タックスプランニング(所得税・住民税・法人税の基礎)
損益通算は不動産・事業・山林・譲渡の4所得のみで土地取得の負債利子は除外、退職所得は原則2分の1課税、令和7年改正後の基礎控除58万円(最大95万円)と給与所得控除最低65万円——数値の正確な暗記が合否を分ける。
所得税は、個人が暦年(1月1日から12月31日)に得た所得に課される国税であり、納税者自らが税額を計算して申告する申告納税方式を採る(所得税法120条)。納税義務者は居住者と非居住者に区分され、非永住者以外の居住者は国内外すべての所得(全世界所得)に課税される。所得はその性質に応じて利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑の10種類に区分され、原則としてすべてを合算する総合課税の対象となるが、退職所得・山林所得や土地建物等・株式等の譲渡所得などは他の所得と分離して課税される(申告分離課税)。また預貯金の利子は源泉徴収のみで課税が完結する源泉分離課税である。総合課税の税率は課税総所得金額に応じて5%から45%までの7段階の超過累進税率であり、2037年(令和19年)分まで基準所得税額に対し2.1%の復興特別所得税が併せて課される。課税方式・所得区分・税率構造の3点は毎回必ず問われる基本骨格である。
各種所得の計算では給与・退職・一時・雑が最頻出である。給与所得は「収入金額−給与所得控除額」で計算し、給与所得控除額は令和7年分以後、最低保障額が65万円に引き上げられた(上限は収入850万円超で195万円)。年収850万円超で23歳未満の扶養親族を有する者等には所得金額調整控除が適用される。退職所得は「(収入金額−退職所得控除額)×1/2」で計算し、退職所得控除額は勤続20年以下の部分が年40万円(最低80万円)、20年超の部分が年70万円である(所得税法30条)。ただし役員等勤続年数5年以下の者が受ける特定役員退職手当等には2分の1課税が適用されず、勤続年数5年以下の従業員が受ける短期退職手当等も控除後残額300万円超の部分には2分の1が適用されない。一時所得は「総収入金額−支出した金額−特別控除50万円」で計算し、総所得金額へはその2分の1のみを算入する。公的年金は雑所得(公的年金等)として、公的年金等控除額を差し引いて計算する。
損益通算とは、所得の計算上生じた損失を他の黒字の所得から差し引く仕組みで、対象となる損失は不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の4つに限られる(所得税法69条)。「富士山上(ふ・じ・さん・じょう)」の語呂で確実に覚える。ただし例外が頻出であり、①不動産所得の損失のうち土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分(租税特別措置法41条の4)、②別荘やゴルフ会員権など生活に通常必要でない資産の譲渡損失、③申告分離課税である土地建物等・株式等の譲渡損失は、原則として損益通算できない。上場株式等の譲渡損失は、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等とのみ通算でき、確定申告により翌年以後3年間の繰越控除が認められる(措置法37条の12の2)。また青色申告者は、損益通算してもなお控除しきれない純損失の金額を翌年以後3年間繰り越すことができる(純損失の繰越控除、所得税法70条)。
所得控除は15種類あり、人的控除と物的控除に大別される。令和7年度税制改正により基礎控除は原則58万円(合計所得金額2,350万円以下)に引き上げられ、合計所得金額132万円以下の者は95万円となる(132万円超655万円以下の者への上乗せは令和7・8年分限りの特例)。給与所得控除の最低保障額65万円と併せ、給与収入160万円までは所得税が課されない。配偶者控除(最高38万円、老人控除対象配偶者は最高48万円)は納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合に限り適用され、配偶者や扶養親族の合計所得要件は58万円以下(給与収入123万円以下)に緩和された。扶養控除は一般38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)63万円、老人扶養親族48万円(同居老親等は58万円)であり、19歳以上23歳未満で合計所得58万円超123万円以下の親族を持つ場合の特定親族特別控除(最大63万円)が新設された。医療費控除は「(支払医療費−保険金等)−10万円(総所得金額等200万円未満はその5%)」で上限200万円、生命保険料控除は新契約で各区分4万円・合計12万円、地震保険料控除は最高5万円である。
税額控除では住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)が最頻出である。控除率は年末借入金残高の0.7%、控除期間は新築の認定住宅等で13年、既存住宅で10年であり、合計所得金額2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満の特例適用は1,000万円以下)が要件となる。省エネ基準を満たさない新築住宅は原則として適用対象外となった点に注意する。配当控除は総合課税を選択した配当所得に10%(課税総所得金額等1,000万円超の部分は5%)を乗じた額を控除する。確定申告は翌年2月16日から3月15日までに行い、給与収入が2,000万円を超える者や、給与・退職所得以外の所得金額が20万円を超える給与所得者には申告義務がある。青色申告は不動産所得・事業所得・山林所得のある者が承認申請(その年3月15日まで、1月16日以後の開業なら開業日から2ヶ月以内)により選択でき、複式簿記による記帳・期限内申告等の要件で55万円、さらにe-Taxによる申告または優良な電子帳簿の保存で65万円の青色申告特別控除のほか、青色事業専従者給与、純損失の3年間繰越控除の特典が受けられる。
個人住民税(道府県民税・市町村民税)は、その年1月1日現在の住所地の市町村が前年の所得を基に税額を計算して通知する賦課課税方式であり、申告納税方式の所得税との対比で頻出する。税額は定額の均等割(標準税率で年4,000円。令和6年度分からは併せて国税である森林環境税1,000円を徴収)と、所得に比例する所得割(標準税率は一律10%=道府県民税4%+市町村民税6%)からなる。所得控除の額は所得税と異なり、基礎控除は43万円、生命保険料控除は合計7万円、地震保険料控除は最高2万5,000円など、いずれも所得税より小さく設定されている。納付方法には、納税通知書により原則年4回で自ら納める普通徴収と、給与支払者が6月から翌年5月までの12回に分けて給与から天引きする特別徴収がある。前年所得課税であるため、退職した年の翌年にも住民税の負担が生じる点が実務上の注意点として出題される。
法人税は法人の各事業年度の所得(益金の額−損金の額)に課される国税で、申告納税方式による。確定申告書は原則として各事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に提出する(法人税法74条)。税率は所得税と異なり比例税率で、普通法人は23.2%、期末資本金1億円以下の中小法人は年800万円以下の所得部分に15%の軽減税率が適用される(租税特別措置法)。会計上の利益と税法上の所得のずれとして、①法人税・法人住民税の本税や罰金・科料等は損金不算入(法人事業税や固定資産税・印紙税は損金算入)、②役員給与は定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与に該当するもののみ損金算入、③交際費等は原則損金不算入だが中小法人は年800万円まで(または接待飲食費の50%)損金算入でき、1人当たり1万円以下の飲食費は交際費等から除外される、④減価償却費は法人では償却限度額の範囲内での任意償却(個人は強制償却)、⑤青色申告法人の欠損金は翌事業年度以後最長10年間繰越控除できる、の5点が頻出である。会社と役員間の取引では、会社が役員へ資産を低額譲渡すると時価との差額が役員給与とされる点も押さえる。
この章の問題から3問
所得税において、不動産所得の金額の計算上生じた損失のうち、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額は、他の所得の金額と損益通算することができない。
正解 ○(正しい)
正しい。租税特別措置法41条の4により、不動産所得の損失のうち土地等の取得に係る負債利子相当分は損益通算の対象から除外される。ひっかけとして「建物」の取得に係る負債利子と入れ替える出題が頻出だが、建物分の利子は通常どおり損益通算できる。
退職所得の金額は、退職手当等の性質や勤続年数を問わず、常に「(収入金額−退職所得控除額)×1/2」の算式により計算される。
正解 ×(誤り)
誤り。所得税法30条により、役員等勤続年数が5年以下の者が受ける特定役員退職手当等には2分の1課税が適用されず、勤続年数5年以下の従業員が受ける短期退職手当等も退職所得控除後の残額のうち300万円を超える部分には2分の1が適用されない。「常に」「必ず」は誤りのシグナルとなる典型的ひっかけ。
上場株式等の譲渡により生じた損失の金額は、確定申告をすることにより、同一年分の不動産所得の金額と損益通算することができる。
正解 ×(誤り)
誤り。上場株式等の譲渡損失は申告分離課税の枠内でのみ通算が認められ、通算の相手方は申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等に限られる(租税特別措置法37条の12の2)。総合課税の不動産所得・事業所得等とは損益通算できない点がひっかけ。控除しきれない損失は翌年以後3年間繰り越せる。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。