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商業簿記③ 決算整理と財務諸表・本支店会計

決算整理は期中記録を発生主義と期末評価のあるべき残高へ修正する手続と捉え、売上原価・引当金・有価証券・税効果を表示区分まで一体で押さえ、本支店会計は照合勘定の一致と内部取引の相殺消去を軸に解くこと。

日商簿記2級は日本商工会議所の「商工会議所簿記検定試験出題区分表」に基づいて出題され、商業簿記3題と工業簿記2題の計5題を90分で解き、100点満点中70点以上で合格となる(ネット試験・統一試験共通)。本章が扱う決算整理と財務諸表の作成は、統一試験の第2問・第3問、ネット試験の大問として毎回のように問われる最重要領域である。出題形式は、決算整理前残高試算表と決算整理事項から損益計算書・貸借対照表を作成させる形式、精算表や決算整理後残高試算表を完成させる形式が中心であり、本支店会計は本支店合併損益計算書の作成や未達取引の整理として出題実績がある。決算整理は個々の仕訳の正確さに加え、集計の速さと配点箇所の見極めが得点を左右する。本章では決算整理事項を論点別に整理したうえで、財務諸表の表示区分、本支店会計の一連の手続までを体系的に確認する。

売上原価の算定は決算整理の出発点である。三分法では、仕入勘定で算定する方法(期首商品を繰越商品勘定から仕入勘定へ、期末商品を仕入勘定から繰越商品勘定へ振り替える)と、売上原価勘定で算定する方法の2通りがある。2級では期末商品の評価が必ず絡む。帳簿棚卸数量と実地棚卸数量の差から生じる棚卸減耗損と、正味売却価額が原価を下回る場合の商品評価損である。「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号)は、収益性の低下により正味売却価額が取得原価を下回るときは帳簿価額を切り下げることを求めており、商品評価損は原則として売上原価の内訳科目として表示する。棚卸減耗損は原価性があれば売上原価の内訳または販売費及び一般管理費に表示するが、本試験では問題文の指示に従えばよい。計算は「減耗を先に数量ベースで、評価損は実地数量に対して単価差で」求める順序が鉄則である。

債権の期末評価では貸倒引当金を差額補充法で設定する。設定対象が受取手形・売掛金・電子記録債権・契約資産などの営業債権であれば貸倒引当金繰入は販売費及び一般管理費、貸付金などの営業外債権であれば営業外費用に区分される点が財務諸表作成問題で頻出である。有形固定資産の減価償却は定額法・定率法・生産高比例法が出題範囲で、記帳は間接法(減価償却累計額勘定)による。定率法は期首帳簿価額(取得原価−期首減価償却累計額)に償却率を乗じ、いわゆる200%定率法では定額法償却率(1÷耐用年数)を2倍した率を用いる。期中の取得・売却は月割計算である。また引当金は、企業会計原則注解18の計上要件(将来の特定の費用・損失であること、発生原因が当期以前にあること、発生の可能性が高いこと、金額を合理的に見積れること)に基づき、修繕引当金・賞与引当金・退職給付引当金・商品保証引当金などの設定仕訳が出題される。

有価証券の期末評価は「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)の保有目的別4区分で整理する。売買目的有価証券は時価評価し、評価差額を有価証券評価損益として当期の損益に計上する。満期保有目的債券は取得原価または償却原価法(2級は定額法)で評価し、額面金額と取得価額の差額(金利調整差額)を償還期間にわたり有価証券利息に加減する。子会社株式・関連会社株式は取得原価のまま据え置く。その他有価証券は時価評価するが、評価差額は全部純資産直入法により純資産の部の「その他有価証券評価差額金」とし、損益計算書には計上せず、翌期首に洗替処理を行う(税効果会計の適用対象)。外貨建取引は「外貨建取引等会計処理基準」に基づき取引発生時の為替相場で記録し、決算時には外貨建ての売掛金・買掛金・現金預金などの貨幣項目を決算時の為替相場で換算替えして為替差損益を計上する。前払金・前受金は非貨幣項目のため換算替えしない点がひっかけの定番である。

経過勘定項目は、企業会計原則の定める発生主義の原則に基づき、費用・収益の見越し(未払費用・未収収益)と繰延べ(前払費用・前受収益)を行うものであり、翌期首には必ず再振替仕訳を行う。収益認識については「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)が2級の範囲に含まれ、履行義務の充足に応じて収益を認識すること、商品引渡し前に受け取った対価を契約負債とすること、売上割戻(リベート)の見込額を変動対価として売上収益から控除し返金負債に計上することが問われる。法人税等については、中間納付時の仮払法人税等、決算における法人税、住民税及び事業税の計上と未払法人税等への振替を押さえる。さらに税効果会計では、貸倒引当金繰入や減価償却費の損金算入限度超過額といった将来減算一時差異に法定実効税率を乗じて繰延税金資産を計上し、相手勘定を法人税等調整額とする。交際費の損金不算入額のような永久差異は税効果の対象外である。

財務諸表の作成問題では表示区分の正確な知識が要求される。損益計算書は報告式で、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の5つの利益を段階的に表示する。貸倒引当金繰入(営業債権分)や退職給付費用は販売費及び一般管理費、受取利息・有価証券利息は営業外収益、支払利息・手形売却損・為替差損は営業外費用、固定資産売却損益や火災損失は特別損益に区分する。貸借対照表は資産・負債を流動・固定に分類し、判定はまず正常営業循環基準により、循環外の項目には一年基準(ワン・イヤー・ルール)を適用する。繰延税金資産は固定区分の「投資その他の資産」に表示する。株主資本等変動計算書では剰余金の配当・処分を扱い、会社法第445条第4項により、配当額の10分の1を、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで準備金として積み立てる規定が計算問題の根拠となる。精算表形式では修正記入欄から損益計算書欄・貸借対照表欄への振分けを機械的に処理できるよう訓練したい。

本支店会計では、本店の帳簿に置く支店勘定と支店の帳簿に置く本店勘定が貸借反対で必ず一致する照合勘定であることが全ての基礎となる。両者が一致しない場合の原因は未達取引であり、商品発送の未達、送金の未達、債権債務の立替決済の未達などを、未達となっている側の帳簿で整理する。未達事項整理後に支店勘定残高と本店勘定残高の一致を確認させる問題は出題実績が高い。決算では本店・支店がそれぞれ決算整理を行い、支店の当期純損益は支店の損益勘定から本店勘定へ振り替え、本店側では支店勘定を相手に損益勘定(または総合損益勘定)へ集約して会社全体の純損益を算定する。本支店合併財務諸表の作成では、支店勘定と本店勘定、本店から支店への商品送付などの内部取引を相殺消去し、外部公表用の財務諸表には表示しない。なお現行の出題区分表では本支店間の商品移送は原価によることが前提で、内部利益の付加・控除は1級の範囲である。合併後の当期純利益と帳簿上の総合損益の一致による検算を習慣化したい。

この章の問題から3問

満期保有目的債券は、決算にあたり時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を当期の損益に計上する。

正解 ×(誤り)

誤り。「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)により、満期保有目的債券は取得原価または償却原価法(2級では定額法)による償却原価で評価し、時価評価は行わない。時価評価して評価差額を損益計上するのは売買目的有価証券である。保有目的の区分と評価方法の対応を入れ替えるのが典型的なひっかけ。

200%定率法では、定額法の償却率(1÷耐用年数)を2倍した率を償却率として、期首帳簿価額(取得原価−期首減価償却累計額)に乗じて減価償却費を計算する。耐用年数10年なら償却率は0.2である。

正解 ○(正しい)

正しい。200%定率法(平成24年4月1日以後取得資産に適用される定率法、法人税法施行令第48条の2に由来)の償却率は定額法償却率の200%であり、耐用年数10年なら1÷10×200%=0.200。これを取得原価ではなく期首帳簿価額に乗じる点も出題ポイント(取得原価に乗じるのは定額法)。

その他有価証券の時価評価差額は、損益計算書の営業外収益または営業外費用として計上する。

正解 ×(誤り)

誤り。「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)により、その他有価証券の評価差額は全部純資産直入法によって貸借対照表の純資産の部に「その他有価証券評価差額金」として計上し、損益計算書には計上しない(税効果会計の適用対象、翌期首に洗替処理)。損益に計上する売買目的有価証券との混同を狙ったひっかけ。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。