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給食経営管理論と食べ物と健康(大量調理・食品衛生)

大量調理施設衛生管理マニュアルの三本柱―加熱は中心75℃1分以上(ノロは85〜90℃90秒以上)、冷却は30分以内に20℃付近、検食は-20℃以下で2週間以上保存―を数値で確実に押さえることが合否を分ける。

給食経営管理の法的基盤は健康増進法にある。同法第20条は、特定かつ多数の者に対して継続的に食事を供給する施設のうち栄養管理が必要な『特定給食施設』を対象とし、その定義は施行規則第5条により継続的に1回100食以上又は1日250食以上を供給する施設とされる。設置者は事業開始から1か月以内に都道府県知事へ届け出る義務を負う。第21条第1項に基づき都道府県知事が指定する施設には管理栄養士の必置義務があり、施行規則第7条で、医学的管理を要する者への施設は1回300食以上又は1日750食以上、その他は1回500食以上又は1日1,500食以上と規模基準が定められる。それ以外の特定給食施設には栄養士又は管理栄養士を置く努力義務がある。なお管理栄養士の免許は栄養士法により厚生労働大臣が、栄養士免許は都道府県知事が与える点も頻出である。

栄養・食事管理はPDCAサイクルで運用する。まず対象集団の性・年齢・身体活動レベル等を把握し、日本人の食事摂取基準を用いてエネルギー及び各栄養素の給与栄養目標量を設定する。次にこれを満たす食品群別使用量の目安として食品構成表を作成し、荷重(加重)平均成分表を用いて栄養価計算を行う。一定期間の実施状況は栄養出納表で食品群別使用量と栄養素量を評価し、給与量と摂取量の乖離を検証する。健康増進法施行規則が定める適切な栄養管理は、利用者の身体状況・栄養状態の把握、それに基づく食事計画、品質管理された食事の提供、評価を求めており、実施状況は栄養管理報告書として都道府県知事へ提出する。栄養教育や食環境整備も業務に含まれ、単なる調理提供でなく健康管理の一環として位置づけられる。

経営管理では原価・品質・生産の各管理が問われる。給食の原価は食材料費、労務費(人件費)、経費に大別され、食材料費割合や損益分岐点、ABC分析が管理指標となる。品質管理では、献立などの計画段階の設計品質と、実際の提供が計画にどれだけ適合したかを示す適合品質、両者を合わせた総合品質の概念を区別する。生産(調理)システムには、調理後速やかに提供するクックサーブ、加熱後急速冷却し冷蔵保存後に再加熱するクックチル、急速冷凍するクックフリーズ、食材を真空包装し低温加熱する真空調理法があり、計画生産による品質の均質化と労務の平準化を図る。適時適温での提供を実現するため温冷配膳車の活用など提供管理も重要である。作業工程表・作業動線の設計により、生産性向上と衛生確保を両立させる。

食品衛生の実務基準は厚生労働省『大量調理施設衛生管理マニュアル』であり、同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上提供する調理施設を対象に、HACCPの概念に基づき重要管理点を示す。加熱調理食品は中心温度75℃で1分間以上、ノロウイルス汚染のおそれのある食品は85〜90℃で90秒間以上の加熱を確認・記録する。加熱後に冷却する場合は30分以内に中心温度を20℃付近(又は60分以内に10℃付近)まで下げ、細菌増殖域の通過時間を短縮する。調理後の食品は調理終了後2時間以内の喫食が望ましい。検食(保存食)として、原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ清潔な容器に入れて密封し、-20℃以下で2週間以上保存する。冷蔵は10℃以下、冷凍は-15℃以下を基本とし、温度記録を徹底する。

二次汚染の防止も出題頻度が高い。調理場は汚染作業区域(検収・下処理)と非汚染作業区域(準清潔作業区域=調理、清潔作業区域=盛付・製品保管)に区分し、作業動線と器具・容器の使い分けにより交差汚染を防ぐ。手洗いは作業区分ごとに適切な時点で行い、使い捨て手袋の交換や器具の使用後の洗浄・消毒を徹底する。原材料と調理済み食品、加熱前と加熱後の食品を明確に分離する。加熱せずに供する野菜及び果物は流水で十分洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム(200mg/Lで5分間又は100mg/Lで10分間)等で殺菌後、流水で十分すすぐ。原材料の納入時には温度や鮮度、包装を点検し検収記録を残す。井戸水等使用時は遊離残留塩素0.1mg/L以上を確認する。

食中毒は原因により細菌性(感染型のサルモネラ属菌・腸炎ビブリオ・カンピロバクター、毒素型の黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌)、ウイルス性(ノロウイルス)、寄生虫(アニサキス)、自然毒、化学物質に分類される。近年の厚生労働省食中毒統計では、事件数はアニサキスが最多で、患者数ではノロウイルスやウェルシュ菌、カンピロバクターが上位を占める。大量調理で特に重要なウェルシュ菌は芽胞を形成し耐熱性で嫌気性を好み、カレー等を大量調理して緩慢に冷却・室温放置すると増殖し『給食病』の原因となる。2018年の食品衛生法改正により、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が制度化され、2021年6月に完全施行された。危害要因分析(HA)と重要管理点(CCP)の管理基準の設定・モニタリングが求められる。

大量調理には少量調理と異なる技術的特性がある。使用量算出では廃棄率を考慮した発注量(純使用量÷可食部率)を用いる。加熱では、釜の余熱や消火後の温度上昇により過加熱が生じやすく、炊飯は付着水と加水量、煮物は煮汁の蒸発を見込む必要がある。和え物や酢の物は時間経過で野菜からの放水により味が薄まり水っぽくなるため、供食直前の調味や下処理での脱水が求められる。調味は食材重量に対する割合(%)で標準化し味の再現性を確保する。加熱ムラを避けるため一度に投入する量を制限し、揚げ物は油の温度低下を考慮する。これらの特性を作業工程表に反映し、衛生基準を満たしつつ品質・時間・コストを管理することが給食経営管理の実践となる。

この章の問題から3問

特定給食施設とは、健康増進法施行規則により、継続的に1回100食以上又は1日250食以上の食事を供給する施設をいう。

正解 ○(正しい)

健康増進法第20条・施行規則第5条の定義どおりで正しい。『300食/750食』は第21条・施行規則第7条が定める管理栄養士必置指定施設(医学的管理を要する者への施設)の基準であり、特定給食施設そのものの定義と混同させるひっかけに注意する。

管理栄養士の免許は、都道府県知事が与える。

正解 ×(誤り)

誤り。栄養士法により管理栄養士の免許は厚生労働大臣が与える。都道府県知事が与えるのは栄養士免許である。免許権者の入れ替えは頻出のひっかけ。

大量調理施設衛生管理マニュアルでは、加熱調理食品は中心温度75℃で1分間以上、ノロウイルス汚染のおそれのある食品は85〜90℃で90秒間以上の加熱を確認する。

正解 ○(正しい)

厚生労働省『大量調理施設衛生管理マニュアル』の加熱基準どおりで正しい。通常品75℃・1分以上、ノロ対応品85〜90℃・90秒以上という二段構えの数値を正確に区別できるかが問われる。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。