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損金の額(減価償却・交際費・寄附金)

減価償却=損金経理した額のうち償却限度額まで、交際費=原則不算入だが中小は800万円控除と接待飲食費50%の有利選択、寄附金=区分(国等/特定公益増進法人/一般)ごとに限度額が異なり100%グループ内は全額不算入、という枠組みを正確に押さえることが最重要。

損金の額は『収益に対応する原価・費用・損失』として法人税法22条3項に定められるが、政策的・公平性の観点から個別に算入を制限する規定が多い。本章ではその代表である減価償却費・交際費等・寄附金を扱う。いずれも『会計上は費用でも税務上は一部または全部が損金にならない』典型例であり、別表四での加算調整が頻出する論点である。

減価償却は、固定資産の取得価額を耐用年数にわたり費用配分する手続きである。法人税法では『損金経理要件』があり、会社が決算で費用計上した金額のうち税法の償却限度額までしか損金にできない(法31条)。償却方法は資産の種類で異なり、建物は定額法のみ、建物附属設備・構築物は平成28年4月以後取得分から定額法のみ、機械装置・器具備品等は定額法か定率法の選択(法定は定率法)。定額法は『取得価額×償却率』で毎期同額、定率法は『期首帳簿価額×償却率』で逓減的に償却する。10万円未満の少額資産は全額一時損金、中小企業者等は30万円未満を年300万円まで即時償却できる特例がある。

交際費等は、得意先・仕入先その他事業関係者に対する接待・供応・贈答等の支出をいう。冗費・濫費の抑制という政策目的から原則として損金不算入とされる(措置法61条の4)。ただし、(1)すべての法人は接待飲食費の50%を損金算入でき、(2)資本金1億円以下の中小法人(適用除外事業者を除く)は年800万円の定額控除限度額までの全額損金算入と(1)のいずれか有利な方を選択できる。令和6年4月1日以後は1人当たり1万円以下の一定の飲食費が交際費等の範囲から除かれる(会議費等として全額損金)。本特例の適用期限は令和9年3月31日までに開始する事業年度である。

寄附金は、金銭その他の資産または経済的利益の贈与・無償供与をいう。事業関連性が乏しい無償支出であるため損金算入が制限される(法37条)。区分は3つで、(A)国・地方公共団体への寄附金と指定寄附金は全額損金算入、(B)特定公益増進法人等への寄附金は一般枠とは別の特別損金算入限度額まで、(C)一般寄附金は『(資本金等の額×2.5/1000+所得×2.5/100)×1/4』の限度額までとなる。さらにグループ法人税制により、完全支配関係(100%)のある内国法人への寄附金は全額損金不算入(受領側は全額益金不算入)となる点に注意する。

これらはいずれも『損金経理した会計上の費用 → 税法の限度額・除外規定 → 超過額を別表四で加算』という申告調整の流れで処理される。計算問題では限度額計算の正確さが、理論問題では各制度の趣旨(費用配分・冗費抑制・無償支出の制限)と区分の正確な記述が問われる。

この章の問題から3問

減価償却費は、法人が損金経理した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額が損金の額に算入される。

正解 ○(正しい)

法人税法上の減価償却には「損金経理要件」がある。法人税法31条1項は、減価償却資産の償却費として損金の額に算入する金額は、法人が当該事業年度において償却費として損金経理をした金額(損金経理額)のうち、償却限度額に達するまでの金額とする旨を定める。ここでいう損金経理とは、法人がその確定した決算において費用または損失として経理することをいう(法人税法2条25号)。したがって、確定決算で費用計上していない限り償却費は損金算入されず、損金経理をしても償却限度額を超える部分(償却超過額)は31条1項により損金の額に算入されないため、申告調整で加算することになる。

平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備および構築物の減価償却方法として、選定できるのは次のうちどれか。

  1. 定額法のみ
  2. 定率法のみ
  3. 定額法または定率法の選択
  4. 生産高比例法のみ

正解 定額法のみ

建物は平成10年4月1日以後取得分から定額法のみ。建物附属設備および構築物は平成28年4月1日以後取得分から定率法が廃止され、定額法のみとなった。機械装置・器具備品・車両等は定額法・定率法の選択が可能(法定償却方法は定率法)。

資本金1億円以下の中小法人(適用除外事業者等を除く)が選択できる交際費等の損金算入の特例として、正しい組合せはどれか。

  1. 定額控除限度額800万円までの全額損金算入、または接待飲食費の50%相当額の損金算入のいずれか有利な方
  2. 接待飲食費の50%相当額のみ
  3. 定額控除限度額1,600万円までの全額損金算入
  4. 交際費等は全額損金算入

正解 定額控除限度額800万円までの全額損金算入、または接待飲食費の50%相当額の損金算入のいずれか有利な方

中小法人は、(1)年800万円の定額控除限度額までの全額損金算入と、(2)接待飲食費の額の50%相当額の損金算入のいずれか有利な方を選択できる(措置法61条の4)。一方、大法人は(2)の接待飲食費50%のみ。接待飲食費が年1,600万円を超えると50%選択が有利になる。

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