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決算整理(減価償却・貸倒引当金・経過勘定)

減価償却は定額法「(取得原価−残存価額)÷耐用年数」の月割、貸倒引当金は差額補充法、経過勘定は発生主義による4類型(前払・前受・未収・未払)の整理仕訳と翌期首の再振替——この3点が第3問の得点の核である。

決算整理とは、期中の記帳だけでは期間損益を正しく計算できない項目について、決算日にその期の収益・費用を確定させる手続である。企業会計原則(損益計算書原則一A)が定める発生主義の考え方に基づき、現金の収支時点ではなく経済的事実の発生時点で収益・費用を認識する。日商簿記3級では、決算整理事項として減価償却、貸倒引当金の設定、経過勘定(前払・前受・未収・未払)、売上原価の算定、現金過不足の整理、貯蔵品への振替などが第2問・第3問(決算整理後残高試算表・精算表・財務諸表作成)で毎回のように出題される。本章ではこのうち計算問題の中核となる3論点を扱う。いずれも「整理仕訳を正確に切れるか」と「月割・差額の計算ができるか」の二段構えで問われる点を意識したい。

減価償却は、建物・備品・車両運搬具などの有形固定資産の取得原価を、その使用期間にわたって費用配分する手続である。3級で出題されるのは定額法のみであり、計算式は「(取得原価−残存価額)÷耐用年数」である。近年の本試験では残存価額ゼロの前提が主流だが、残存価額を取得原価の10%とする旧来型の出題も過去にあるため、問題文の指示を必ず確認する。記帳方法には直接法と間接法があるが、3級の出題は間接法が原則で、仕訳は「(借)減価償却費 ××(貸)減価償却累計額 ××」となる。間接法では固定資産勘定は取得原価のまま維持され、帳簿価額は「取得原価−減価償却累計額」として間接的に示される。貸借対照表では累計額を固定資産から控除する形式で表示する。

期中に固定資産を取得した場合の月割計算は本試験の定番のひっかけである。年間償却額を12で割り、取得月から決算月までの使用月数を乗じる。例えば3月31日決算の会社が10月1日に備品を取得した場合、使用月数は10月から3月までの6ヶ月であり、年間償却額×6/12を計上する。1ヶ月未満の端数は1ヶ月として扱うのが通例である。また期中に固定資産を売却した場合は、期首から売却月までの月割償却費を計上したうえで、売却価額と帳簿価額(取得原価−累計額−当期償却分)との差額を固定資産売却益または固定資産売却損とする。この売却の総合問題は第1問の仕訳問題でも頻出であり、累計額勘定の借方記入を忘れる誤答が多い。

貸倒引当金は、売掛金・受取手形・電子記録債権などの売上債権が将来回収不能となる見込額をあらかじめ費用計上する決算整理である。設定額は「債権期末残高×貸倒設定率」で計算し、記帳は差額補充法による。すなわち見積額と貸倒引当金勘定の決算整理前残高との差額のみを「(借)貸倒引当金繰入 ××(貸)貸倒引当金 ××」と仕訳する。見積額が残高を下回る場合は、逆に差額を「(借)貸倒引当金(貸)貸倒引当金戻入」として収益に計上する。貸倒引当金は資産のマイナスを表す評価勘定であり、貸借対照表では売掛金等から控除する形式で表示される。設定対象は売上債権であり、貸付金を含める指示がある場合を除き、原則として問題文の指示に従う。

実際に貸倒れが発生した場合の処理は、その債権がいつ発生したかで異なる。前期以前に発生した売掛金が貸倒れた場合は、設定済みの貸倒引当金を取り崩し「(借)貸倒引当金(貸)売掛金」とする。引当金残高を超える部分は貸倒損失(費用)とする。一方、当期に発生した売掛金が当期中に貸倒れた場合は、その債権には引当金を設定していないため、全額を「(借)貸倒損失(貸)売掛金」と処理する。また、過年度に貸倒処理した債権を当期に回収した場合は「(借)現金など(貸)償却債権取立益」とする。この3パターンの区別は第1問の仕訳問題で繰り返し出題される最重要論点である。

経過勘定は、継続的な役務提供契約(家賃・保険料・利息・地代など)について、現金の受払時点と役務の提供期間のずれを決算で調整するものである。企業会計原則注解(注5)に定める前払費用・前受収益・未収収益・未払費用の4類型がある。費用を先に支払った未経過分は前払費用(資産)として費用から控除し、「(借)前払家賃(貸)支払家賃」のように仕訳する。収益を先に受け取った未経過分は前受収益(負債)、当期に役務提供済みだが未収の収益は未収収益(資産)、当期に役務提供を受けたが未払の費用は未払費用(負債)として計上する。「費用の繰延=資産」「収益の繰延=負債」「収益の見越=資産」「費用の見越=負債」という対応関係を確実に押さえる。

経過勘定を計上した場合、翌期首に必ず再振替仕訳(決算整理仕訳の貸借逆仕訳)を行う。例えば前期末に「(借)支払利息(貸)未払利息」と見越計上した場合、翌期首に「(借)未払利息(貸)支払利息」と再振替し、翌期の実際支払時に支払期間全額を支払利息に計上しても当期負担分だけが費用として残る仕組みである。本試験では「×月分から×月分までの1年分を支払った」という契約条件から月割で前払・未払額を計算させる形式が中心で、支払日と決算日の位置関係を時間軸(タイムテーブル)で図示して月数を数えるのが最も確実である。精算表・財務諸表問題では、経過勘定の計上漏れが当期純利益の金額を直撃するため、決算整理事項を1つずつ消し込む習慣をつけたい。

本章の3論点は、統一試験・ネット試験とも第3問(35点)の決算整理事項として事実上毎回出題され、第1問(45点)の仕訳問題でも減価償却(期中売却含む)・貸倒れの処理・再振替仕訳が高頻度で出る。合格ライン70点のうち本章の直接関連だけで20〜30点分を占めると考えてよい。学習手順としては、①各整理仕訳を勘定科目まで正確に書けるようにする、②月割計算・差額補充の計算をミスなく行う、③精算表上で整理記入欄から損益計算書欄・貸借対照表欄への転記を機械的にこなせるようにする、の順で仕上げる。特に月数の数え間違い(取得月・支払月を含めるか)が最大の失点源であるため、必ず指を折って数える癖をつけること。

この章の問題から3問

間接法で減価償却を記帳する場合、建物勘定の残高は取得原価のまま維持され、減価償却累計額勘定を用いて帳簿価額を間接的に示す。

正解 ○(正しい)

正しい。間接法では「(借)減価償却費(貸)減価償却累計額」と仕訳するため、固定資産勘定自体は取得原価のまま。帳簿価額=取得原価−減価償却累計額で示され、貸借対照表では累計額を控除形式で表示する。直接法(固定資産勘定を直接減額)との違いがひっかけどころ。

差額補充法において、貸倒引当金の見積額が決算整理前の貸倒引当金残高より少ない場合でも、見積額との差額を貸倒引当金繰入として計上する。

正解 ×(誤り)

誤り。見積額が残高を下回る場合は、差額を「(借)貸倒引当金(貸)貸倒引当金戻入」として収益に計上する。繰入(費用)を計上するのは見積額が残高を上回る場合のみ。差額補充法は「差額を繰り入れる」と機械的に覚えていると引っかかる。

当期に発生した売掛金が当期中に貸倒れた場合、貸倒引当金を取り崩して処理する。

正解 ×(誤り)

誤り。貸倒引当金は前期末の債権残高に対して設定したものであり、当期発生の売掛金には設定されていない。したがって全額を「(借)貸倒損失(貸)売掛金」と費用処理する。引当金を取り崩すのは前期以前に発生した債権が貸倒れた場合のみ。第1問頻出の区別。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。