健康支援と社会保障制度(医療法・保健師助産師看護師法)
免許・承認の権者(厚生労働大臣か都道府県知事か)、病院20床以上・診療所19床以下の定義、看護師の守秘義務は保助看法・助産師は刑法第134条という対比を正確に区別することが本章攻略の核心である。
医療法は1948(昭和23)年に制定された、医療提供体制の基本を定める法律である。第1条の2は医療の基本理念として、生命の尊重と個人の尊厳の保持を掲げ、医療は医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき提供されるべきことを規定する。第1条の4第2項は、医師・歯科医師・薬剤師・看護師その他の医療の担い手に対し、医療を提供するに当たり適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めることを求めており、インフォームド・コンセントの法的根拠として頻出である。これは努力義務であり罰則付きの義務ではない点がひっかけどころとなる。医療提供施設の定義も必修の定番であり、病院は20床以上の入院施設を有するもの、診療所は入院施設を有しないか19床以下のもの、助産所は妊婦・産婦・じょく婦10人以上の入所施設を有してはならない(実質9人まで)と整理して覚える。
医療法は病院の機能分化を定めている。特定機能病院は高度の医療の提供・開発・評価および研修を行う能力を備えた病院で、原則400床以上の病床を有し、厚生労働大臣の承認を受ける。大学病院本院などが該当する。地域医療支援病院は、かかりつけ医等を支援し、紹介患者への医療提供、救急医療の提供、医療機器の共同利用、地域の医療従事者の研修を行う病院で、原則200床以上、所在地の都道府県知事の承認を受ける。承認権者の対比(大臣か知事か)は本試験で最も繰り返し問われる論点である。2014(平成26)年の医療法改正では、革新的な医薬品・医療機器の開発に必要な質の高い臨床研究の中心となる臨床研究中核病院が法制化された(承認は厚生労働大臣、2015年施行)。また病床は精神病床・感染症病床・結核病床・療養病床・一般病床の5種に区分される点も併せて押さえる。
医療計画は医療法第30条の4に基づき都道府県が策定する。記載事項として、がん・脳卒中・心筋梗塞等の心血管疾患・糖尿病・精神疾患の「5疾病」と、救急医療・災害時における医療・へき地の医療・周産期医療・小児医療の「5事業」および在宅医療が長く出題されてきたが、2021(令和3)年の医療法改正で「新興感染症発生・まん延時における医療」が事業に追加され、2024年度開始の第8次医療計画からは「5疾病・6事業および在宅医療」となった。これは直近の改正論点として要注意である。基準病床数の設定も医療計画の重要事項である。医療安全に関しては、都道府県等が医療安全支援センターを設置して患者・家族の苦情や相談に対応する。さらに2015(平成27)年10月開始の医療事故調査制度により、病院等の管理者は医療に起因する予期しなかった死亡・死産を医療事故調査・支援センターに報告し、院内調査を行うことが義務付けられている。
保健師助産師看護師法(保助看法)は1948(昭和23)年制定で、看護職の免許・業務を定める。看護師は「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」(第5条)、保健師は保健指導を業とする者(第2条)、助産師は助産又は妊婦・じょく婦・新生児の保健指導を業とする女子(第3条)である。保健師・助産師・看護師の免許は厚生労働大臣が、准看護師の免許は都道府県知事が与える。2006(平成18)年改正により、保健師・助産師の免許取得には看護師国家試験の合格も要件となった。欠格事由はすべて相対的欠格事由であり(絶対的欠格事由は2001年改正で廃止)、罰金以上の刑、業務に関する犯罪・不正行為、心身の障害、麻薬・大麻・あへんの中毒が該当する。行政処分は戒告・3年以内の業務停止・免許取消の3類型で、処分を受けた者には再教育研修が課される。
看護師の業務である療養上の世話と診療の補助は業務独占であり(保助看法第31条)、看護師でない者はこれを業としてはならない。2006年改正では名称独占も追加され(2007年施行)、保健師・助産師・看護師・准看護師のいずれも名称独占資格となった。一方、保健師の保健指導は業務独占ではなく、保健師でない者が保健指導を行うこと自体は可能である点が頻出のひっかけである(第29条が禁じるのは保健師またはこれに類似する名称を用いた業)。助産は助産師(および医師)の業務独占であり、助産師は女子に限られる。第37条は、主治の医師又は歯科医師の指示がなければ、診療機械の使用、医薬品の授与、医薬品についての指示その他衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならないと定めるが、臨時応急の手当は例外として看護師の判断で行うことができる。助産師が行うへその緒の切断等も例外とされる。
守秘義務の法的根拠は職種によって異なる。保健師・看護師・准看護師の守秘義務は保助看法第42条の2(2001年改正で追加)に規定され、看護職でなくなった後においても同様に適用される。これに対し助産師の守秘義務は、医師・薬剤師などと同じく刑法第134条(秘密漏示)に規定されている点が最頻出のひっかけである。届出義務としては、業務に従事する看護職は2年ごとに(12月31日現在の状況を翌年1月15日までに)氏名・住所等を就業地の都道府県知事に届け出る(第33条・業務従事者届)。免許取得時には籍に登録され、本籍地都道府県名・氏名など登録事項に変更が生じたときは30日以内に籍の訂正を申請しなければならない。助産師にはさらに、助産等の求めに応ずる応召義務、出生証明書・死産証書・死胎検案書の交付義務、妊娠4か月以上の死産児を検案して異常を認めた場合に24時間以内に所轄警察署へ届け出る義務(第41条)がある。
2014(平成26)年の保助看法改正(2015年10月施行)により、特定行為に係る看護師の研修制度が創設された(第37条の2)。特定行為とは、診療の補助のうち、実践的な理解力・思考力・判断力ならびに高度かつ専門的な知識・技能が特に必要とされる行為であり、脱水症状に対する輸液による補正など21区分38行為が省令で定められている。厚生労働大臣が指定する指定研修機関で特定行為研修を修了した看護師は、医師又は歯科医師があらかじめ作成する手順書により、患者が手順書に定められた病状の範囲にあることを確認したうえで特定行為を実施できる。医師の指示が不要になる制度ではなく、手順書という包括的指示の枠組みで行う点に注意する。また2009(平成21)年改正では、免許取得後も臨床研修その他の研修を受け、資質の向上を図る努力義務が明記された(第28条の2)。医師の働き方改革に伴うタスク・シフト/シェアの文脈でも出題される制度である。
この章の問題から3問
医療法において、病院とは20人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
正解 ○(正しい)
正しい。医療法第1条の5により、病院は20床(20人以上の患者を入院させるための施設)以上を有するものと定義される。入院施設を有しないもの、または19床以下のものは診療所である。「20床以上か19床以下か」の境界数値の入れ替えが定番のひっかけとなる。
助産師の守秘義務は保健師助産師看護師法に規定されている。
正解 ×(誤り)
誤り。助産師の守秘義務は医師・薬剤師などと同じく刑法第134条(秘密漏示)に規定されている。保健師助産師看護師法第42条の2に守秘義務が規定されているのは保健師・看護師・准看護師であり、助産師は含まれない。「4職種とも保助看法」と思わせるのが本問のひっかけである。
保健師でない者は、保健指導を業として行うことができない。
正解 ×(誤り)
誤り。保健師は業務独占の資格ではない。保助看法第29条が禁じるのは「保健師又はこれに類似する名称を用いて」保健指導を業とすることであり(名称独占)、保健指導そのものは医師・養護教諭・管理栄養士など保健師以外の者も行うことができる。看護師・助産師の業務独占(第30条・第31条)との対比で問われる頻出のひっかけである。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。