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カイ二乗検定と分散分析

カイ二乗検定はχ²=Σ(O−E)²/Eで乖離を測り、自由度は適合度検定でk−1−m・独立性の検定で(r−1)(c−1)。分散分析はST=SA+SEの分解からF=VA/VEを構成し、いずれも右側片側で検定する。

本章では、質的データの分析に用いるカイ二乗検定と、3群以上の平均の比較に用いる分散分析を扱う。いずれも統計検定2級の公式出題範囲表における「カイ二乗分布」「F分布」「適合度検定」「独立性の検定」「分散分析」に対応する頻出テーマである。基礎となるカイ二乗分布は、互いに独立に標準正規分布N(0,1)に従うk個の確率変数の2乗和が従う分布として定義され、このkを自由度と呼ぶ。自由度kのカイ二乗分布の期待値はk、分散は2kであり、非負の値のみをとり右に裾を引く形状をもつ。自由度が大きくなるにつれ分布は左右対称に近づき、正規分布で近似できる。また、正規母集団からの大きさnの標本について(n−1)S²/σ²(S²は不偏分散)が自由度n−1のカイ二乗分布に従うことは母分散の推測の基礎であり、本章の検定統計量の理解にも直結する。期待値・分散・自由度の関係は選択肢問題で直接問われる。

適合度検定は、観測されたカテゴリ別の度数分布が、帰無仮説で仮定した理論分布に適合しているかを検定する手法である。k個のカテゴリについて観測度数をO、帰無仮説の下での期待度数をEとすると、検定統計量はχ²=Σ(O−E)²/Eで与えられ、帰無仮説の下で近似的に自由度k−1のカイ二乗分布に従う。期待度数の合計が総度数nに一致するという制約が1つあるため、自由度がkから1減る点が本質である。さらに、理論分布のパラメータ(ポアソン分布のλ、正規分布のμやσ²など)をデータから推定した場合は、推定したパラメータの個数mだけ自由度が追加で減り、自由度はk−1−mとなる。統計量が大きいほど観測と理論の乖離が大きいことを意味するため、棄却域は分布の右側片側にのみ設ける。サイコロの各目が等確率で出るか、曜日別の来客数が一様分布に従うかといった設定が典型的な出題である。

独立性の検定は、r行c列の分割表(クロス集計表)にまとめた2つの質的変数が独立であるという帰無仮説を検定する。第i行第j列のセルの期待度数は、独立性の仮定の下で「行合計×列合計÷総度数」すなわちEij=(第i行合計)×(第j列合計)/nで計算される。検定統計量は適合度検定と同じ形のχ²=ΣΣ(Oij−Eij)²/Eijであり、帰無仮説の下で近似的に自由度(r−1)(c−1)のカイ二乗分布に従う。自由度がこの積になるのは、行合計・列合計を固定したとき自由に値を決められるセルの数が(r−1)(c−1)個になるためである。カイ二乗近似は大標本を前提とするため、期待度数の小さいセル(目安として5未満)が多い場合は近似精度が悪くなる点にも注意する。本試験では期待度数の計算、自由度の特定、統計量の計算と棄却判定が繰り返し出題されており、確実な得点源にすべき論点である。

一元配置分散分析は、1つの因子のa個の水準(群)間で母平均に差があるかを検定する手法であり、帰無仮説は「μ1=μ2=…=μa(すべての母平均が等しい)」、対立仮説は「少なくとも1つの母平均が他と異なる」である。3群以上の比較で2群のt検定を繰り返すと、第1種の過誤の確率が名目の有意水準を超えて膨らむため、全体を一度に検定する分散分析が必要になる。その核心はデータの全変動の分解にある。総平方和ST(各データと全体平均の偏差平方和)は、群間平方和SA(各群の平均と全体平均のずれに基づく変動)と群内平方和SE(各データと所属群平均のずれに基づく変動、残差平方和)の和に分解される(ST=SA+SE)。自由度も同様に、全体のn−1が群間のa−1と群内のn−aに分解される。この平方和と自由度の対応関係は、分散分析表の穴埋め問題として本試験で頻出である。

平方和を対応する自由度で割った値を平均平方と呼び、群間平均平方VA=SA/(a−1)と群内平均平方VE=SE/(n−a)を用いて検定統計量F=VA/VEを構成する。帰無仮説の下でこのFは自由度(a−1, n−a)のF分布に従う。F分布は、独立な2つのカイ二乗変数をそれぞれの自由度で割った比が従う分布であり、非負で右に裾を引く。群間の変動が群内の偶然変動に比べて大きいほどFは大きくなるため、棄却域はF分布の右側片側に設ける。有意となれば「すべての母平均が等しい」という帰無仮説は棄却されるが、どの群とどの群が異なるかまでは分からず、特定には多重比較が別途必要になる点が典型的なひっかけである。またF分布の性質として、XがF(m,n)に従うとき1/XはF(n,m)に従うこと、自由度(1,n)のF分布が自由度nのt分布に従う変数の2乗の分布に一致することも押さえておきたい。

分散分析の適用には、各群の母集団が正規分布に従うこと(正規性)、各群の母分散が等しいこと(等分散性)、観測値が互いに独立であること(独立性)という前提が置かれている。分散分析表の読み取り問題では、与えられた一部の数値から残りを逆算させる形式が多いが、「平方和の加法性(ST=SA+SE)」「自由度の加法性」「平均平方=平方和÷自由度」「F=VA/VE」の4つの関係を使えば必ず埋められる。CBT本試験における本章の得点ポイントは、(1)適合度検定と独立性の検定の自由度の使い分け(k−1−mと(r−1)(c−1))、(2)期待度数の計算、(3)分散分析表の完成とF値による棄却判定、の3点に集約される。いずれも計算自体は単純であり、公式の適用条件と自由度を正確に覚えているかどうかで差がつく。付表のカイ二乗分布・F分布の上側パーセント点の読み方にも必ず慣れておくこと。

この章の問題から3問

独立性の検定において、各セルの期待度数は「その行の合計×その列の合計÷総度数」で計算される。

正解 ○(正しい)

正しい。帰無仮説「2変数は独立」の下では同時確率が周辺確率の積P(A∩B)=P(A)P(B)となるため、期待度数はEij=(行合計/n)×(列合計/n)×n=行合計×列合計÷総度数となる。観測度数そのものからではなく周辺合計から計算する点を混同させるのが典型的なひっかけである。

適合度検定や独立性の検定では、検定統計量が小さすぎる場合も棄却できるように、棄却域をカイ二乗分布の両側に設けるのが標準である。

正解 ×(誤り)

誤り。χ²=Σ(O−E)²/Eは観測と期待の乖離が大きいほど大きくなる統計量であり、帰無仮説からのずれは統計量の大きい側にのみ現れる。したがって棄却域はカイ二乗分布の右側(上側)片側にのみ設けるのが標準である。「検定=両側」という思い込みを突くひっかけ。

一元配置分散分析で帰無仮説が棄却された場合、すべての群の母平均が互いに異なると結論できる。

正解 ×(誤り)

誤り。帰無仮説は「すべての母平均が等しい(μ1=μ2=…=μa)」であり、その否定である対立仮説は「少なくとも1つの母平均が他と異なる」にすぎない。どの群間に差があるかを特定するには多重比較などの追加分析が必要である。「棄却=全部違う」と読ませるのが定番のひっかけ。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。