税額計算と税額控除
法人税額は『区分別税率で算出税額を出し、二重課税排除(所得税額控除・外国税額控除)等の税額控除を法定の順序で差し引いて納付税額を確定する』という流れで理解する。
法人税額は、第4章までで算出した『各事業年度の所得の金額(課税所得)』に税率を乗じて求める。普通法人の基本税率は23.2%である。ただし資本金1億円以下の中小法人(適用除外事業者等を除く)については、年800万円以下の所得部分に軽減税率が適用される。本則の軽減税率は19%だが、租税特別措置法により原則15%に引き下げられており(令和9年3月31日までに開始する事業年度まで延長)、年800万円超の部分には23.2%が適用される。なお令和7年度改正により、所得金額が年10億円を超える中小法人は800万円以下の部分が17%となり、グループ通算制度の適用を受けている法人は特例の対象外とされた。このため中小法人の税額計算は『800万円以下=原則15%』と『800万円超=23.2%』の2区分で按分計算するのが基本パターンとなる。
こうして算出した税額(算出税額)から各種の『税額控除』を差し引いて納付すべき法人税額が確定する。税額控除は大きく、(1)二重課税を排除するための控除(所得税額控除・外国税額控除)、(2)政策的に投資等を促進するための租税特別措置法上の特別税額控除(試験研究費の税額控除など)、(3)中間納付額の控除、に分けて理解するとよい。控除の順序は法定されており、原則として措置法の特別税額控除を先に充て、次に所得税額控除・外国税額控除、最後に中間納付額を控除する。
所得税額控除は、法人が利子・配当等を受け取る際に源泉徴収された所得税を、法人税の『前払い』とみなして法人税額から控除する制度である。源泉所得税は所得の段階で天引きされ、さらにその所得を含む課税所得に法人税が課されるため、控除しなければ二重課税となる。公社債の利子や預貯金の利子等は全額が控除対象になるが、株式の配当等は元本の所有期間に対応する部分のみが控除対象となり、所有期間按分(個別法または銘柄別簡便法)が必要になる点が頻出論点である。控除しきれない金額は確定申告により還付される。
外国税額控除は、内国法人が全世界所得に対して課税されることに伴う国際的二重課税を排除する制度である。国外で納付した外国法人税額を、控除限度額=当期の法人税額×(調整国外所得金額÷全世界所得)の範囲で控除する。分子の調整国外所得金額は所得金額の90%相当額が上限とされる。実際の外国法人税額が限度額を超える『控除限度超過額』、逆に限度額に余裕がある『控除余裕額』は、いずれも翌期以後3年間繰り越して相互に充当できる点が制度の重要な特徴である。
計算問題では『区分ごとの税率適用→算出税額→税額控除の順次控除→納付税額』という一連の流れを正確に処理できるかが問われる。理論では各控除の趣旨(=二重課税の排除という共通の目的)と、所得税額控除の所有期間按分・外国税額控除の限度額計算式という具体的計算ルールを結びつけて説明できることが得点の鍵になる。なお、本資料の税率・特例は2026年(令和8年)時点の現行制度に基づくが、軽減税率の特例等は期限延長や改正で取扱いが変わりうるため、受験年度の最新の適用関係を必ず確認すること。
この章の問題から3問
普通法人(中小法人以外)の各事業年度の所得に対する法人税の基本税率(本則)は、次のうちどれか。
- 19%
- 23.2%
- 25.5%
- 30%
正解 23.2%
各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は各事業年度の所得の金額であり(法人税法21条)、内国法人である普通法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、その所得の金額に23.2%の税率を乗じて計算した金額とされる(法人税法66条1項)。したがって正解は23.2%(平成30年4月1日以後開始事業年度から適用)。なお、資本金1億円以下の中小法人等については年800万円以下の所得金額に対する軽減税率19%が別途定められている(法人税法66条2項)ため、19%は本則の基本税率ではない。また、地方法人税や住民税・事業税を含めた実効税率とは異なり、法人税法上の本則税率は23.2%である。
資本金1億円以下の中小法人(適用除外事業者等を除く)の年800万円以下の所得金額に適用される軽減税率(租税特別措置法による特例税率)は、原則として次のうちどれか。
- 10%
- 15%
- 19%
- 23.2%
正解 15%
法人税法66条1項は、普通法人の各事業年度の所得に対する法人税の税率を23.2%と定めており、これが本則の基本税率である。これに対し同条2項は、資本金の額(出資金の額)が1億円以下である普通法人等について、年800万円以下の所得金額の部分に19%の軽減税率を適用する旨を定めている。もっとも、この本則19%はさらに租税特別措置法42条の3の2(中小企業者等の法人税率の特例)により引き下げられており、同条の特例税率として原則15%が適用される(適用期限は令和9年3月31日までに開始する事業年度まで延長)。したがって正解は15%。なお、令和7年度改正により、所得金額が年10億円を超える法人については同特例の税率が17%とされ、また同条の適用対象から除かれる適用除外事業者(租税特別措置法42条の4第19項に定義。前3事業年度の平均所得金額が15億円を超える法人)については特例の適用がなく法人税法66条2項の本則19%となる。年800万円を超える部分は法人税法66条1項の23.2%が適用される。
所得税額控除において、法人が受け取った利子や配当等から源泉徴収された所得税額は、その全額が常に元本所有期間に関係なく法人税額から控除される。
正解 ×(誤り)
公社債の利子や預貯金の利子等は全額控除できるが、剰余金の配当等(株式・出資に係るもの等)については、元本を所有していた期間に対応する部分のみが控除対象となる(所有期間按分が必要)。よって「常に全額」は誤り。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。