Ukaru.資格試験オンライン講座

商業簿記④ 連結会計の基礎

連結は「投資と資本の相殺消去→のれん償却・純利益按分・配当修正→内部取引と未実現利益の消去」の順に修正仕訳を積み上げる一本道であり、アップストリームのみ未実現利益を非支配株主にも負担させる点が最大の急所である。

連結財務諸表とは、支配従属関係にある2つ以上の企業からなる企業集団を単一の組織体とみなし、親会社が企業集団全体の財政状態および経営成績を総合的に報告するために作成する財務諸表である。会計処理の拠り所は企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」であり、子会社の判定には持株基準ではなく支配力基準が採用されている。すなわち、他の企業の意思決定機関(株主総会等)を支配している企業が親会社、支配されている企業が子会社であり、議決権の過半数(50%超)を所有する場合のほか、50%以下の所有でも高い比率の議決権を有し役員派遣等により意思決定機関を支配する事実が認められる場合には子会社と判定される。連結会計は日本商工会議所の出題区分表上、平成29年度から日商簿記2級の範囲に加わった論点であり、統一試験では第2問で連結精算表・連結財務諸表の作成問題が繰り返し出題される最重要分野である。

支配獲得日の連結手続では、まず子会社の資産および負債のすべてを支配獲得日の時価で評価する(全面時価評価法。企業会計基準第22号第20項)。時価と帳簿価額の差額は「評価差額」として子会社の資本を構成する。次に、親会社の投資(子会社株式)と、これに対応する子会社の資本(資本金・資本剰余金・利益剰余金および評価差額)を相殺消去する(同第23項)。子会社資本のうち親会社に帰属しない部分は「非支配株主持分」とし、連結貸借対照表では純資産の部に株主資本と区別して表示する(企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」)。投資額が親会社持分(子会社資本×親会社持分比率)を上回る場合の差額は「のれん」として無形固定資産に計上し、下回る場合は「負ののれん発生益」として発生年度の利益(特別利益)に計上する。これらの連結修正仕訳は個別財務諸表には一切影響せず、連結上でのみ行う点が個別会計との決定的な違いである。

支配獲得後の連結では、連結財務諸表は毎期、各社の個別財務諸表を単純合算した上で連結修正仕訳を加えて作成する。このため過年度に行った連結修正仕訳を当期に引き継ぐ「開始仕訳」が必要となり、開始仕訳では損益項目や株主資本の増減項目を「利益剰余金当期首残高」などの当期首残高科目に置き換えて仕訳する。当期分の修正の定番は3つである。第一に、のれんの償却。企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」第32項により、のれんは20年以内のその効果の及ぶ期間にわたり定額法その他の合理的な方法で規則的に償却し、「のれん償却」として費用計上する。第二に、子会社当期純利益の按分。非支配株主持分比率に相当する額を「非支配株主に帰属する当期純利益」として計上し、同額だけ非支配株主持分を増加させる。第三に、子会社の配当金の修正。親会社受取分は受取配当金と相殺し、非支配株主受取分は非支配株主持分を減額する。この3仕訳を機械的に切れることが2年目以降の問題攻略の前提となる。

成果連結では、企業集団内部の取引は単一組織体の観点からは存在しないものとみなし、連結会社相互間の取引高と債権債務を相殺消去する。具体的には、売上高と売上原価(仕入高)、受取利息と支払利息、受取手数料と支払手数料などの取引高、および売掛金と買掛金、貸付金と借入金、未収入金と未払金、前払費用と前受収益などの債権債務が消去対象である。相殺されるのはあくまで連結会社間の金額のみであり、企業集団外部の得意先・仕入先に対する債権債務は消去しない点に注意する。また、相殺消去した売掛金等に貸倒引当金が設定されている場合には、当該貸倒引当金と貸倒引当金繰入額をあわせて修正する必要がある。応用論点として、連結会社間で振り出した手形を銀行で割り引いた場合、連結上は手形による資金調達とみて支払手形から短期借入金へ振り替える処理が出題されることがある。

連結会社間で商品や土地を売買し、期末にそれが企業集団内部に残っている場合、個別上計上された利益は集団外部との取引で実現していないため「未実現利益」としてその全額を消去する(企業会計基準第22号第36項)。親会社から子会社への販売(ダウンストリーム)では未実現利益を全額消去し、全額を親会社が負担する。子会社から親会社への販売(アップストリーム)では全額消去した上で、非支配株主持分比率に相当する額を非支配株主持分に負担させる(同第38項。全額消去・持分按分負担方式)。仕訳は、期末商品なら(借)売上原価/(貸)商品、土地なら(借)固定資産売却益/(貸)土地となる。利益率の与えられ方には「原価に◯%の利益を加算」(付加利益率)と「売価の◯%が利益」(利益率)の2通りがあり、前者は売価×r÷(1+r)、後者は売価×rで未実現利益を計算する。この読み分けを誤ると計算全体が崩れるため、問題文の表現を必ず確認する習慣をつけるべきである。

本試験では連結精算表または連結財務諸表(連結損益計算書・連結貸借対照表)の作成が中心で、統一試験では第2問(配点20点)での出題が定着しており、ネット試験でも同様の形式が問われる。連結損益計算書では当期純利益から「非支配株主に帰属する当期純利益」を控除して「親会社株主に帰属する当期純利益」を表示し、連結貸借対照表の純資産の部は株主資本・非支配株主持分等に区分する。連結株主資本等変動計算書が問われる場合は「利益剰余金当期首残高」「剰余金の配当」等の科目で解答する。実戦上は、支配獲得日から当期末までの子会社資本の推移を一覧化するタイムテーブルを書けば、のれん・非支配株主持分の残高と開始仕訳・当期修正仕訳を漏れなく導ける。連結問題は満点を狙うより、のれん・のれん償却・非支配株主持分・相殺後の商品や売掛金など確実に計算できる箇所から埋める部分点戦略が合格への定石である。

この章の問題から3問

のれんは、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。

正解 ○(正しい)

正しい。企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」第32項の規定どおりで、連結損益計算書上は「のれん償却」として販売費及び一般管理費に計上する。「即時費用処理が原則」「償却不要(米国基準・IFRSの非償却)」と混同させるひっかけに注意。日本基準では規則的償却が原則である。

非支配株主持分は、連結貸借対照表上、負債の部に表示される。

正解 ×(誤り)

誤り。非支配株主持分は企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」第7項により、純資産の部に株主資本と区別して表示する。旧制度の「少数株主持分」が負債の部と資本の部の中間に独立表示されていた時代の知識を突くひっかけであり、現行基準では負債ではなく純資産である。

子会社から親会社への販売(アップストリーム)において期末商品に含まれる未実現利益は、親会社の持分比率に相当する部分のみを消去する。

正解 ×(誤り)

誤り。企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」第36項・第38項により、未実現利益はアップストリームでも全額を消去し、その上で消去額のうち非支配株主持分比率相当額を非支配株主持分に負担させる(全額消去・持分按分負担方式)。「持分比率分のみ消去」という部分消去方式は現行基準では採用されていない。

この章の残り12問を解く

登録不要 ・ 採点と解説はその場 ・ 進捗は端末に保存

日商簿記2級の他の章

本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。