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金融資産運用(商品・ポートフォリオ・税制)

金利上昇=債券価格下落の逆相関、PER・PBR・シャープレシオ等の指標計算、20.315%課税と新NISA(年360万円・生涯1,800万円・損失は損益通算不可)の正確な数値暗記が本章の三大得点源である。

金融資産運用の出発点はマーケット環境の理解である。国内総生産(GDP)は内閣府が四半期ごとに公表し、支出側では民間最終消費支出が過半を占める。景気動向指数は内閣府がCI(コンポジット・インデックス)を中心に公表し、先行・一致・遅行の3系列で構成される。新規求人数は先行系列、有効求人倍率は一致系列、完全失業率は遅行系列に分類される点が頻出である。日本銀行の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)は年4回実施され、業況判断DIは「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した割合を差し引いて算出する。物価指標は総務省の消費者物価指数(CPI)と日本銀行の企業物価指数を公表主体で区別する。金利との関係では、物価上昇や好景気は金利上昇要因、金融緩和は低下要因となり、市中金利の上昇が債券価格の下落を招くという方向感が学科試験で繰り返し問われる。

債券では応募者利回り・最終利回り・所有期間利回り・直接利回りの4つを単利で計算できることが必須である。最終利回り(%)は{表面利率+(額面100円-購入価格)÷残存期間}÷購入価格×100で求める。市中金利と債券価格は逆方向に動き、表面利率が低く残存期間が長い債券ほど金利変動に対する価格変動幅(デュレーション)が大きい。信用リスクは格付けで判断し、BBB格相当以上が投資適格債、BB格相当以下が投機的格付債(ハイ・イールド債)とされ、格付けが低いほど利回りは高く価格は低い。個人向け国債は「個人向け国債の発行等に関する省令」に基づき、変動10年(基準金利×0.66)・固定5年(基準金利-0.05%)・固定3年(基準金利-0.03%)の3種類が毎月発行され、いずれも下限金利は年0.05%、購入単位は額面1万円である。発行から1年経過後は、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685を差し引いた金額で中途換金できる。

株式の売買では、約定日から起算して3営業日目(T+2)に受渡しが行われる。価格優先・時間優先の原則により、成行注文が指値注文に優先する。相場指標では、日経平均株価が東証プライム市場に上場する225銘柄を対象とする修正平均型で値がさ株の影響を受けやすいのに対し、TOPIX(東証株価指数)は時価総額加重型である点を対比して押さえる。個別銘柄の投資指標は計算問題の定番であり、PER(株価収益率)=株価÷1株当たり純利益、PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株当たり純資産、ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100、配当利回り=1株当たり配当金÷株価×100、配当性向=配当金総額÷当期純利益×100の各公式を、どの数値からでも逆算できるようにしておく。PER・PBRは一般に数値が低いほど株価は割安と判断されるが、業種平均や過去水準と比較して用いる相対指標である点も出題される。

投資信託では、契約型(委託者指図型)投資信託が委託会社(運用指図)・受託会社(信託財産の保管・管理)・販売会社の三者で成り立つ仕組みと、投資信託及び投資法人に関する法律・金融商品取引法に基づく交付目論見書・運用報告書の交付義務を押さえる。コストは、購入時手数料(徴収しないノーロード型もある)、保有期間中に信託財産から日々差し引かれる運用管理費用(信託報酬)、換金時に信託財産に留保される信託財産留保額の3つを区別する。運用手法では、ベンチマークへの連動を目指すパッシブ運用と超過収益を狙うアクティブ運用、マクロ経済分析から資産配分を決めるトップダウン・アプローチと個別企業分析を積み上げるボトムアップ・アプローチ、割安株に投資するバリュー型と成長株に投資するグロース型という対概念が頻出である。証券取引所に上場されるETF(上場投資信託)とJ-REIT(上場不動産投資法人)は、上場株式と同様に指値・成行注文や信用取引が可能である。

外貨建て商品では、円を外貨に換える際に適用されるTTS(対顧客電信売相場)と、外貨を円に戻す際のTTB(対顧客電信買相場)の区別が基本であり、為替手数料はこの差に反映される。預入時より円安になれば為替差益、円高になれば為替差損が生じ、為替予約を付さない外貨定期預金の為替差益は雑所得として総合課税される。また外貨預金は預金保険制度の保護対象外である。デリバティブではオプション取引が最頻出である。原資産を買う権利がコール・オプション、売る権利がプット・オプションであり、買い手の損失は支払ったプレミアム(オプション料)に限定される一方、売り手の損失は限定されない。プレミアムは、他の条件が同一であれば満期までの残存期間が長いほど、また原資産価格の変動率(ボラティリティ)が大きいほど高くなる。権利を行使するか放棄するかを選択できるのは買い手のみである点がひっかけとして問われる。

ポートフォリオ理論では、期待収益率は各資産の期待収益率を組入比率で加重平均して求め、リスクは収益率の標準偏差で測る。2資産間の相関係数は-1から+1の範囲をとり、+1のときリスク低減効果はなく(標準偏差は単なる加重平均)、-1のとき分散投資によるリスク低減効果は最大となる。相関係数が+1未満であれば、ポートフォリオの標準偏差は各資産の標準偏差の加重平均を下回る。分散投資によって消去できない市場全体の変動リスクをシステマティック・リスク、銘柄固有で分散により低減できるリスクを非システマティック・リスクという。運用効率の評価にはシャープレシオ=(ポートフォリオの収益率-無リスク資産利子率)÷標準偏差を用い、数値が大きいほど、とったリスク1単位当たりの超過収益が大きい効率的な運用と評価される。複数ポートフォリオの優劣比較はこの計算問題として毎回のように出題される。

税制では、預貯金の利子は利子所得として20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)の源泉分離課税で完結する。上場株式等の配当は配当所得として20.315%が源泉徴収され、総合課税(配当控除の適用可)・申告分離課税(譲渡損失との損益通算可)・申告不要の3方式から選択できるが、J-REITの分配金に配当控除は適用されない。上場株式等の譲渡益は租税特別措置法37条の11により20.315%の申告分離課税であり、譲渡損失は申告分離課税を選択した配当所得等と損益通算でき、控除しきれない損失は確定申告により翌年以後3年間繰り越せる(同法37条の12の2)。2024年開始の新NISA(同法37条の14)は18歳以上が対象で、つみたて投資枠年120万円・成長投資枠年240万円(併用で年360万円)、生涯非課税限度額1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)、非課税保有期間は無期限であり、売却分の簿価残高は翌年以後に枠として復活する。NISA口座内の譲渡損失は税務上ないものとされ、課税口座との損益通算や繰越控除はできない。

セーフティネットと関連法規も毎回1問程度出題される。預金保険制度(預金保険法)は、国内に本店のある銀行等の破綻時に、預金者1人当たり1金融機関ごとに元本1,000万円までとその利息等を保護する。名寄せは金融機関単位で行われ、支店単位ではない。「無利息・要求払い・決済サービスを提供できること」の3要件を満たす決済用預金は全額保護され、外貨預金や譲渡性預金は保護対象外である。証券会社の破綻時には、金融商品取引法上の分別管理義務にもかかわらず顧客資産が返還されない場合に、日本投資者保護基金が一般顧客1人当たり1,000万円を上限に補償する。販売・勧誘ルールでは、金融商品取引法40条の適合性の原則(顧客の知識・経験・財産の状況・契約目的に照らして不適当な勧誘の禁止)、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(2024年に金融サービス提供法から改称)の重要事項説明義務と違反時の損害賠償責任、消費者契約法による誤認・困惑時の取消しを整理しておく。

この章の問題から3問

市中金利が上昇すると、既に発行されている固定利付債券の市場価格は、一般に上昇する。

正解 ×(誤り)

金利と債券価格は逆相関の関係にあり、市中金利が上昇すると、新発債の高い利回りに見合うよう既発債の価格は下落する。「金利上昇→価格も上昇」と同方向に錯覚させるのが本問のひっかけである。なお、表面利率が低く残存期間が長い債券ほど価格の下落幅は大きくなる(デュレーションが長い)。

外貨預金は、国内に本店のある銀行に預け入れたものであっても、預金保険制度による保護の対象とならない。

正解 ○(正しい)

預金保険法上、外貨預金・譲渡性預金等は付保対象外である。「国内銀行に預けた預金なら保護される」と誤答させるのがひっかけで、保護の有無は預入先ではなく預金の種類で決まる。円建ての一般預金等は預金者1人当たり1金融機関ごとに元本1,000万円までとその利息等が保護される。

NISA口座(新NISA)内で生じた上場株式の譲渡損失は、特定口座で生じた上場株式の譲渡益と損益通算することができる。

正解 ×(誤り)

租税特別措置法37条の14により、NISA口座内で生じた譲渡損失は税務上「ないもの」とみなされる。したがって特定口座・一般口座の譲渡益や配当との損益通算はできず、翌年以後3年間の繰越控除(同法37条の12の2)も適用されない。非課税の恩典と引換えに損失も認識されない点が定番のひっかけである。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。