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統計の基礎と正規分布(平均・標準偏差の計算)

平方和S=Σ(x−x̄)²を自由度n−1で割った不偏分散Vの正の平方根が標準偏差sであり、正規分布では標準化u=(x−μ)/σと区間確率68.3%・95.4%・99.7%で確率を求める——この計算経路の完全再現が合否を分ける。

品質管理で扱うデータは、長さ・質量・温度のように連続量として測定される計量値と、不適合品数やキズの数のように個数として数えられる計数値に大別される。この区別はQC検定3級レベル表(公式シラバス)の手法分野「データの取り方とまとめ方」の冒頭に位置づけられる基本事項であり、データの型によって適用する分布(計量値は正規分布、計数値は二項分布やポアソン分布)や管理図の種類が変わるため、本試験でも繰り返し問われている。また、調査・研究の対象全体を母集団、そこから抜き取った一部をサンプル(標本)と呼び、母集団を特徴づける母平均μ・母分散σ²を母数、サンプルから計算される平均値x̄や不偏分散Vを統計量として区別する。統計用語はJIS Z 8101(統計―用語及び記号)に定義されており、母数はギリシャ文字、統計量はローマ字という記号の使い分けまで含めて正確に押さえることが本章の第一歩である。

分布の中心を表す統計量の代表が平均値x̄であり、x̄=Σxi/n、すなわちデータの総和を個数nで割って求める。このほか、データを大きさの順に並べたときの中央の値であるメディアン(中央値)、最も多く出現する値であるモード(最頻値)がある。メディアンはデータ数nが奇数なら中央の1個の値、偶数なら中央2個の値の平均で求める点が細かい出題ポイントである。平均値は外れ値の影響を受けやすいのに対し、メディアンは外れ値に対して頑健であるという性質の違いも正誤問題で問われる。3級の計算問題では5〜7個程度の小さなデータセットが与えられ、電卓で平均値やメディアンを求めさせる形式が定番であり、単純な計算ながら制限時間内での正確さが要求される。中心の尺度は、次に述べるばらつきの尺度と必ず対で出題されるため、両者をセットで練習しておくことが効率的である。

ばらつきを表す統計量は本章の核心である。最も簡便なのは範囲R=最大値−最小値で、X̄-R管理図にも用いられる。より精密な尺度が平方和S=Σ(xi−x̄)²であり、偏差(xi−x̄)の合計は常に0になるため、偏差を二乗してから合計する点が重要である。計算実務では簡便式S=Σxi²−(Σxi)²/nを用いると平均値を経由せずに求められ、本試験の計算問題ではこの式の利用が事実上前提となっている。平方和Sをn−1で割った値が不偏分散V=S/(n−1)であり、nではなくn−1(自由度)で割る点が最頻出のひっかけである。Vの正の平方根が標準偏差s=√Vで、元のデータと同じ単位を持つためばらつきの大きさを直感的に把握できる。さらに、標準偏差を平均値で割った変動係数CV=s/x̄×100(%)は無次元の尺度であり、単位や平均水準が異なるデータ間のばらつきの比較に用いられる。

計量値が従う最も基本的な分布が正規分布であり、母平均μと母分散σ²の2つの母数で完全に決まることからN(μ,σ²)と表記する。3級レベル表の手法分野「統計的方法の基礎」には「正規分布(確率計算を含む)」が明記されている。分布曲線は平均μを中心に左右対称の釣鐘型で、平均値・メディアン・モードが一致する。μは分布の位置を、σは広がりを決め、σが大きいほど曲線は低く広がる。試験対策上、絶対に暗記すべきは区間確率の3つの数値である。すなわち、μ±1σの範囲にデータ全体の約68.3%、μ±2σの範囲に約95.4%、μ±3σの範囲に約99.7%が含まれる。この「±3σで99.7%」という性質がシューハート管理図(JIS Z 9020-2に規定)の3σ法管理限界線の理論的根拠であり、正規分布の知識は管理図や工程能力指数の章へ直結する。区間確率の数値そのものを問う正誤・選択問題はほぼ毎回出題されている。

任意の正規分布N(μ,σ²)に従うxは、u=(x−μ)/σという変換によって平均0・標準偏差1の標準正規分布N(0,1²)に従うuに置き換えられる。この操作を標準化(規準化)といい、変換後のuの値から標準正規分布表を引いて確率を求めるのが3級計算問題の頻出パターンである。試験の付表の標準正規分布表は、KPの値に対して上側確率P(u≥KP)を与える形式が一般的で、例えばKP=1.96のときP=0.025、KP=1.00のときP≒0.1587となる。実際の出題では「平均50、標準偏差2の工程で規格上限54を超える確率」のように、標準化u=(54−50)/2=2.00を計算し、表からP(u≥2.00)=0.0228、すなわち約2.3%と読み取らせる。下側の確率や両側規格の外れ率は、分布の左右対称性を利用して上側確率から組み立てる。表の読み方と対称性の活用まで、手を動かして習得すべきである。

本章の出題は、①用語・記号の正誤(母数と統計量、計量値と計数値)、②基本統計量の計算(平均値・メディアン・平方和・不偏分散・標準偏差・変動係数)、③正規分布の性質と確率計算(区間確率の暗記数値、標準化と正規分布表)の3系統に整理できる。QC検定は一般電卓のみ持込み可(関数電卓・プログラム電卓は不可)の試験であるため、√キーを使った標準偏差の算出まで手順として身体に覚え込ませる必要がある。合格基準は総合得点概ね70%以上、かつ手法分野・実践分野それぞれ概ね50%以上とされており、手法分野で失点しやすい受験者ほど本章のような計算問題の取りこぼしが致命傷になる。「n−1で割るべきところをnで割る」「偏差の二乗を忘れる」「標準化で分子のx−μの順序を逆にする」の3つが典型的な誤答パターンであり、章末問題で意識的に潰しておくことが最短の対策である。

この章の問題から3問

標準偏差sは不偏分散Vの正の平方根であり、元のデータと同じ単位を持つ。

正解 ○(正しい)

正しい。s=√V=√(S/(n−1))である(JIS Z 8101の統計用語定義に基づく標本標準偏差)。分散はデータの単位の二乗(例: mm²)になるが、平方根をとることで元の単位(mm)に戻るため、ばらつきの大きさを直感的に比較できる。「分散も元のデータと同じ単位」とすり替えるのが典型的なひっかけである。

正規分布N(μ,σ²)では、μ±σの範囲に全体の約95%のデータが含まれる。

正解 ×(誤り)

誤り。正規分布の区間確率は、μ±1σ=約68.3%、μ±2σ=約95.4%、μ±3σ=約99.7%である。約95%が含まれるのはμ±2σの範囲であり、σの係数と確率の対応を1つずらすのが本試験で最も多いひっかけパターンである。3つの数値はセットで暗記が必須。

平方和Sは、各データと平均値との差(偏差)をそのまま合計して求める。

正解 ×(誤り)

誤り。偏差(xi−x̄)をそのまま合計するとΣ(xi−x̄)=0となり、定義上常に0になるためばらつきの尺度にならない。平方和は偏差を二乗してから合計した S=Σ(xi−x̄)² であり、実計算では簡便式 S=Σxi²−(Σxi)²/n を用いる。「そのまま合計」の一語が正誤を分けるひっかけである。

この章の残り12問を解く

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。