QC的ものの見方・考え方(マーケットイン・プロセス重視)
品質の良し悪しを最終判定するのは顧客である(マーケットイン)。良い結果は良いプロセスから生まれる(品質は工程で作り込む)。この二本柱に事実に基づく管理・重点指向・再発防止/未然防止を重ねるのがQC的ものの見方である。
品質管理(QC: Quality Control)の出発点は「顧客」である。顧客・社会のニーズを把握し、それを満たす製品・サービスを企画・設計・生産・販売する考え方をマーケットイン(market-in)といい、逆に作り手側の技術・設備・都合を起点として製品を市場へ送り出す考え方をプロダクトアウト(product-out)という。QC検定3級の実践分野「QC的ものの見方・考え方」(日本規格協会・品質管理検定レベル表)では、この対比が最頻出論点の一つであり、「顧客の要求」「顧客満足(CS: Customer Satisfaction)」とセットで問われる。JIS Q 9000:2015(品質マネジメントシステム―基本及び用語)は品質を「対象に本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度」と定義しており、その要求事項の中心には顧客がいる。したがって品質の良し悪しを最終的に判定するのは企業ではなく顧客であるという立場が、QC的ものの見方の根幹である。
品質第一(品質優先)とは、目先の利益やコスト・納期よりも品質を優先することで、結果として顧客の信頼を獲得し、長期的な利益がもたらされるという経営思想である。品質を犠牲にして得た短期的利益は、クレーム・リコール・信用失墜によって容易に失われる。この考え方を組織内部に展開したのが「後工程はお客様」である。自分の仕事の成果物を受け取る社内の次の工程(後工程)を顧客とみなし、不良品・不完全な情報・遅延を後工程に渡さないよう、自工程で品質を保証する。全部門・全員がこの意識を持つことで、工程間の連鎖として最終顧客への品質保証が成立する。本試験では「後工程とは社外の顧客のみを指す」といった誤り選択肢や、「品質は検査部門だけが責任を持つ」といったひっかけが繰り返し出題されており、後工程=社内の受け手を含む点を正確に押さえる必要がある。
プロセス重視とは「品質は工程で作り込む」という原則であり、結果のみを追いかける管理ではなく、良い結果を生み出す仕事の仕組み・やり方(プロセス)に着目して管理・改善する考え方である。最終検査で不良品を選別するだけでは、不良を作り出すプロセス自体は改善されず、コストの増大と不良流出のリスクが残る。プロセスを管理するとは、工程の5M1E(Man・Machine・Material・Method・Measurement・Environment)などの要因系を標準化し、特性(結果)と要因の因果関係を把握して、異常の兆候を早期に検出・処置することである。管理のサイクルとしては、定めた標準を維持するSDCA(Standardize-Do-Check-Act)と、現状を打破し改善を回すPDCA(Plan-Do-Check-Act)を使い分け、これを回し続けることで継続的改善(維持と改善の両輪)につなげる。
問題への対処は3つの水準を区別して理解する。応急対策(応急処置)は、発生した問題による影響がそれ以上拡大しないように取り急ぎ行う暫定処置であり、原因の除去までは含まない。再発防止(恒久対策)は、問題の根本原因を究明・除去し、同じ原因による問題が二度と起こらないようにプロセスや標準を改善する活動である。さらに未然防止は、まだ発生していない問題を過去の知見や予測に基づいて洗い出し、あらかじめ対策を打って発生自体を防ぐ活動であり、レベル表では「予測予防」と並べて示される。これらを仕事の流れの上流で実現するのが源流管理であり、企画・設計などできるだけ源流(上流)の段階で品質を作り込み、問題の発生源にさかのぼって管理する。本試験では応急対策と再発防止の定義を入れ替えた選択肢が定番のひっかけであり、「原因を除去するか否か」が判別の鍵となる。
事実に基づく管理(ファクトコントロール)とは、勘・経験・度胸(いわゆるKKD)だけに頼らず、事実をデータで捉え、統計的方法で解析して判断・行動する考え方である。データには測定誤差やサンプリング誤差が伴うため、母集団とサンプル(標本)の関係を意識して目的に合ったデータを収集することが前提となる。事実を正しくつかむための行動原則が三現主義であり、「現場」に行き、「現物」を見て、「現実(現象)」を直接確認することを指す。これに「原理」「原則」の2つを加えたものが5ゲン主義であり、事実の確認に加えて、理論(原理)と基本ルール(原則)に照らして判断することを求める。QC検定3級では三現主義・5ゲン主義の構成要素を問う問題が頻出であり、「現金」「原価」「現状」など字面の似た語を混入させた選択肢に注意が必要である。
重点指向とは、経営資源(人・物・金・時間)が限られている以上、結果への影響が大きい問題・要因に的を絞って優先的に取り組む考え方である。その代表的な道具がQC七つ道具の一つであるパレート図であり、「重要な少数、瑣末な多数」というパレートの法則に基づき、件数や損失金額の大きい項目から順に並べて重点項目を特定する。また、QCでは「ばらつきに注目する考え方」が基本であり、品質特性のばらつきを、技術的・経済的に避けられない偶然原因によるものと、見逃せない異常原因によるものとに区別し、後者を検出して処置する。これを可能にする道具が管理図である。さらに、問題・異常・進捗などを誰もが客観的に把握できる状態にする「見える化」と、隠れている問題を表に出す「潜在トラブルの顕在化」も、事実に基づく管理を支える考え方としてレベル表に明記され、出題実績がある。
管理の対象は狭義の品質(Q)にとどまらない。コスト(C: Cost)、量・納期(D: Delivery)を合わせたQCDが基本であり、さらに生産性(P: Productivity)、安全(S: Safety)、士気・モラール(M: Morale)、環境(E: Environment)を加えたQCD+PSMEとして総合的に管理する。これらの活動は品質管理部門の専任者だけで行うものではなく、経営者から第一線の作業者まで全部門・全員参加で取り組むことがTQM(Total Quality Management: 総合的品質管理)の特徴である。その基盤にあるのが人間性尊重、すなわち人間の考える力・創造性を信頼し自主性を活かすという考え方であり、従業員満足(ES: Employee Satisfaction)は顧客満足(CS)を支える両輪と位置付けられる。QC検定3級ではPSMEの各記号が表す意味や、全員参加・人間性尊重の趣旨を問う出題実績があるため、略号は正確に暗記しておくこと。
この章の問題から3問
マーケットインとは、企業が自社の技術力や生産設備を起点として製品を企画・生産し、市場に送り出す考え方である。
正解 ×(誤り)
誤り。設問文は作り手側の都合を起点とするプロダクトアウトの説明である。マーケットインは顧客・市場のニーズを起点として製品・サービスを提供する考え方(QC検定レベル表・実践分野「QC的ものの見方・考え方」)。両者の定義を入れ替えるのが本試験の定番のひっかけである。
「後工程はお客様」とは、自分の仕事の成果物を受け取る社内の次の工程を顧客とみなし、不良品や不完全な情報を渡さないよう自工程で品質を保証する考え方である。
正解 ○(正しい)
正しい。「後工程はお客様」は社外の最終顧客だけでなく、社内の次工程(受け手)を顧客とみなす考え方であり、全工程の連鎖として品質保証を成立させる(QC検定レベル表・実践分野)。「社外顧客のみを指す」と限定する選択肢は誤りとなる点に注意。
応急対策とは、問題の根本原因を突き止めて取り除き、同じ原因による問題が再び発生しないようにする活動である。
正解 ×(誤り)
誤り。設問文は再発防止(恒久対策)の説明である。応急対策は、発生した問題の影響がそれ以上拡大しないように取り急ぎ行う暫定処置であり、原因の除去は含まない。判別の鍵は「原因を除去するか否か」(QC検定レベル表: 応急対策・再発防止・未然防止)。
登録不要 ・ 採点と解説はその場 ・ 進捗は端末に保存
QC検定3級の他の章
- QC七つ道具① パレート図・特性要因図・チェックシート
- QC七つ道具② ヒストグラム・散布図・グラフ・層別
- 統計の基礎と正規分布(平均・標準偏差の計算)
- 管理図と工程能力指数
- 新QC七つ道具と品質管理の実践(方針管理・小集団活動)
本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。