財務会計論・計算② 連結会計ほか
連結の範囲は支配力基準、子会社の資産・負債は全面時価評価法で評価し、のれんは20年以内に規則的償却、支配継続中の追加取得・一部売却は資本剰余金で処理する点が最頻出である。
連結財務諸表の作成は「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)に準拠する。連結の範囲は持株基準ではなく支配力基準により決定される。すなわち、他の企業の議決権の過半数を自己の計算において所有する企業は原則として親会社とされ、議決権が40%以上50%以下であっても、緊密な者・同意している者と合わせて過半数を占める場合や、取締役会の構成員の過半数を占める場合など、意思決定機関を支配している事実が認められる場合には子会社に該当する。ただし、支配が一時的であると認められる企業や、連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある企業は連結の範囲から除外される(連結範囲の強制除外)。短答式では議決権割合と支配要件の組合せ、更生会社・破産会社の取扱いが繰り返し出題されている。
支配獲得日には、子会社の資産及び負債の「すべて」を支配獲得日の時価により評価する全面時価評価法が適用される(企業会計基準第22号)。かつて認められていた部分時価評価法は現行制度上廃止されている点が典型的なひっかけである。投資と資本の相殺消去において、親会社の投資額と子会社の資本(親会社持分相当額)との差額はのれん又は負ののれんとなる。のれんは「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)により無形固定資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって定額法その他合理的な方法により規則的に償却する。一方、負ののれんは発生した事業年度の利益(特別利益)として一括処理する。IFRSののれん非償却との相違も理論問題で問われる。
非支配株主持分は、連結貸借対照表の純資産の部において株主資本と区分して表示する(貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準・企業会計基準第5号、同第22号)。子会社の当期純利益のうち非支配株主に帰属する部分は「非支配株主に帰属する当期純利益」として按分し、連結損益計算書では当期純利益から控除して「親会社株主に帰属する当期純利益」を表示する。また、支配獲得後に親会社が子会社株式を追加取得した場合や、支配を喪失しない範囲で一部売却した場合は、平成25年改正後の基準により資本取引として扱い、親会社の持分変動額と対価との差額は資本剰余金で処理する(損益は計上しない)。段階取得により支配を獲得した場合は、従前保有分を支配獲得日の時価で再測定し、差額を「段階取得に係る損益」として当期の損益に計上する点との対比が重要である。
成果連結では、連結会社相互間の債権債務・取引高の相殺消去に加え、未実現損益の消去が計算問題の中心となる。親会社から子会社への販売(ダウンストリーム)では未実現利益を全額消去し、全額を親会社株主が負担する(全額消去・親会社負担方式)。子会社から親会社への販売(アップストリーム)では未実現利益を全額消去した上で、非支配株主持分にもその持分割合に応じて負担させる(全額消去・持分按分負担方式)。棚卸資産の期首・期末の未実現利益、非償却資産(土地)と償却資産(建物・備品)の売買損益消去、貸倒引当金の調整が頻出であり、償却資産では減価償却費の修正を通じた未実現損益の実現も問われる。これらの連結修正に伴う一時差異には「税効果会計に係る会計基準」に基づき税効果を認識する。
持分法は「持分法に関する会計基準」(企業会計基準第16号)に準拠し、非連結子会社及び関連会社に適用される。関連会社の判定は影響力基準により、議決権の20%以上を所有する場合のほか、15%以上20%未満であっても役員派遣や重要な融資・技術提供等により財務及び営業の方針決定に重要な影響を与えることができる場合を含む。持分法では投資会社の持分に相当する被投資会社の損益を「持分法による投資損益」として営業外損益に一括計上し、投資勘定を増減させる(一行連結)。のれん相当額は投資勘定に含めて処理し、連結と同様に償却効果を反映する。未実現利益の消去は投資会社の持分相当額についてのみ行う点が連結との相違として出題される。
包括利益については「包括利益の表示に関する会計基準」(企業会計基準第25号)により、連結では1計算書方式(損益及び包括利益計算書)又は2計算書方式(損益計算書と包括利益計算書)の選択適用が認められる。その他の包括利益にはその他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定、退職給付に係る調整額等が含まれ、過年度にその他の包括利益に計上された額が当期の純損益に振り替えられる組替調整(リサイクリング)の理解が問われる。在外子会社の財務諸表項目の換算は「外貨建取引等会計処理基準」により、資産・負債は決算時の為替相場(CR)、純資産(親会社による取得時の項目)は取得時レート(HR)、収益・費用は原則として期中平均相場(AR、決算時相場も可)で換算し、貸借差額は為替換算調整勘定としてその他の包括利益累計額に計上する。
連結キャッシュ・フロー計算書や連結株主資本等変動計算書、セグメント情報(企業会計基準第17号)も周辺論点として短答式で問われる。特に近年の出題傾向として、支配獲得→追加取得→一部売却→支配喪失という持分変動の一連の処理を横断的に問う総合問題が定着しており、支配喪失時には、残存する投資は個別財務諸表上の帳簿価額(関連会社に該当する場合は持分法)を基礎として評価し、時価による再測定は行わない(IFRSでは残存投資を支配喪失日の時価で再測定する点が相違)。売却持分と対価の差額に関連する損益は認識する。計算対策としては、タイムテーブル(資本連結の推移表)を用いて子会社資本の推移・のれん未償却残高・非支配株主持分・利益剰余金の親会社持分を機械的に集計する解法を確立することが、70%の合格基準を安定的に超える鍵となる。
この章の問題から3問
のれんは、無形固定資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却しなければならない。
正解 ○(正しい)
正しい。「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)により、のれんは20年以内のその効果の及ぶ期間で規則的に償却する。IFRSでは非償却(減損のみ)であるため、両者の混同を狙ったひっかけに注意。
支配獲得日における子会社の資産及び負債の評価は、親会社の持分に相当する部分についてのみ時価評価する部分時価評価法によることができる。
正解 ×(誤り)
誤り。「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)では、子会社の資産及び負債のすべてを支配獲得日の時価で評価する全面時価評価法のみが認められており、部分時価評価法は廃止されている。旧基準の選択適用を前提としたひっかけである。
子会社から親会社への販売(アップストリーム)により生じた棚卸資産の未実現利益は、その全額を消去し、親会社の持分と非支配株主持分とにその持分割合に応じて負担させる。
正解 ○(正しい)
正しい。企業会計基準第22号により、アップストリームの未実現利益は全額消去・持分按分負担方式で処理する。ダウンストリームでは全額消去・親会社負担方式となる点との対比が問われる。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。