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社会・環境と健康(公衆衛生・疫学・健康日本21)

疾病予防は一次(健康増進・予防接種)・二次(早期発見)・三次(リハビリ)の3段階に整理され、疫学では罹患率と有病率、相対危険とオッズ比の使い分けが頻出。健康づくりの法的基盤は健康増進法、政策枠組みは健康日本21(第三次)である。

公衆衛生とは、組織された地域社会の努力を通じて疾病を予防し、寿命を延長し、身体的・精神的健康の増進を図る科学であり技術であるとする、ウィンスローの定義が本試験で繰り返し問われる。健康の定義はWHO憲章(1948年)前文の「健康とは、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」が原典である。公衆衛生活動は個人ではなく集団(population)を対象とし、疾病の予防と健康増進を目的とする点で臨床医学と区別される。近年はSDGs(持続可能な開発目標)やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)といった国際的枠組みも出題対象となり、生活習慣のみならず社会経済的要因を含む健康の社会的決定要因(SDH)への理解が求められている。

疾病予防はリーベル(Leavell)とクラーク(Clark)による三段階モデルで整理される。一次予防は疾病の発生そのものを防ぐ段階で、健康増進(健康教育・生活習慣の改善)と特異的予防(予防接種・環境衛生の改善)が含まれる。二次予防は既に発生した疾病の早期発見・早期治療を指し、がん検診や特定健康診査などのスクリーニングが該当する。三次予防は治療後の機能回復訓練(リハビリテーション)や再発防止、社会復帰の支援を意味する。予防接種を二次予防と誤らせる、あるいはがん検診を一次予防とする選択肢は頻出の引っかけであり、各活動がどの段階に属するかを正確に対応づけることが得点の鍵となる。

疫学の基本指標のうち、罹患率は一定期間に新たに疾病が発生した者の割合(発生率)を、有病率はある一時点で疾病を有している者の割合を示し、両者の混同は最頻出の誤答パターンである。曝露と疾病発生の関連を示す指標として、相対危険(曝露群の罹患率÷非曝露群の罹患率)は曝露による危険度の倍率を、寄与危険(曝露群の罹患率−非曝露群の罹患率)は曝露を除去した場合に減少しうる発生量を表す。相対危険はコホート研究で直接算出できるが、症例対照研究では罹患率が求められないため、オッズ比を相対危険の近似値として用いる。致命率(致死率)は罹患者のうち死亡した者の割合であり、人口を分母とする死亡率とは分母が異なる点に注意を要する。

疫学研究は記述疫学と分析疫学に大別され、分析疫学には横断研究・コホート研究・症例対照研究、さらに人為的介入を加える介入研究(ランダム化比較試験など)がある。コホート研究は要因への曝露状況で対象を分類し、その後の疾病発生を前向きに追跡観察するため相対危険を直接算出でき、時間的前後関係が明確でバイアスが少ない一方、まれな疾患の研究には不向きで費用と時間を要する。症例対照研究は疾病罹患者(症例)と非罹患者(対照)で過去の曝露を比較する後ろ向き研究で、まれな疾患に効率的だが想起バイアスを受けやすい。エビデンスの質はランダム化比較試験やそのメタアナリシスが高く、EBM(根拠に基づく医療)の基盤をなす。

スクリーニング検査の精度は敏感度と特異度で評価する。敏感度(感度)は疾病を有する者を正しく陽性と判定する割合(真陽性率)であり、敏感度が高い検査は見逃し(偽陰性)が少ない。特異度は疾病を有しない者を正しく陰性と判定する割合(真陰性率)であり、特異度が高い検査は偽陽性が少ない。両者は一般にトレードオフの関係にあり、カットオフ値を変えると一方が上がれば他方は下がる。検査陽性者のうち真に疾病を有する者の割合を陽性反応的中度(陽性的中率)といい、これは対象集団の有病率の影響を受け、有病率が低い集団では的中度が低下する点が頻出の論点である。

わが国の健康づくり施策の法的基盤は健康増進法(2002年制定・2003年施行)であり、国民健康・栄養調査の実施、受動喫煙の防止、市町村による健康増進事業などを規定する。2018年改正では望まない受動喫煙の防止が強化され、2020年4月から多数の者が利用する施設は原則屋内禁煙となった。国民の健康づくり運動である健康日本21は、第二次(2013〜2023年度)を経て、2024年度(令和6年度)から健康日本21(第三次)が2035年度までの計画として開始された。第三次は、(1)健康寿命の延伸と健康格差の縮小、(2)個人の行動と健康状態の改善、(3)社会環境の質の向上、(4)ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり、の4つを基本的方向として掲げ、ライフコースアプローチが新たに前面に位置づけられた点が特徴である。

健康増進の国際的理念として、1978年のアルマ・アタ宣言はプライマリヘルスケアを、1986年にWHOが採択したオタワ憲章はヘルスプロモーション(人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし改善できるようにするプロセス)を提唱した。環境分野では、環境基本法が環境保全の基本理念を定め、大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・振動・地盤沈下・悪臭の典型七公害が規定される。地球規模の環境問題としては地球温暖化・オゾン層破壊・酸性雨などが出題され、上水道の塩素消毒や下水処理、廃棄物処理法に基づく一般廃棄物・産業廃棄物の区分も公衆衛生の基礎知識として問われる。健康の決定要因が生活習慣にとどまらず物理的・社会的環境に及ぶことを体系的に理解しておきたい。

この章の問題から3問

有病率とは、一定期間内に新たに疾病が発生した者の割合を示す指標である。

正解 ×(誤り)

設問の内容は罹患率(発生率)の定義である。有病率はある一時点で疾病を有している者の割合を示す。罹患率と有病率の混同は本試験で最も多い引っかけパターンであり、誤り。

健康日本21(第三次)は、2024年度(令和6年度)から開始された。

正解 ○(正しい)

健康日本21(第三次)は健康増進法に基づく国民健康づくり運動で、第二次(2013〜2023年度)を経て2024年度(令和6年度)から2035年度までの計画として開始された。正しい。

予防接種は、疾病予防の三段階のうち二次予防に分類される。

正解 ×(誤り)

予防接種は疾病の発生そのものを防ぐ特異的予防であり、リーベルとクラークの分類では一次予防に位置づけられる。二次予防は早期発見・早期治療(スクリーニング等)を指すため誤り。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。