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労働基準法・労働安全衛生法

労基法は強行法規として労働契約を直律し(13条)、時間外上限規制・割増賃金率・年5日の時季指定義務など数字の正確な暗記が合否を分ける。安衛法は50人基準の管理体制と健康診断・面接指導の要件を横断整理せよ。

労働基準法は、憲法27条2項を受けて労働条件の最低基準を定める強行法規である。第1条は労働条件が「人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」と宣言し、同条2項はこの基準が最低のものであるため労働関係の当事者はこれを理由に労働条件を低下させてはならないと定める。第13条は、法の基準に達しない労働条件を定める労働契約はその部分について無効とし、無効となった部分は法の基準による(部分無効・直律的効力)。第9条の「労働者」は職業の種類を問わず事業に使用され賃金を支払われる者をいい、第10条の「使用者」は事業主のほか事業の経営担当者、労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者を含む。選択式・択一式とも総則(均等待遇3条・男女同一賃金4条・強制労働の禁止5条・中間搾取の排除6条)からの出題実績が多い。

労働契約の分野では、第15条の労働条件明示義務が頻出である。賃金・労働時間その他厚生労働省令(労基則5条)で定める事項を明示し、絶対的明示事項は原則書面(労働者が希望すればFAX・電子メール等も可)で交付する。令和6年4月施行の労基則改正により、就業場所・業務の「変更の範囲」、有期契約の更新上限、無期転換申込機会・無期転換後の労働条件の明示が追加された点は最新の出題論点である。第16条(賠償予定の禁止)は違約金・損害賠償額の予定を禁止するが実損害の賠償請求まで禁じるものではない。第20条の解雇予告は少なくとも30日前の予告または30日分以上の平均賃金(予告手当)の支払を要し、予告日数は平均賃金を支払った日数分短縮できる。第19条は業務上の傷病による休業期間及びその後30日間、産前産後休業期間及びその後30日間の解雇を制限する(打切補償を支払う場合等は例外)。

賃金については第24条の賃金支払5原則(通貨払・直接払・全額払・毎月1回以上払・一定期日払)が最重要である。通貨払の例外として労働者の同意を得た口座振込、令和5年4月からは指定資金移動業者の口座への資金移動(いわゆる賃金のデジタル払い)が認められた。直接払の原則により未成年者の賃金を親権者が代わって受け取ることはできない(59条も参照)。第26条の休業手当は使用者の責に帰すべき事由による休業について平均賃金の100分の60以上の支払を義務づける。第12条の平均賃金は原則として算定事由発生日以前3箇月間の賃金総額をその期間の総日数で除して算定する。択一式では賃金支払確保法や最低賃金法との横断も問われる。

労働時間の原則は第32条の週40時間・1日8時間である。変形労働時間制には1箇月単位(32条の2)、フレックスタイム制(32条の3・清算期間は上限3箇月)、1年単位(32条の4)、1週間単位の非定型的変形(32条の5)がある。時間外・休日労働には第36条の労使協定(36協定)の締結・届出を要し、平成31年施行の働き方改革関連法により時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、2〜6箇月平均80時間以内(同)と罰則付きで法定された。割増賃金率(37条)は時間外2割5分以上、月60時間超の時間外は5割以上(令和5年4月から中小企業にも適用)、休日3割5分以上、深夜2割5分以上である。第41条は農業・監視断続的労働(要許可)・管理監督者等について労働時間・休憩・休日の規定の適用を除外するが、深夜業の規定は適用される点がひっかけの定番である。

年次有給休暇(39条)は、雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日を付与し、以後継続勤務年数に応じて加算され最大20労働日となる。出勤率の算定では業務上傷病による休業期間、育児・介護休業期間、産前産後休業期間は出勤したものとみなす。使用者は時季変更権を有するが、事業の正常な運営を妨げる場合に限られる。平成31年改正により、年10日以上付与される労働者に対し使用者は年5日について時季を指定して取得させる義務を負う。年少者(56〜64条)では、児童は満15歳到達後最初の3月31日まで使用禁止(例外あり)、満18歳未満の深夜業原則禁止、妊産婦(64条の3〜68条)では産前6週間(多胎14週間)の請求による休業・産後8週間(6週間経過後の本人請求+医師支障なしで就業可)の就業禁止が選択式の頻出論点である。

就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に作成・届出義務がある(89条)。作成・変更には過半数労働組合(なければ過半数代表者)の意見聴取を要する(90条)が、同意までは不要である。絶対的必要記載事項は始業終業時刻・休憩・休日・休暇、賃金、退職(解雇の事由を含む)に関する事項である。第91条は減給の制裁について、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないと制限する。第92条により就業規則は法令・労働協約に反してはならず、効力関係は法令>労働協約>就業規則>労働契約の順である(労働契約法12条・13条も横断整理)。

労働安全衛生法は、労働災害防止の危害防止基準の確立等により職場における労働者の安全と健康を確保し快適な職場環境の形成を促進することを目的とする(1条)。安全衛生管理体制では、総括安全衛生管理者は一定業種・規模(例: 屋外産業的業種100人以上、製造業等300人以上、その他の業種1,000人以上)の事業場で選任し、産業医・衛生管理者は業種を問わず常時50人以上の事業場で選任する。衛生委員会も常時50人以上で設置義務があり、安全委員会は業種に応じ50人以上または100人以上である。産業医の選任等の事由発生から14日以内に選任し、遅滞なく所轄労働基準監督署長に報告する。規模要件の数字の入替えは選択式の定番である。

健康の保持増進措置では、雇入れ時の健康診断(安衛則43条)と1年以内ごとに1回の定期健康診断(同44条)、深夜業等特定業務従事者への6箇月以内ごとの健康診断が義務づけられる。平成27年12月施行のストレスチェック制度(66条の10)は常時50人以上の事業場に年1回の実施を義務づける(50人未満は当分の間努力義務)。長時間労働者への医師による面接指導(66条の8)は、時間外・休日労働が月80時間を超え疲労の蓄積が認められる労働者の申出により実施する(研究開発業務は月100時間超で申出なしに義務)。安全衛生教育では雇入れ時・作業内容変更時の教育(59条)は事業場の規模・業種を問わずすべての労働者に実施義務がある点に注意する。

この章の問題から3問

使用者は、労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければならないが、30日分以上の平均賃金を支払えば予告なく即時に解雇することができる。

正解 ○(正しい)

労基法20条1項。30日前の予告に代えて30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払えば即時解雇が可能であり、予告日数は平均賃金を支払った日数分短縮できる(同条2項)。天災事変等で事業継続が不可能となった場合や労働者の責に帰すべき事由(いずれも労基署長の認定必要)も例外。

労働基準法第41条第2号の管理監督者に該当する労働者については、労働時間、休憩、休日及び深夜業に関する規定は適用されない。

正解 ×(誤り)

ひっかけは「深夜業」。41条が適用除外とするのは「労働時間、休憩及び休日」に関する規定のみであり、深夜業の割増賃金(37条)や年次有給休暇(39条)の規定は管理監督者にも適用される(昭63.3.14基発150号、最判ことぶき事件平21.12.18も同旨)。

年次有給休暇の出勤率(8割)の算定にあたり、業務上の負傷又は疾病による療養のための休業期間及び育児介護休業法に基づく育児休業期間は、出勤したものとみなされる。

正解 ○(正しい)

労基法39条10項。業務上傷病による休業期間、育児休業・介護休業期間、産前産後休業期間は出勤したものとみなす。なお使用者の責に帰すべき事由による休業日は全労働日から除外される(平25.7.10基発0710第3号)。

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