疾病の成り立ちと回復の促進(病態・薬理の基礎)
アレルギーはI〜IV型に分類され、I型(IgE・即時型)の代表がアナフィラキシーで第一選択はアドレナリン筋注、経口薬は肝臓の初回通過効果を受けるが静注・舌下はこれを回避する——病態と薬理の核心を押さえる。
炎症は組織傷害に対する生体防御反応であり、看護師国家試験で頻出の基礎病態である。古典的にはケルススが提唱した4徴候、すなわち発赤(rubor)・熱感(calor)・腫脹(tumor)・疼痛(dolor)で示され、後にガレノスが機能障害(functio laesa)を加えて5徴候とした。急性炎症の初期では、ヒスタミンやブラジキニン、プロスタグランジンなどの化学伝達物質により細動脈拡張と血管透過性亢進が起こり、続いて好中球が遊走・浸潤する。一方、慢性炎症ではマクロファージやリンパ球、形質細胞が主体となる。全身反応として白血球増加、CRP上昇、発熱がみられる。発熱は視床下部の体温調節中枢に内因性発熱物質(IL-1、IL-6、TNF-α)が作用し、プロスタグランジンE2を介して起こる。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害してプロスタグランジン合成を抑制し、解熱・鎮痛・抗炎症作用を示す。
免疫の逸脱反応であるアレルギーは、CoombsとGellの分類でI〜IV型に整理され、型ごとの機序と代表疾患を問う設問が定番である。I型(即時型)はIgE抗体と肥満細胞・好塩基球によるヒスタミン遊離が中心で、アナフィラキシー、アトピー型気管支喘息、蕁麻疹、花粉症が該当する。II型(細胞傷害型)は細胞表面抗原に対する自己抗体が関与し、不適合輸血や自己免疫性溶血性貧血がその例である。III型(免疫複合体型)は抗原抗体複合体の組織沈着によるもので、糸球体腎炎や全身性エリテマトーデスがあげられる。IV型(遅延型)はT細胞が主体で、ツベルクリン反応、接触性皮膚炎、移植拒絶反応が典型である。アナフィラキシーは急速に進行し気道浮腫や血圧低下をきたすため、第一選択薬はアドレナリン(エピネフリン)の筋肉内注射であり、抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイドは補助的位置づけである点を確実に押さえる。
ショックは全身の急性循環障害により組織灌流と酸素供給が不足した状態で、主として4群に分類される。すなわち、出血や脱水による循環血液量減少性ショック、心筋梗塞など心ポンプ失調による心原性ショック、敗血症・アナフィラキシー・神経原性による血液分布異常性ショック、肺塞栓や心タンポナーデによる心外閉塞・拘束性ショックである。多くのショックでは血圧低下、頻脈、皮膚蒼白、冷汗、チアノーゼ、尿量減少がみられる。しかし血液分布異常性ショックの初期(ウォームショック)では末梢血管拡張のため皮膚が温かく紅潮することがあり、この例外は頻出のひっかけである。敗血症性ショックは感染に対する全身性の炎症反応が背景にあり、血液分布異常性に分類される。看護では、意識・血圧・脈拍・尿量・末梢冷感の観察と、原因に応じた輸液・昇圧薬・酸素投与の管理が重要となる。
腫瘍は細胞の自律的で過剰な増殖であり、良性腫瘍と悪性腫瘍の鑑別が病態の要点である。良性腫瘍は膨張性(圧排性)に発育し、被膜に覆われ、異型性が乏しく、転移しない。これに対し悪性腫瘍は浸潤性に発育し、被膜を欠くことが多く、異型性が強く分化度が低く、転移をきたす。悪性腫瘍は上皮性の癌腫と非上皮性の肉腫に大別される。転移経路にはリンパ行性転移、血行性転移、体腔内への播種性転移があり、進行例では食欲不振・体重減少・全身衰弱を特徴とする悪液質(カヘキシア)を呈する。診断補助として腫瘍マーカー(CEA、AFP、CA19-9、PSAなど)が用いられる。発癌には化学物質、放射線、ウイルス感染が関与し、ヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頸癌、B型・C型肝炎ウイルスと肝細胞癌、EBウイルスなどの関連が知られる。
薬理学の基礎では薬物動態(ADME)の理解が不可欠である。薬物は吸収(Absorption)、分布(Distribution)、代謝(Metabolism)、排泄(Excretion)の過程をたどる。経口投与された薬物は消化管から吸収された後、門脈を経て肝臓に入り、体循環に到達する前に代謝を受ける。これを初回通過効果(first-pass effect)といい、薬物の生物学的利用能を低下させる。薬物代謝の主役は肝臓のチトクロームP450(CYP)であり、排泄は主に腎臓(糸球体濾過と尿細管分泌)による。投与経路のうち静脈内注射は肝臓を経ずに直接循環へ入るため作用が速く確実で生物学的利用能は100%であり、初回通過効果を受けない。ニトログリセリンの舌下錠や坐薬も初回通過効果を回避できる。血中濃度が有効域と中毒域が近接する薬物ではTDM(治療薬物モニタリング)が行われ、ジゴキシン、テオフィリン、バンコマイシン、リチウム、フェニトインが代表である。
薬物有害反応(副作用)と主要薬物の管理は臨床で直結する頻出領域である。抗凝固薬ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子の生成を阻害し、PT-INRでモニタリングする。ビタミンKを多く含む納豆・クロレラ・青汁は作用を減弱させるため摂取を避ける。副腎皮質ステロイドの長期投与では、易感染、消化性潰瘍、骨粗鬆症、高血糖(ステロイド糖尿病)、満月様顔貌、中心性肥満、高血圧がみられ、急な中止は離脱症状を招くため漸減する。強心配糖体ジギタリス(ジゴキシン)は有効域が狭く、低カリウム血症で作用が増強され中毒(悪心・嘔吐、不整脈、黄視などの視覚異常)を起こしやすい。アミノグリコシド系抗菌薬は腎毒性と第8脳神経障害(聴覚障害)に注意する。医療用麻薬モルヒネの主な副作用は便秘、悪心・嘔吐、眠気、呼吸抑制であり、便秘には耐性が生じにくいため下剤の予防投与が行われる。
この章の問題から3問
炎症の4徴候(ケルススの4徴候)には、発赤・熱感・腫脹・疼痛が含まれる。
正解 ○(正しい)
ケルススが示した炎症の4徴候は発赤(rubor)・熱感(calor)・腫脹(tumor)・疼痛(dolor)である。第5徴候の機能障害(functio laesa)はガレノスが後に加えたもので、4徴候には含まれない点がひっかけ。
静脈内注射で投与された薬物は、初回通過効果(first-pass effect)を受ける。
正解 ×(誤り)
初回通過効果は、経口投与された薬物が消化管吸収後に門脈を経て肝臓で代謝を受ける現象である。静脈内注射は肝臓を経ずに直接体循環へ入るため初回通過効果を受けず、生物学的利用能は100%となる。経口と静注の混同を狙ったひっかけ。
アナフィラキシーショックに対する第一選択薬は、抗ヒスタミン薬の静脈内投与である。
正解 ×(誤り)
アナフィラキシーの第一選択薬はアドレナリン(エピネフリン)の筋肉内注射である。抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイドは補助的で、初期治療の主体にはならない。「抗ヒスタミン薬」「静脈内」の2点がひっかけ。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。