固定資産・資本金と税金
付随費用は取得原価に含め、減価償却は定額法・間接法・月割で計上、株式の払込金額は会社法第445条により原則全額資本金、消費税は税抜方式で仮払・仮受を相殺し差額を未払消費税とする。
固定資産とは、企業が営業活動のために長期にわたり使用する目的で保有する資産であり、日商簿記3級では建物・備品・車両運搬具・土地といった有形固定資産が出題範囲である。取得時の会計処理では、購入代価に付随費用(仲介手数料、登記料、引取運賃、据付費、整地費用等)を加えた額を取得原価とする点が最重要である。これは企業会計原則第三・五(取得原価主義)に基づく処理であり、本試験第1問の仕訳問題で「土地1,000,000円を購入し、仲介手数料50,000円とともに小切手で支払った」のように付随費用込みで取得原価を計上させる形式が頻出する。付随費用を費用処理してしまう誤りが典型的なひっかけである。
減価償却とは、固定資産の取得原価をその耐用年数にわたって費用配分する手続であり、3級では定額法のみが出題される。計算式は「(取得原価−残存価額)÷耐用年数」であり、近年は残存価額ゼロの出題が主流である。記帳方法は間接法(借方:減価償却費/貸方:減価償却累計額)に統一されている。期中に取得した固定資産は月割計算を行う点が第3問(決算整理)での頻出論点である。例えば10月1日取得・3月31日決算なら6か月分(6/12)を計上する。土地は使用や時の経過により価値が減少しない非償却資産であるため、減価償却の対象外である点も定番のひっかけとして出題される。
固定資産を売却した場合は、取得原価と減価償却累計額を帳簿から取り除き、売却価額との差額を固定資産売却益(貸方)または固定資産売却損(借方)として処理する。間接法採用時は、借方に減価償却累計額、貸方に固定資産の取得原価を記入し、帳簿価額(取得原価−減価償却累計額)と売却価額を比較して損益を求める。期中売却の場合は、期首から売却日までの減価償却費を月割で計上したうえで損益を計算する形式が本試験で繰り返し出題されている。また、固定資産の修理支出のうち、通常の維持管理のための支出は修繕費(収益的支出)、資産の価値を高め耐用年数を延長させる支出は固定資産の取得原価に加算(資本的支出)として区別する論点も出題実績がある。
株式会社の資本(純資産)については、会社法第445条第1項により、設立または株式の発行に際して株主となる者が払込みをした財産の額は原則として全額を資本金とすると定められている。3級では「株式を1株あたり50,000円で100株発行し、全額を資本金とした」という原則処理のみが出題され、資本準備金への振替(同条第2項の2分の1までの容認規定)は2級の範囲である。また、決算において当期純利益は損益勘定から繰越利益剰余金勘定へ振り替えられ、株主総会で配当が決議された場合は、繰越利益剰余金から未払配当金を計上するとともに、会社法第445条第4項に基づき配当額の10分の1を利益準備金として積み立てる仕訳が出題される。
税金の処理は3つに大別される。第一に、費用となる税金として租税公課勘定で処理するものがあり、固定資産税、印紙税(収入印紙)等が該当する。第二に、法人の利益に課される税金として法人税、住民税及び事業税(法人税等)があり、法人税法第71条に基づく中間申告時には仮払法人税等を計上し、決算で税額が確定したら法人税等を計上して仮払分を相殺し、差額を未払法人税等とする。納付時に未払法人税等を取り崩す一連の流れが第1問・第3問双方で頻出である。なお株式会社の法人税等は費用計上するが、損益計算書上は税引前当期純利益から控除する形式で表示される。
第三に、消費税の処理である。3級では税抜方式のみが出題範囲であり、消費税法に基づく多段階課税の仕組みを前提に、仕入時に支払った消費税は仮払消費税(資産)、売上時に受け取った消費税は仮受消費税(負債)として区分計上する。決算において仮受消費税と仮払消費税を相殺し、差額を未払消費税(貸方)として計上、翌期の確定申告時に納付して未払消費税を取り崩す。例えば仮受消費税800,000円・仮払消費税550,000円なら未払消費税は250,000円である。2023年10月開始のインボイス制度(適格請求書等保存方式)は仕入税額控除の要件に関わる制度であるが、3級の仕訳処理自体は税抜方式の枠組みで従来どおり出題されている。
本章の論点は本試験での配点比重が高い。第1問(仕訳15問・45点)では固定資産の購入・売却、株式発行、剰余金の配当、法人税等・消費税の各仕訳が毎回のように出題され、第3問(決算整理・35点)では減価償却費の月割計上、未払法人税等・未払消費税の計上が精算表・決算整理後残高試算表作成の中核となる。学習上は、①付随費用は取得原価へ、②減価償却は定額法・間接法・月割、③売却損益は帳簿価額との差額、④払込金額は原則全額資本金(会社法第445条)、⑤消費税は税抜方式で仮払・仮受を相殺、という5つの型を仕訳の形で即答できるまで反復することが合格への最短経路である。
この章の問題から3問
土地を購入した際に支払った仲介手数料や整地費用は、支払時の費用として処理する。
正解 ×(誤り)
誤り。付随費用(仲介手数料・整地費用等)は取得原価に含める(企業会計原則第三・五 取得原価主義)。費用処理させるのが典型的なひっかけで、正しくは土地勘定に加算する。
土地は時の経過によって価値が減少しないため、減価償却を行わない。
正解 ○(正しい)
正しい。土地は非償却資産であり減価償却の対象外。建物・備品・車両運搬具は償却対象である点との対比で出題される。
株式会社が株式を発行して受け取った払込金額は、会社法の規定により原則としてその全額を資本金とする。
正解 ○(正しい)
正しい。会社法第445条第1項が原則全額資本金を定める。2分の1まで資本準備金とできる容認規定(同条第2項)は3級の出題範囲外(2級)。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。