労災保険法・雇用保険法
通勤災害は「逸脱・中断の間は通勤に該当せず、日常生活上必要な行為なら復帰後のみ通勤復活」、労災待期は通算3日・雇用保険待期は7日、令和7年改正(給付制限1か月・令和7年4月以後60歳到達者の高年齢雇用継続給付10%)を正確に区別せよ。
労働者災害補償保険法(労災保険法)は、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由、または通勤による労働者の負傷・疾病・障害・死亡等に対して保険給付を行う制度である(労災法1条)。適用範囲は労働者を使用する事業であり、労働者を一人でも使用すれば原則として強制適用となる(暫定任意適用は農林水産の一部のみ)。保険料は全額事業主負担であり、労働者に保険料負担がない点は雇用保険との重要な相違である。業務災害の認定は「業務遂行性」と「業務起因性」の二要件で判断され、択一式では出張中の災害(原則として全過程が業務遂行性を有する)や休憩時間中の私的行為(原則業務外)が繰り返し出題されている。また、中小事業主・一人親方等は労働者ではないが、特別加入制度(労災法33条以下)により保護対象となり得る点も頻出である。
通勤災害(労災法7条1項3号)における「通勤」とは、労働者が就業に関し、①住居と就業の場所との間の往復、②複数就業者の事業場間の移動、③単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居との間の移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除く。移動の経路を逸脱し、または移動を中断した場合には、逸脱・中断の間及びその後の移動は通勤としないのが原則である。ただし、日用品の購入、職業訓練、選挙権の行使、病院での診察、要介護状態にある家族の介護(継続的に又は反復して行われるもの)など、日常生活上必要な行為を厚生労働省令で定めるやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合は、逸脱・中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤と認められる(労災法7条3項)。「逸脱・中断の間そのもの」は通勤とならない点が最大のひっかけである。
労災保険給付の中核は療養(補償)等給付と休業(補償)等給付である。療養(補償)等給付は原則として現物給付(療養の給付)であり、一部負担金はない(通勤災害の療養給付には200円の一部負担金あり)。休業(補償)等給付は、療養のため労働することができず賃金を受けない日の第4日目から、給付基礎日額の100分の60が支給される(労災法14条)。待期3日間は継続している必要はなく通算で足り、業務災害の待期期間中は労働基準法76条により事業主が休業補償(平均賃金の60%)を行う義務を負う。さらに社会復帰促進等事業から休業特別支給金として給付基礎日額の100分の20が支給されるため、実質的なてん補率は8割となる。給付基礎日額は原則として労働基準法12条の平均賃金に相当する額、すなわち算定事由発生日以前3か月間に支払われた賃金総額をその期間の総日数で除した額である。
障害(補償)等給付は、障害等級第1級から第7級に該当する場合は障害(補償)等年金(給付基礎日額の313日分〜131日分)、第8級から第14級は障害(補償)等一時金(503日分〜56日分)が支給される。遺族(補償)等年金の受給資格者は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹であり、妻以外の遺族には年齢要件(60歳以上・18歳年度末まで等)または障害要件が付される。すなわち妻(事実婚を含む)のみ無条件で受給資格を有する点が択一式の定番論点である。最先順位者が受給権者となり、受給権者が失権した場合は次順位者に転給する仕組みは、厚生年金保険の遺族厚生年金(転給なし)との対比で問われる。このほか傷病(補償)等年金(療養開始後1年6か月経過・傷病等級1〜3級)、介護(補償)等給付、葬祭料等(葬祭給付)、二次健康診断等給付まで給付体系を整理しておくこと。
雇用保険法における被保険者は、適用事業に雇用される労働者であって、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれる者である(雇保法6条により短時間・短期雇用者等は適用除外)。65歳以上の者は高年齢被保険者として適用され、離職時には基本手当ではなく高年齢求職者給付金(被保険者期間1年未満は基本手当日額の30日分、1年以上は50日分の一時金)が支給される。また65歳以上で二以上の事業主に雇用され、各事業所の週所定労働時間が5時間以上20時間未満かつ合計20時間以上の者は、本人の申出により高年齢被保険者となれる(マルチジョブホルダー制度)。基本手当の受給資格は、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることであり、倒産・解雇等による特定受給資格者及び特定理由離職者は離職の日以前1年間に通算6か月以上で足りる。
基本手当は、公共職業安定所に求職の申込みをした日以後、失業している日が通算7日に満たない間は支給されない(待期・雇保法21条)。待期は離職理由を問わず適用される。自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇又は正当な理由のない自己都合退職の場合は、待期満了後さらに給付制限が課されるが、令和7年4月1日施行の改正により、正当な理由のない自己都合離職の給付制限期間は原則1か月に短縮された(5年以内に2回を超える離職等は3か月)。さらに離職期間中や離職日前1年以内に自ら雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練を行った場合は給付制限が解除される。また同改正で、高年齢雇用継続給付の給付率は、令和7年4月1日以後に60歳に達する者から、各支給対象月の賃金の最大15%から最大10%に引き下げられた(同日前に60歳に達していた者には従前の15%が適用される経過措置あり)。育児関係では、育児休業給付(休業開始時賃金日額の67%・181日目以降50%)に加え、令和7年4月から出生後休業支援給付金(28日を限度に13%上乗せで実質手取り10割相当)及び育児時短就業給付金(時短後賃金の10%)が創設されており、選択式での出題が強く警戒される改正点である。
この章の問題から3問
労災保険の休業補償等給付における待期3日間は、継続した3日間であることを要せず、通算して3日間あれば足りる。
正解 ○(正しい)
正しい。労災法14条1項の待期3日は継続・断続を問わず通算で足りる。雇用保険の待期7日(雇保法21条)も同様に通算だが、健康保険の傷病手当金の待期3日が「連続」を要する点との混同を狙うひっかけが定番。
通勤の途中で日用品の購入のため合理的な経路を逸脱した場合、当該逸脱の間に被った災害も、厚生労働省令で定める日常生活上必要な行為に当たるため通勤災害と認められる。
正解 ×(誤り)
誤り。労災法7条3項ただし書により、日用品の購入等の日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により最小限度で行う場合でも、通勤と認められるのは合理的な経路に復した後の移動のみであり、「逸脱・中断の間」そのものは通勤に該当しない。
雇用保険の基本手当に係る待期(通算7日)は、倒産・解雇等により離職した特定受給資格者には適用されない。
正解 ×(誤り)
誤り。待期7日(雇保法21条)は離職理由を問わず全受給資格者に適用される。離職理由により異なるのは待期後の「給付制限」(正当な理由のない自己都合離職は令和7年4月以降原則1か月)であり、待期と給付制限の混同を突く出題。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。