不動産
登記に公信力なし・4つの土地価格の水準(路線価80%・固定資産税評価70%)・建蔽率/容積率の計算・借地借家法の普通と定期の対比・譲渡所得3,000万円特別控除が本章の頻出五本柱である。
不動産に関する権利関係は不動産登記法に基づく登記によって公示される。登記記録は表題部(物件の物理的現況)と権利部に分かれ、権利部はさらに甲区(所有権に関する事項)と乙区(所有権以外の権利、抵当権など)に区分される。登記には対抗力があり、民法177条により不動産の物権変動は登記をしなければ第三者に対抗できない。一方で登記には公信力がないため、登記記録を信頼して真の権利者でない者と取引をしても、原則としてその権利取得は法的に保護されない点が最頻出のひっかけである。登記事項証明書は法務局で誰でも交付を請求でき、オンライン請求も可能である。また借地借家法上、借地権は借地上建物の登記、借家権は建物の引渡しがあれば登記がなくても第三者に対抗できるという例外も併せて押さえたい。
土地の価格には4つの公的価格がある。①公示価格(地価公示法・国土交通省・毎年1月1日基準・3月公表)は一般の土地取引の指標となる。②基準地標準価格(国土利用計画法・都道府県・7月1日基準)は公示価格を補完する。③相続税路線価(国税庁・1月1日基準)は相続税や贈与税の算定基礎であり公示価格の80%水準、④固定資産税評価額(市町村・1月1日基準・3年ごとに評価替え)は固定資産税等の課税標準であり公示価格の70%水準とされる。この80%・70%の水準と基準日・所管の組み合わせは学科の定番論点である。また不動産鑑定評価基準による鑑定評価の手法には、原価法(再調達原価から減価修正)、取引事例比較法、収益還元法(直接還元法・DCF法)の3方式があり、複数手法の併用が原則とされる。
不動産取引を業として行うには宅地建物取引業法の免許が必要だが、自ら所有する不動産の貸借(賃貸)を行う場合は宅建業に該当せず免許不要である。媒介契約には一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3類型があり、専任媒介・専属専任媒介の有効期間は3か月以内(超える定めは3か月に短縮)、依頼者への業務処理状況の報告義務は専任が2週間に1回以上、専属専任が1週間に1回以上、指定流通機構(レインズ)への登録義務はそれぞれ7営業日以内・5営業日以内である。宅地建物取引士による重要事項説明(35条書面)は契約成立前に行う必要があり、現在はITを活用したオンラインでの重要事項説明(IT重説)や書面の電磁的方法による交付も認められている。売主が宅建業者で買主が非業者の場合、受領できる手付は代金の2割が上限であり、手付は解約手付と解釈される。
借地借家法では、借地権(建物所有を目的とする地上権・土地賃借権)の存続期間は普通借地権で当初30年以上(契約でより長い期間を定め得る)、最初の更新後は20年以上、2回目以降は10年以上である。更新のない定期借地権には、①一般定期借地権(存続期間50年以上・用途制限なし・書面または電磁的記録で契約)、②事業用定期借地権等(10年以上50年未満・事業用建物に限る・公正証書が必須)、③建物譲渡特約付借地権(30年以上)の3種類がある。借家では、普通借家契約は期間1年未満の定めは期間の定めのないものとみなされ、貸主からの更新拒絶には正当事由が必要である。定期建物賃貸借(定期借家)は書面(電磁的記録可)による契約で更新がなく、期間1年以上の場合、貸主は期間満了の1年前から6か月前までに終了の通知をしなければ終了を借主に対抗できない。
都市計画法では、都市計画区域のうち市街化区域(すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的計画的に市街化を図るべき区域)と市街化調整区域(市街化を抑制すべき区域)の線引きが行われる。開発行為には都道府県知事等の開発許可が必要で、市街化区域では原則1,000㎡以上が対象、市街化調整区域では規模にかかわらず原則許可が必要である。建築基準法では、建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない(接道義務)。幅員4m未満の42条2項道路では、原則として道路中心線から2m後退した線が道路境界線とみなされ(セットバック)、後退部分は建蔽率・容積率の計算上敷地面積に算入されない。用途地域は13種類あり、敷地が2つの用途地域にわたる場合は過半の属する地域の規制が敷地全体に適用される。
建蔽率(建築面積÷敷地面積)と容積率(延べ面積÷敷地面積)は計算問題の頻出論点である。建蔽率は、特定行政庁の指定する角地では10%緩和、防火地域内の耐火建築物等(または準防火地域内の耐火・準耐火建築物等)でも10%緩和され、両方に該当すれば20%緩和となる。建蔽率80%の地域で防火地域内に耐火建築物等を建てる場合は建蔽率の制限が適用されない(100%)。容積率は、前面道路の幅員が12m未満の場合、指定容積率と「前面道路幅員×法定乗数(住居系4/10、その他6/10)」のいずれか低い方が上限となる。区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)では、規約の設定・変更等は区分所有者および議決権の各4分の3以上、建替え決議は各5分の4以上の多数による集会の決議が必要である。農地法では、農地の権利移動は3条(農業委員会の許可)、転用は4条、転用目的の権利移動は5条の許可(4条・5条は原則都道府県知事等)が必要だが、市街化区域内の農地の転用は農業委員会への届出で足りる。
不動産の税金は取得・保有・譲渡の3段階で整理する。取得時には不動産取得税(都道府県税。相続による取得は非課税、贈与は課税)、登録免許税、印紙税、建物には消費税(土地の譲渡は非課税)がかかる。保有時の固定資産税は1月1日時点の所有者に課され標準税率1.4%、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は課税標準が6分の1、200㎡超の部分は3分の1に軽減される。都市計画税(制限税率0.3%)は原則市街化区域内の土地・建物に課される。譲渡時の譲渡所得は「譲渡価額−(取得費+譲渡費用)」で計算し、取得費不明の場合は譲渡価額の5%を概算取得費とできる。譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超なら長期譲渡所得(税率20.315%)、5年以下なら短期(39.63%)となる。居住用財産の譲渡には所有期間を問わない3,000万円特別控除があり、所有期間10年超なら軽減税率の特例(6,000万円以下の部分14.21%)と併用できる。いずれも配偶者や直系血族など特別な関係者への譲渡には適用されない。
不動産の有効活用と投資判断も出題される。有効活用の手法には、自己建設方式、事業受託方式、土地信託方式、等価交換方式(土地所有者が土地を提供しデベロッパーが建物を建設、完成建物を出資割合に応じて取得する。自己資金不要)、定期借地権方式、建設協力金方式(入居予定テナントから建設資金を借り受ける)などがある。投資判断指標としては、単純利回り(表面利回り)=年間収入合計÷投資総額に対し、純利回り(NOI利回り・実質利回り)=(年間収入−年間諸経費)÷投資総額が収益性をより正確に表す。DCF法は将来の純収益と復帰価格を現在価値に割り引いて収益価格を求める手法であり、投資額を上回れば投資価値があると判定するNPV法、IRR法の考え方も併せて理解しておく。またレバレッジ効果とは、借入金を併用することで自己資金に対する利回りが上昇する効果をいい、借入金利が投資利回りを上回ると逆効果となる。
この章の問題から3問
不動産の登記記録には公信力が認められているため、登記記録上の所有者を真の所有者と信じて取引した者は、原則としてその権利の取得が法的に保護される。
正解 ×(誤り)
不動産登記には対抗力(民法177条)はあるが公信力はない。登記記録を信頼して無権利者と取引しても、原則として権利取得は保護されない。「対抗力あり・公信力なし」の組み合わせが定番のひっかけ。
相続税路線価は、地価公示法による公示価格の70%を価格水準の目安として国税庁が定めている。
正解 ×(誤り)
相続税路線価は公示価格の80%水準。70%水準は固定資産税評価額である。80%(路線価)と70%(固定資産税評価額)の入れ替えは頻出のひっかけ。
借地借家法における一般定期借地権の存続期間は50年以上とされ、契約は公正証書等の書面(電磁的記録を含む)によってしなければならない。
正解 ○(正しい)
借地借家法22条。一般定期借地権は存続期間50年以上・用途制限なし・書面(公正証書に限らない。電磁的記録も可)で設定する。公正証書が必須なのは事業用定期借地権等(同法23条)である点との対比で問われる。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。