企業法(会社法)
機関設計・株式・設立・計算・組織再編の条文知識を「原則→例外」の構造と数字(取締役2年・監査役4年・準備金は資本金の1/4まで1/10積立等)で正確に押さえることが企業法攻略の核心である。
企業法は短答式4科目の一つで100点配点、20問出題が標準である。出題の中心は会社法であり、設立・株式・機関・計算・組織再編が五大頻出領域を構成する。会社法の条文知識が直接問われるため、条文番号と要件・効果を対応させた正確な記憶が合否を分ける。まず設立では、発起設立と募集設立の区別が最重要である。発起人は書面又は電磁的記録による定款を作成し(会社法26条)、公証人の認証を受けなければ効力を生じない(30条1項)。発起人は設立時発行株式を1株以上引き受ける義務を負い(25条2項)、募集設立では設立時募集株式の引受人を募り創立総会(65条)を開催する。変態設立事項(28条)である現物出資・財産引受け・発起人の報酬・設立費用は原始定款への記載と原則として検査役の調査(33条)を要する点が繰り返し出題されている。
設立の瑕疵については、設立無効の訴え(828条1項1号)が会社成立の日から2年以内に、株主・取締役等の提訴権者に限り認められる。無効判決は対世効(838条)を有するが遡及せず将来に向かってのみ効力を生じる(839条)。株式の分野では、株主平等原則(109条1項)、株式譲渡自由の原則(127条)とその例外である譲渡制限株式が中核である。譲渡制限株式の譲渡承認機関は、取締役会設置会社では取締役会、非設置会社では株主総会が原則であり、定款で別段の定めが可能である(139条1項)。自己株式の取得は財源規制(461条・分配可能額)と手続規制(156条以下)の双方に服し、取得手続の類型(株主との合意取得、市場取引等)ごとの規律の違いが問われる。単元株制度、株式の併合・分割、募集株式の発行等における有利発行規制(199条3項・309条2項5号)も頻出である。
機関は企業法で最も出題比重が高い。株主総会は、取締役会設置会社では会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議できる(295条2項)。決議要件は普通決議(309条1項)、特別決議(同2項)、特殊決議(同3項・4項)に分かれ、定款変更(466条)、事業譲渡(467条)、資本金の額の減少(447条、例外あり)、解散(471条3号)等が特別決議事項である。取締役の任期は原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(332条1項)、監査役は同4年(336条1項)であり、この対比はひっかけの定番である。取締役の利益相反取引・競業取引は重要な事実を開示して株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の承認を要し(356条1項・365条1項)、取締役会設置会社では取引後遅滞なく重要な事実を取締役会に報告する義務(365条2項)がある。
役員等の責任も必修である。役員等は任務懈怠により会社に生じた損害を賠償する責任を負い(423条1項)、この責任は原則総株主の同意がなければ免除できない(424条)が、善意無重過失の場合には株主総会特別決議による一部免除(425条)、定款規定に基づく取締役会決議による免除(426条)、非業務執行取締役等との責任限定契約(427条)が認められる。第三者に対する責任(429条)は職務執行についての悪意・重過失を要件とする。株主代表訴訟(847条)は6か月前(公開会社の場合)から引き続き株式を有する株主が提訴請求を経て提起でき、単独株主権である点に注意する。監査役・監査役会・監査等委員会・指名委員会等の各機関設計の比較、会計監査人の資格(公認会計士又は監査法人・337条)と任期(1年・自動再任、338条)も会計士試験ならではの頻出論点である。
計算の分野では、資本金と準備金の規律が中心である。払込金額の2分の1を超えない額は資本金に計上せず資本準備金とすることができる(445条2項・3項)。剰余金の配当をする場合には、減少する剰余金の額の10分の1を、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで準備金として計上しなければならない(445条4項、会社計算規則22条)。剰余金の配当は分配可能額(461条2項)の範囲内でのみ許され、違反した場合には業務執行者等が金銭支払義務を負う(462条)。組織再編では、合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付の各手続の比較、対価の柔軟化(吸収合併では存続会社の株式に限らず金銭その他の財産を対価とできる・749条1項2号)、債権者異議手続(789条・799条)、反対株主の株式買取請求権(785条・797条)、簡易・略式組織再編の要件(796条等)が問われる。
持分会社(合名・合資・合同会社)と商法総則・商行為も一定の出題がある。持分会社では社員の責任態様(無限責任・有限責任)の組合せ、定款変更に総社員の同意を要する原則(637条)、業務執行の規律を押さえる。商法総則では商号、名板貸人の責任(商法14条・会社法9条)、支配人の代理権(商法21条)が定番である。学習戦略としては、条文の「原則・例外・さらにその例外」の構造(例: 譲渡制限、決議要件、責任免除)を表で整理し、数字(2年・4年・6か月・2分の1・4分の1・10分の1)を横断的に暗記することが最短経路である。企業法は短答式では素直な条文知識問題が7割を占めるため、過去問の肢ごとに根拠条文を引く反復学習で安定して80%以上の得点が可能な科目である。
この章の問題から3問
発起設立においても募集設立においても、各発起人は設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。
正解 ○(正しい)
会社法25条2項。発起人は設立の方法を問わず設立時発行株式を1株以上引き受ける義務を負う。募集設立でも発起人自身の1株以上の引受けは必要であり、「募集設立では不要」とするひっかけに注意。
株式会社の設立の無効は、会社の成立の日から1年以内に、訴えをもってのみ主張することができる。
正解 ×(誤り)
会社法828条1項1号により提訴期間は成立の日から「2年以内」である。1年は新株発行無効の訴え(公開会社・828条1項2号は6か月、非公開会社は1年)との混同を狙ったひっかけ。
取締役会設置会社の株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
正解 ○(正しい)
会社法295条2項。取締役会設置会社では株主総会の権限が法定事項と定款所定事項に限定される。非設置会社では一切の事項を決議できる(295条1項)との対比が出題ポイント。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。