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工業簿記① 費目別・部門別・個別原価計算

原価は費目別→部門別→製品別の三段階で集計する(原価計算基準9)。予定配賦率=予算額÷基準操業度で配賦し、差異を予算差異と操業度差異に分解する勘定連絡と差異分析の型を確実に身につけることが本章攻略の鍵である。

工業簿記は製造業の内部活動である製造過程を記録し、製品原価を計算する簿記であり、その計算体系は1962年に企業会計審議会が公表した「原価計算基準」に準拠する。原価計算基準9は、原価計算の手続を費目別計算・部門別計算・製品別計算の三段階と定めており、本章はこの流れの全体を扱う。まず原価要素は、形態別分類により材料費・労務費・経費に分けられ(基準8)、さらに製品との関連における分類により、特定の製品にいくら消費されたかを直接把握できる製造直接費と、把握できない製造間接費に分けられる。直接費は各製品(製造指図書)に賦課(直課)し、間接費は一定の配賦基準によって配賦する。この「賦課と配賦」の区別、および勘定連絡図(材料・賃金・経費→仕掛品または製造間接費→仕掛品→製品→売上原価)の理解が、本試験第4問の仕訳問題を解く土台となる。勘定連絡図を白紙に描けるようにしておくことが本章全体の学習の出発点である。

材料費の計算では、まず購入原価を、購入代価に引取運賃・買入手数料などの材料副費を加算して求める(原価計算基準11)。消費額は「消費単価×消費数量」で計算し、消費数量の把握には継続記録法と棚卸計算法が、消費単価の決定には先入先出法・平均法などが用いられる。帳簿残高と実地棚卸数量との差から生じる棚卸減耗費は、正常な範囲であれば間接経費として製造間接費に算入する。また、計算の迅速化のために予定消費単価を用いる場合、予定消費額と実際消費額との差額は材料消費価格差異勘定に振り替え、実際消費額が予定消費額を上回れば借方差異(不利差異)となる。分類面では、素材費・買入部品費は原則として直接材料費、補助材料費・工場消耗品費・消耗工具器具備品費は間接材料費とされる点が仕訳問題で頻出であり、購入時・消費時・差異計上時の一連の仕訳をセットで押さえる必要がある。

労務費は賃金・給料・従業員賞与手当・退職給付費用・法定福利費などに分類される(原価計算基準12)。試験上の最重要論点は賃金消費額の計算であり、給与計算期間(例: 前月21日〜当月20日)と原価計算期間(暦月)とのずれを調整するため、当月消費額=当月支払額−前月未払額+当月未払額(要支払額)で求める。次に、直接工の賃金は、消費賃率に直接作業時間を乗じた部分のみが直接労務費となり、間接作業時間や手待時間に対応する部分は間接労務費として製造間接費に算入する。間接工の賃金、工場事務職員の給料などはすべて間接労務費である。予定賃率を用いる場合は、予定消費額(予定賃率×実際作業時間)と実際消費額との差額を賃率差異勘定に振り替え、実際消費額のほうが大きければ借方差異(不利差異)となる。未払賃金の再振替仕訳を含む一連の勘定記入も統一試験・ネット試験の双方で出題実績がある。

経費は材料費・労務費以外の原価要素であり(原価計算基準13)、消費額の把握方法によって、支払経費(旅費交通費・修繕費・外注加工賃など)、月割経費(減価償却費・保険料・賃借料など)、測定経費(電力料・ガス代・水道料など)、発生経費(棚卸減耗費など)に分類される。経費の大部分は間接経費として製造間接費に集計されるが、外注加工賃と特許権使用料は特定の製品に直接跡付けられるため直接経費として仕掛品勘定に賦課する——ここが最頻出のひっかけである。また、本社建物の減価償却費や販売員給料のような販売費及び一般管理費、支払利息などの営業外費用は非原価項目ないし期間原価であり、製造原価に算入してはならない。ある費用が「工場(製造活動)に関連するか否か」で製造原価算入の可否を判定する感覚は、第4問(1)の仕訳問題で毎回のように問われるため、具体例ごと暗記ではなく判定基準で覚えることが重要である。

製造間接費は、実際配賦によると計算が月末まで確定せず、また操業度の季節変動で製品単価が不安定になるため、予定配賦率による配賦が認められている(原価計算基準33)。予定配賦率=製造間接費予算額÷基準操業度、予定配賦額=予定配賦率×実際操業度で計算し、予定配賦額と実際発生額との差額が製造間接費配賦差異である。差異分析では、公式法変動予算のもとで、予算差異=予算許容額(変動費率×実際操業度+固定費予算額)−実際発生額、操業度差異=固定費率×(実際操業度−基準操業度)に分解する。実際操業度が基準操業度を下回ると、固定費を配賦しきれず操業度差異は必ず不利差異(借方差異)となる。この関係はシュラッター図を描いて視覚的に把握するのが確実であり、固定予算による場合との違いも含め、統一試験・ネット試験とも繰り返し出題されている本章最大の得点源である。

部門別計算は、費目別計算で把握した原価要素を原価部門別に分類集計する手続であり(原価計算基準15)、より正確な製品原価の計算と部門ごとの原価管理を目的とする。原価部門は、製造部門(切削部門・組立部門など)と補助部門(動力部門・修繕部門・工場事務部門など)に区分される(基準16)。第1次集計では、特定部門で固有に発生した部門個別費は各部門に賦課し、複数部門に共通して発生する部門共通費(建物減価償却費→占有面積、福利厚生費→従業員数など)は合理的な配賦基準によって配賦する(基準17・18)。第2次集計では補助部門費を製造部門へ配賦するが、2級では、補助部門間の用役の授受を無視する直接配賦法と、第1次配賦でのみ相互の授受を考慮し第2次配賦は製造部門のみに行う相互配賦法(簡便法)が出題される。最後に、製造部門費を機械運転時間や直接作業時間などの基準で各製品(製造指図書)に配賦する。部門別予定配賦率を用いた場合の配賦差異の計算も出題実績がある。

個別原価計算は、種類を異にする製品を個別的に生産する受注生産形態に適用され、製造指図書ごとに原価を集計する方法である(原価計算基準31)。直接材料費・直接労務費・直接経費は各製造指図書に賦課し(基準32)、製造間接費は直接作業時間などを基準に配賦する(基準33)。本試験では原価計算表と仕掛品勘定・製品勘定の対応関係が問われ、月末時点で完成した指図書の原価は製品勘定へ、引渡済みであればさらに売上原価勘定へ振り替え、未完成の指図書の原価は仕掛品勘定の月末残高となる。前月から継続する指図書は、前月発生分を月初仕掛品原価として引き継ぐ点に注意する。仕損が生じた場合、補修によって回復可能であれば補修指図書を発行し、そこに集計した製造原価を仕損費として当該製品の製造指図書に賦課する(基準35)。原価計算表の製造着手日・完成日・引渡日から各指図書の月末の状態(仕掛品・製品・売上原価)を判定させる形式が定番であり、日付の読み取りだけで得点できる問題を落とさないことが重要である。

この章の問題から3問

直接工の賃金消費額は、直接作業時間に対応する部分だけでなく間接作業時間や手待時間に対応する部分も含めて、すべて直接労務費として仕掛品勘定に賦課する。

正解 ×(誤り)

誤り。直接工の賃金のうち直接労務費となるのは「消費賃率×直接作業時間」の部分のみであり、間接作業時間・手待時間に対応する部分は間接労務費として製造間接費勘定に振り替える(原価計算基準10・12)。「直接工の賃金=すべて直接労務費」と読ませるのが本問のひっかけであり、作業時間の内訳で直接・間接を区別する点が本試験第4問(1)の仕訳で頻出である。

材料の購入原価は、購入代価に引取運賃や買入手数料などの材料副費を加算して計算する。

正解 ○(正しい)

正しい。原価計算基準11(四)は、材料の購入原価を、購入代価に買入手数料・引取運賃・荷役費・保険料・関税等の引取費用(材料副費)を加算した金額等によって計算すると定めている。したがって引取運賃200円を現金で支払った場合、その200円は費用処理せず材料勘定(購入原価)に含める。副費を購入原価に含め忘れさせるのが典型的なひっかけである。

相互配賦法(簡便法)では、第1次配賦において補助部門相互の用役の授受を考慮して配賦し、第2次配賦では補助部門へは配賦せず製造部門のみに配賦する。

正解 ○(正しい)

正しい。2級で出題される相互配賦法(簡便法)は、第1次配賦で補助部門間の用役授受を考慮して自部門以外のすべての関係部門に配賦し、第2次配賦では第1次配賦で補助部門に集計された金額を製造部門のみに(直接配賦法と同じ要領で)配賦する二段階の方法である(原価計算基準18の部門別計算の手続に基づく)。第2次配賦でも補助部門間で配賦を繰り返すと誤解させるのがひっかけである。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。