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財務会計論・計算① 個別論点(簿記)

個別論点は「基準の原則(取得原価主義・時価評価・費用配分)から仕訳を導く」ことが核心。減損の認識=割引前CF・測定=回収可能価額など、二段階構造や例外処理の正確な区別が短答の得点を決める。

財務会計論の計算問題(簿記)は短答式財務会計論200点のうち過半を占める得点源であり、個別論点の正確な処理が合否を分ける。まず商品売買では、払出単価の計算(先入先出法・移動平均法・総平均法)と、期末評価が問われる。「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号)により、通常の販売目的で保有する棚卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には正味売却価額まで簿価を切り下げる。この評価損は原則として売上原価とし、収益性の低下に基づく簿価切下額が臨時かつ多額であるときは特別損失とする。棚卸減耗損と商品評価損を分けて算定させる出題が定番であり、数量差(帳簿棚卸数量−実地棚卸数量)×原価が減耗損、実地数量×(原価−正味売却価額)が評価損である計算手順を体得しておく必要がある。

有価証券は「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)に基づき、保有目的別に4区分で処理する。売買目的有価証券は時価評価し評価差額を当期の損益とする。満期保有目的の債券は取得原価または償却原価法(利息法が原則、簡便法として定額法)による償却原価で評価する。子会社株式・関連会社株式は取得原価で評価する。その他有価証券は時価評価するが、評価差額は洗い替え方式により、全部純資産直入法(評価差額の合計額を純資産の部に計上)または部分純資産直入法(評価差益は純資産、評価差損は当期の損失)で処理する。時価が著しく下落し回復する見込みがあると認められない場合の減損処理、および税効果を絡めたその他有価証券評価差額金の算定は短答の頻出パターンである。

固定資産では減価償却の各方法(定額法・定率法・生産高比例法)の計算に加え、200%定率法における償却保証額・改定償却率の適用が問われる。「固定資産の減損に係る会計基準」では、減損の兆候がある資産または資産グループについて、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合に減損損失を認識し、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額と使用価値のいずれか高い方)まで減額する。認識の判定は割引前、測定は割引後という二段階構造が最重要であり、また減損損失の戻入れは行わない点が国際基準(IAS第36号)との相違として問われる。「資産除去債務に関する会計基準」(企業会計基準第18号)では、除去債務を割引価値で負債計上し同額を資産の取得原価に加え、時の経過による調整額(利息費用)を計上する処理が計算問題化される。

社債は償却原価法により、額面金額と発行価額との差額を償還期間にわたり配分する。原則の利息法では帳簿価額に実効利子率を乗じて利息を算定し、クーポン利息との差額を帳簿価額に加減する。買入償還では償還時の償却原価と買入価額との差額を社債償還損益とする点が定番である。引当金については企業会計原則注解18が設定4要件(将来の特定の費用または損失であること、発生が当期以前の事象に起因すること、発生の可能性が高いこと、金額を合理的に見積ることができること)を定めており、貸倒引当金は金融商品会計基準に基づき債権を一般債権・貸倒懸念債権・破産更生債権等に区分し、それぞれ貸倒実績率法、財務内容評価法またはキャッシュ・フロー見積法、財務内容評価法等で見積る。

外貨建取引は「外貨建取引等会計処理基準」により、取引発生時の為替相場で換算し、決算時には外貨建金銭債権債務を決算時の為替相場(CR)で換算替えして為替差損益を計上する。前払金・前受金など非金銭項目は発生時レートのまま据え置く点がひっかけとして頻出である。為替予約については振当処理(ヘッジ会計の要件を満たす場合に認められる例外処理)における直々差額・直先差額の期間配分の計算が問われる。またソフトウェアは「研究開発費等に係る会計基準」により、市場販売目的のソフトウェアは最初に製品化された製品マスターの完成までの費用を研究開発費とし、以後の制作費を無形固定資産に計上、自社利用のソフトウェアは将来の収益獲得または費用削減が確実である場合に資産計上する。

本章の学習戦略としては、①仕訳を暗記でなく基準の考え方(取得原価主義と時価評価の使い分け、費用配分の原則)から導けるようにすること、②総合問題の前提となる個別論点の計算スピードを1論点2〜3分まで高めること、③会計基準の原文表現(「正味売却価額」「回収可能価額」「償却原価法」等の定義)を正確に押さえることが重要である。短答式では理論肢と計算肢が混在する形式で出題されるため、計算過程で使う概念の定義そのものが正誤判定の対象になる。基準番号と結論の背景まで一読しておくことが、財務会計論で7割を安定して超える最短経路である。

この章の問題から3問

「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号)によれば、通常の販売目的で保有する棚卸資産について、収益性の低下による簿価切下額は、原則として売上原価として処理する。

正解 ○(正しい)

正しい。企業会計基準第9号により、収益性の低下に基づく簿価切下額は原則として売上原価(棚卸資産の製造に関連し不可避的に発生すると認められるときは製造原価)とし、臨時の事象に起因しかつ多額であるときは特別損失に計上する。

「固定資産の減損に係る会計基準」によれば、減損損失の認識の判定は、資産又は資産グループから得られる割引後将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額とを比較して行う。

正解 ×(誤り)

誤り。認識の判定は「割引前」将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額の比較で行う(減損会計基準 二2.)。割引計算を用いるのは測定段階(使用価値の算定)である。「割引前」と「割引後」の入替えが典型的なひっかけ。

その他有価証券の評価差額について部分純資産直入法を採用した場合、時価が取得原価を上回る銘柄の評価差額は純資産の部に計上し、時価が取得原価を下回る銘柄の評価差額は当期の損失として処理する。

正解 ○(正しい)

正しい。金融商品会計基準(企業会計基準第10号)第18項。部分純資産直入法では評価差益は純資産直入、評価差損は当期の損失とする。全部純資産直入法(原則)では差益・差損ともに純資産の部に計上する点との対比で覚える。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。