂衛星のみの場合4衛星以上(GLONASS併用時は5衛星以上)、短縮スタティック法・キネマティック法・RTK法では5衛星以上(併用時6衛星以上)を標準とする。方式・観測時間・衛星数の対応関係は毎年のように問われる。
GNSS測量の特徴は、観測点間の視通が不要であること、天候や昼夜にほとんど左右されないこと、その一方で観測点上空の視界確保が必要であることである。観測にあたってはアンテナ高を測定するが、TSの距離測定と異なり気温・気圧の気象測定は行わない(大気による遅延の影響は基線解析の過程で処理される)。主な誤差要因には、電離層遅延(2周波の観測データによる解析で軽減できる)、対流圏遅延、建物等の反射波によるマルチパス、衛星配置の偏り(DOPの悪化)、サイクルスリップがある。基線解析の衛星軌道情報には放送暦又は精密暦を用いる。観測値の点検は、異なるセッションの組合せによる最少辺数の多角形の環閉合差、及び異なるセッションで重複して観測した基線ベクトルの較差により行い、許容範囲を超えた場合は再測を行う。
GNSSの基線解析で直接得られる高さは、GRS80回転楕円体からの高さである楕円体高であって標高ではない。標高は「標高=楕円体高−ジオイド高」の関係により、国土地理院が提供するジオイド・モデルからジオイド高を内挿して求める。また、プレート運動に伴う定常的な地殻変動により基準点間の相対位置にはひずみが蓄積するため、電子基準点のみを既知点とする基準点測量では、国土地理院が公表する地殻変動補正パラメータを用いたセミ・ダイナミック補正を行い、今期(観測時点)の座標値を測地成果2011の元期の座標値に補正する。補正パラメータは毎年更新される。「元期→今期」と補正の向きを逆にしたひっかけや、楕円体高と標高の混同を誘う出題が近年頻出である。
既知点や新点に器械を整置できない場合又は視通が確保できない場合には、偏心点において観測を行い、偏心距離及び偏心角を測定して偏心補正計算により本点における観測値に換算する。偏心補正の計算では正弦定理を用いて補正角を求める形式が計算問題の定番である。観測後の計算工程では、点検計算を経て平均計算を行い、新点の座標値及び標高を決定し、成果等の整理として成果表、成果数値データ、点の記等を作成する。計算問題としてはこのほか、方向角と観測角から次の方向角を求める計算、緯距・経距を用いる座標計算、高低角と距離による標高の計算(間接水準)が繰り返し出題されている。本章は28問中の出題数が多く、数値基準の暗記と定番計算パターンの反復演習が合格への最短経路となる。
この章の問題から3問
GNSS測量機を用いた基準点測量では、観測点間の視通が確保できない場合であっても観測を行うことができる。
正解 ○(正しい)
正しい。GNSS測量は衛星からの電波を受信して基線ベクトルを求めるため、観測点間の視通は不要である(作業規程の準則第37条)。ただし観測点上空の視界確保は必要であり、「点間の視通不要」と「上空視界必要」を入れ替えたひっかけが定番なので混同しないこと。
1級基準点測量における水平角観測は、方向観測法により3対回(水平目盛位置0度・60度・120度)で行うことを標準とする。
正解 ×(誤り)
誤り。1級基準点測量の水平角観測は読定単位1秒・2対回(水平目盛位置0度・90度)を標準とする(作業規程の準則第37条運用基準)。3対回(0度・60度・120度)は2級トータルステーションを用いる2級基準点測量の基準であり、級と対回数・輪郭を入れ替えるのが本問のひっかけである。
GNSS測量の基線解析により求められる高さは楕円体高であるため、標高を求めるには楕円体高からジオイド高を減じる必要がある。
正解 ○(正しい)
正しい。GNSS基線解析で得られる高さはGRS80回転楕円体からの楕円体高である。標高=楕円体高−ジオイド高の関係により、国土地理院提供のジオイド・モデルから求めたジオイド高を減じて標高に換算する(作業規程の準則)。楕円体高をそのまま標高とみなす誤りを誘う出題が多い。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。