相続・事業承継
基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」、生命保険金等の非課税「500万円×法定相続人の数」、小規模宅地の特例(居住用330㎡・80%減)、申告期限10か月を軸に、法定相続分と遺留分を正確に押さえよ。
相続は民法第882条により被相続人の死亡によって開始する。法定相続人の範囲と順位は民法第887条・889条・890条に定められ、配偶者は常に相続人となり、第1順位は子(直系卑属)、第2順位は直系尊属、第3順位は兄弟姉妹である。法定相続分(民法第900条)は、配偶者と子の場合は各2分の1、配偶者と直系尊属の場合は配偶者3分の2・直系尊属3分の1、配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1となる。子が先に死亡している場合はその子(被相続人の孫)が代襲相続し(民法第887条2項)、兄弟姉妹の代襲は甥・姪の一代限りである点が頻出のひっかけである。また、相続放棄をした者の子は代襲相続できない点も本試験で繰り返し問われている。
相続の承認・放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に選択しなければならない(民法第915条)。単純承認・限定承認・相続放棄の3種類があり、限定承認は相続人全員が共同して家庭裁判所に申述する必要があるのに対し、相続放棄は各相続人が単独で申述できる。この対比は学科の定番論点である。遺言については、自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書し押印することが原則だが、2019年施行の民法改正により財産目録はパソコン作成等の自書によらない方式が認められた(民法第968条2項)。また、法務局における自筆証書遺言書保管制度(遺言書保管法)を利用した場合、家庭裁判所の検認が不要となる。公正証書遺言も検認不要である。遺留分は兄弟姉妹以外の相続人に認められ、原則として法定相続分の2分の1(直系尊属のみが相続人の場合は3分の1)である(民法第1042条)。
相続税の計算は相続税法に基づき、課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額「3,000万円+600万円×法定相続人の数」(相続税法第15条)を差し引いて課税遺産総額を求める。この法定相続人の数には相続放棄をした者も含め、養子は実子がいる場合1人まで、実子がいない場合2人までしか算入できない点が頻出である。課税遺産総額を法定相続分どおりに取得したものと仮定して各人の税額を算出し、合計した相続税の総額を実際の取得割合で按分する。配偶者に対する相続税額の軽減(相続税法第19条の2)により、配偶者の取得額が1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額までは相続税がかからない。この軽減を受けるには相続税の申告書の提出が必要である。相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内、被相続人の所得税の準確定申告は4か月以内であり、この期限の対比は毎回のように出題される。
みなし相続財産として、被相続人の死亡により相続人が受け取る生命保険金・死亡退職金には、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額がある(相続税法第12条)。相続放棄者が受け取った保険金には非課税の適用がない点に注意する。生前贈与については、暦年課税の基礎控除は年110万円(相続税法第21条の5・租税特別措置法第70条の2の4)であり、2024年1月以後の贈与から相続開始前7年以内(改正前は3年以内)の贈与財産が相続税の課税価格に加算される(経過措置あり・延長4年分は総額100万円まで加算不要)。相続時精算課税制度(相続税法第21条の9)は原則60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に適用でき、特別控除2,500万円を超える部分に一律20%課税される。2024年改正で年110万円の基礎控除が新設され、この基礎控除内の贈与は申告不要かつ相続財産に加算されない。
贈与税の配偶者控除(相続税法第21条の6)は、婚姻期間20年以上の配偶者から居住用不動産またはその取得資金の贈与を受けた場合、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円まで控除できる。財産評価は財産評価基本通達に基づき、宅地は路線価方式(路線価×奥行価格補正率等×地積)または倍率方式で評価する。自用地評価額を基に、貸宅地は「自用地評価額×(1−借地権割合)」、貸家建付地は「自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で評価する。小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)では、特定居住用宅地等は330㎡まで80%減額、特定事業用宅地等は400㎡まで80%減額、貸付事業用宅地等は200㎡まで50%減額となる。この面積と減額割合の組合せは学科・実技を通じて最頻出であり、必ず正確に暗記すること。
事業承継関連では、取引相場のない株式(非上場株式)の評価が出題される。同族株主等が取得する場合は原則的評価方式(類似業種比準方式・純資産価額方式またはその併用)、同族株主以外の少数株主が取得する場合は特例的評価方式である配当還元方式による。また、非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除の特例(法人版事業承継税制、租税特別措置法第70条の7等)により、後継者が取得した株式に係る税負担が猶予される制度がある。相続税の納付は金銭一括納付が原則だが、要件を満たせば延納(相続税法第38条)、延納によっても金銭納付が困難な場合には物納(相続税法第41条)が認められる。物納は「延納でも困難」な場合に限られる点、延納・物納とも申告期限までの申請が必要な点がひっかけとして問われる。
この章の問題から3問
相続の放棄をしようとする者は、原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所にその旨を申述しなければならない。
正解 ○(正しい)
民法第915条により熟慮期間は3か月。相続放棄は限定承認と異なり各相続人が単独で申述できる(限定承認は共同相続人全員で行う)。「3か月」を「4か月(準確定申告)」「10か月(相続税申告)」と入れ替えるのが定番のひっかけ。
法務局における遺言書の保管制度を利用して保管された自筆証書遺言については、相続開始後、家庭裁判所の検認手続を経る必要がない。
正解 ○(正しい)
遺言書保管法(法務局における遺言書の保管等に関する法律)第11条により、保管制度を利用した自筆証書遺言は検認不要。公正証書遺言も検認不要(民法第1004条2項)。保管制度を利用しない自筆証書遺言は検認が必要であり、この区別が問われる。
相続税の計算において、遺産に係る基礎控除額の計算上の「法定相続人の数」には、相続の放棄をした者は含まれない。
正解 ×(誤り)
誤り。相続税法第15条2項により、基礎控除額の計算上の法定相続人の数は「相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数」とする。民法上の相続人(放棄者は除外)と相続税法上の法定相続人の数の違いを突くひっかけ。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。