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株式業務と株式市場の基礎知識

売買は価格優先(成行優先)・時間優先とT+2決済、信用取引は委託保証金30%以上かつ30万円・維持率20%、PER=株価÷EPS等の指標計算が最頻出。数値基準と定義式を正確に暗記せよ。

株式の流通市場は、金融商品取引法に基づき内閣総理大臣の免許を受けた金融商品取引所が開設する取引所金融商品市場と、取引所外の市場に大別される。1998年の金融システム改革により取引所集中義務が撤廃されて取引所外売買が解禁され、現在は金融商品取引法第30条の認可を受けた金融商品取引業者が運営するPTS(私設取引システム)での売買も行われている。東京証券取引所は2022年4月に市場区分を再編し、現物株式市場はプライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3区分となった。プライム市場は多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持つ企業向け、スタンダード市場は公開された市場における投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた企業向け、グロース市場は高い成長可能性を有する企業向けの市場である。上場後も各市場の上場維持基準への適合が求められ、上場会社は所定の手続により他の市場区分への変更を申請することができる。

金融商品取引業者の株式業務には、顧客の計算で売買を執行する委託取引(ブローカー業務)と、自己の計算で売買を行う自己取引(ディーラー業務)がある。委託手数料は1999年10月に完全自由化されており、顧客との合意により決定される。上場株式等の注文を受ける際には、金融商品取引法第40条の2に基づき、最良の取引の条件で執行するための方針及び方法(最良執行方針等)を定めて公表し、あらかじめ顧客に対し当該方針等を記載した書面を交付しなければならない。さらに、注文執行後に顧客から求められたときは、当該注文が最良執行方針等に従って執行された旨を説明する書面を交付する義務がある。受託に当たっては、日本証券業協会の「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」により、顧客カードの整備、内部者登録カードによるインサイダー取引の未然防止、仮名取引の受託禁止等の顧客管理態勢の整備が求められる点も出題される。

取引所の売買立会は、価格優先の原則と時間優先の原則により行われる。価格優先の原則では、売呼値はより低い値段の呼値が、買呼値はより高い値段の呼値が優先し、成行呼値は指値呼値に値段的に優先する。時間優先の原則では、同一値段の呼値については、先に行われた呼値が後の呼値に優先する。売買契約の締結方法には、始値の決定等に用いられ注文を一括して対当させる板寄せ方式と、立会時間中に個別・継続的に対当させるザラバ方式がある。呼値の単位(刻み)は株価水準に応じて定められ、1日の価格変動は基準値段から上下一定範囲の制限値幅(ストップ高・ストップ安)に制限される。上場株式の普通取引の受渡しは、2019年7月16日約定分から短縮され、約定日から起算して3営業日目(T+2)に行われる。また、単元株制度の下で国内上場会社の売買単位は2018年10月に100株に統一されている。数値の入れ替えによるひっかけが多い論点である。

信用取引は、顧客が金融商品取引業者から買付代金又は売付有価証券を借りて行う売買であり、制度信用取引と一般信用取引に区分される。制度信用取引は、取引所が選定した銘柄について、返済期限(6か月以内)や品貸料(逆日歩)等の条件が取引所の規則等により定められており、証券金融会社の貸借取引を利用することができる。一方、一般信用取引は、これらの条件を顧客と金融商品取引業者との合意により自由に決定できるが、貸借取引は利用できない。信用取引を行う顧客は、金融商品取引法第161条の2及び関係内閣府令・取引所規則に基づき、約定価額の30%以上かつ30万円を下回らない額の委託保証金を、約定日から起算して3営業日目の日の正午までに差し入れなければならない。委託保証金は国債や上場株式等の有価証券で代用でき、代用有価証券は現金換算率(代用掛目)を乗じて評価される。建株の値下がり等により委託保証金率が20%を下回った場合には、追加保証金(追証)の差入れが必要となる。

株式の投資価値の分析には各種の投資指標が用いられ、計算問題として最頻出の論点である。1株当たり当期純利益(EPS)は当期純利益を発行済株式数で除した値、1株当たり純資産(BPS)は純資産を発行済株式数で除した値である。株価収益率(PER)は株価をEPSで除して求め、利益に対する株価の割高・割安を測る。株価純資産倍率(PBR)は株価をBPSで除して求め、1倍を下回る場合は株価が1株当たり純資産(解散価値)を下回っていることを意味する。自己資本利益率(ROE)は当期純利益を自己資本で除した比率で、株主資本の収益性を示す。配当利回りは1株当たり年間配当金を株価で除した比率であり、配当性向は配当金総額を当期純利益で除した比率で、高いほど利益のうち株主に還元される割合が大きい。いずれも分母・分子の取り違えを誘う出題が多く、定義式を正確に記憶して検算する習慣が重要である。

株式市場全体の動向は株価指数や売買統計により把握される。日経平均株価(日経225)は、東証プライム市場上場銘柄のうち代表的な225銘柄を対象とし、株価換算係数により調整した採用銘柄の株価合計を除数で除して算出する修正平均型(価格平均型)の指数であり、株価水準の高い値がさ株の値動きの影響を受けやすい。東証株価指数(TOPIX)は、浮動株数に基づく時価総額加重型の指数であり、基準時の時価総額を100として現在の時価総額の水準を示すため、時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすい。両者の算出方法と影響を受けやすい銘柄の対比は定番の出題である。このほか、対象銘柄の株価合計を銘柄数で除した単純平均株価、株価に上場株式数を乗じた時価総額、一定期間に成立した売買の数量・金額を示す売買高(出来高)・売買代金が市場統計として用いられる。

株式業務には金融商品取引法上の不公正取引規制が直接関わる。第159条は、取引が繁盛に行われていると誤解させる等の目的をもって行う、権利の移転を目的としない仮装売買や、あらかじめ通謀して行う馴合売買等の相場操縦行為を禁止し、第166条・第167条は会社関係者等による内部者取引(インサイダー取引)を禁止している。空売りについては第162条及び施行令により、空売りである旨の明示・確認義務と価格規制が課されており、価格規制は基準値段から10%以上下落した銘柄に発動するトリガー方式が採られている。募集・売出しの円滑化のために例外的に認められる安定操作取引は、施行令の定める厳格な要件の下でのみ行うことができる。また、協会員は日本証券業協会規則により、作為的相場形成となるおそれのある取引の受託等が禁止されており、顧客注文の売買管理態勢の整備が求められる。免許・認可・禁止行為の主体と条文の対応関係を整理して覚えることが得点の鍵である。

この章の問題から3問

取引所の売買立会における価格優先の原則では、成行呼値は指値呼値に値段的に優先する。

正解 ○(正しい)

正しい。東証業務規程・受託契約準則の定める価格優先の原則では、売呼値は低い値段、買呼値は高い値段が優先し、成行呼値は指値呼値に値段的に優先する。「指値呼値が成行呼値に優先する」と逆転させたひっかけが頻出なので、成行が最優先である点を確実に押さえる。

上場株式の普通取引の受渡し(決済)は、約定日から起算して4営業日目に行われる。

正解 ×(誤り)

誤り。東証受託契約準則上、普通取引の受渡しは2019年7月16日約定分から短縮され、約定日から起算して3営業日目(T+2)に行われる。「4営業日目」は短縮前の旧制度(T+3)の数値を使ったひっかけであり、現行はT+2である。

制度信用取引では、返済期限や品貸料などの条件を、顧客と金融商品取引業者との合意により自由に決定することができる。

正解 ×(誤り)

誤り。返済期限や金利等の条件を顧客と金融商品取引業者との合意で自由に決められるのは一般信用取引である。制度信用取引は、取引所が選定した銘柄について返済期限(6か月以内)や品貸料等の条件が取引所の規則等で定められており、証券金融会社の貸借取引を利用できる。制度と一般の特徴を入れ替えるひっかけである。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。