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商品売買と現金・預金

三分法では仕入は原価(当社負担の付随費用込み)・売上は売価で記帳し、他人振出小切手の受取は現金、自己振出小切手の回収は当座預金で処理する——この現金・当座の区別と掛・前払前受の仕訳が本章の得点源である。

商品売買の記帳法として、日商簿記3級では三分法(仕入・売上・繰越商品の3勘定で処理する方法)が出題の中心である。商品を仕入れたときは原価で仕入勘定(費用)の借方に、販売したときは売価で売上勘定(収益)の貸方に記入する。期中は商品の増減を商品勘定で追わず、期末に繰越商品勘定で棚卸調整(いわゆる「しーくりくりしー」の決算整理仕訳)を行う点が特徴である。この整理仕訳は第3章以降の決算で扱うが、期中取引の仕訳が本章の主戦場であり、第1問(仕訳問題・45点)で毎回複数題出題される。企業会計原則の損益計算書原則にいう費用収益対応の原則が、売上原価算定の理論的背景にあることも押さえたい。

仕入・売上に付随する論点として、付随費用(仕入諸掛・売上諸掛)と返品の処理が頻出である。仕入時に当社負担の引取運賃等を支払った場合は仕入原価に含める(仕入勘定に加算する)。これは企業会計原則および「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号)が取得原価に購入代価と付随費用を含めるとする考え方に基づく。一方、売上時に当社負担の発送費は発送費勘定(費用)で処理する。返品(仕入戻し・売上戻り)は、仕入・売上を取り消す逆仕訳を行う。なお、かつて出題されていた値引・割戻は現行の出題区分表(2022年度以降)では3級の範囲から除外されており、返品のみが問われる点に注意する。

掛取引と手付金の処理も本章の柱である。商品を掛けで仕入れれば買掛金(負債)、掛けで売り上げれば売掛金(資産)を用いる。商品代金の一部を事前に支払った場合は前払金(資産)、受け取った場合は前受金(負債)で処理し、商品の受渡し時に相殺する。また、クレジットカード払いによる売上ではクレジット売掛金勘定を用い、信販会社への手数料は原則として販売時に支払手数料(費用)として計上する。この場合、クレジット売掛金は売価から手数料を差し引いた額で計上される。商品券(他店・自治体等が発行したもの)を受け取った場合は受取商品券(資産)で処理する。いずれも第1問の仕訳で問われる定番論点である。

現金の範囲は簿記特有であり、通貨のほかに通貨代用証券(他人振出小切手、送金小切手、普通為替証書など)を含む。他人振出しの小切手を受け取ったら現金勘定で処理する点が最大の引っかけどころである。帳簿残高と実際有高が一致しない場合は現金過不足勘定で一時的に処理し、原因判明時に正しい勘定へ振り替え、決算まで原因不明なら雑損(費用)または雑益(収益)に振り替える。実査で判明した不一致はまず帳簿残高を実際有高に合わせる方向で仕訳する、という手順を機械的に身につけることが第1問・第2問対策の要である。

当座預金は小切手の振出しにより引き出せる無利息の預金であり、当社が小切手を振り出したときは当座預金勘定の貸方に記入する。ここで重要なのが自己振出小切手の回収である。売掛金の回収として「かつて当社が振り出した小切手」を受け取った場合は、現金ではなく当座預金の増加として処理する。また、当座借越契約を締結していれば残高を超えた小切手の振出しが可能であり、期中は当座預金勘定の貸方残高のまま処理し、決算時に貸方残高を当座借越勘定または借入金勘定(負債)へ振り替える(翌期首に再振替)。銀行との当座勘定取引契約に基づく実務であり、2019年度の出題区分改定で3級に追加された論点である。

小口現金は、用度係(小口係)に少額の現金を前渡しし、日々の細かい支払いに充てる制度である。定額資金前渡制度(インプレスト・システム)では、一定額を前渡しし、一定期間後に使用報告を受けて使用額と同額を補給する。仕訳のタイミングは(1)前渡し時: 小口現金/当座預金、(2)報告時: 諸費用/小口現金、(3)補給時: 小口現金/当座預金であり、報告と補給が同時の場合は諸費用/当座預金と小口現金勘定を経由せず処理できる。第2問で小口現金出納帳とあわせて問われることがあるため、旅費交通費・通信費・消耗品費・雑費といった費用科目の分類も正確に覚えたい。

補助簿との連動も本試験第2問の定番である。現金出納帳・当座預金出納帳・小口現金出納帳・仕入帳・売上帳・商品有高帳・売掛金元帳(得意先元帳)・買掛金元帳(仕入先元帳)のうち、どの取引がどの補助簿に記入されるかを判定させる問題が繰り返し出題されている。特に商品有高帳は先入先出法・移動平均法による払出単価の計算が問われ、売上時には売価ではなく原価で払出記入する点、返品の記入方法が引っかけとなる。1つの取引が複数の補助簿に記入されること(例: 掛仕入+引取運賃現金払い→仕入帳・買掛金元帳・現金出納帳・商品有高帳)を意識して練習することが得点の鍵である。

この章の問題から3問

商品を仕入れた際に支払った当社負担の引取運賃は、仕入勘定に含めて処理する。

正解 ○(正しい)

正しい。棚卸資産の取得原価は購入代価に付随費用を加えた額とする(企業会計原則・企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」の取得原価の考え方)。当社負担の引取運賃(仕入諸掛)は仕入原価に算入する。ひっかけ: 売上時の当社負担の発送費は仕入と異なり発送費勘定(費用)で別建て処理する点と混同させる出題が多い。

得意先から売掛金の回収として他人振出しの小切手を受け取った場合、当座預金勘定の借方に記入する。

正解 ×(誤り)

誤り。他人振出小切手は通貨代用証券であり、簿記上の「現金」に含まれるため現金勘定の借方に記入する。当座預金勘定で処理するのは、(1)受け取った小切手をただちに当座預金へ預け入れた旨の指示がある場合、(2)かつて当社が振り出した小切手(自己振出小切手)を回収した場合である。この現金/当座の区別は第1問の頻出ひっかけである。

決算日において現金過不足勘定の借方残高¥3,000の原因が判明しなかったため、雑益勘定に振り替えた。この処理は正しい。

正解 ×(誤り)

誤り。現金過不足の借方残高は「実際有高が帳簿残高より少ない(不足)」状態を意味するため、原因不明のまま決算を迎えた場合は雑損(費用)に振り替える。仕訳は「雑損 3,000 / 現金過不足 3,000」。雑益に振り替えるのは貸方残高(実際有高が多い過剰)の場合である。借方残高=雑損、貸方残高=雑益という対応を正確に覚える。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。