健康保険法
傷病手当金の「支給を始めた日から通算して1年6ヶ月」への改正(令和4年1月)と、支給要件(待期3日連続・報酬日額の3分の2)は選択式・択一式双方の最頻出であり、旧法の「起算して1年6ヶ月」との対比で必ず押さえる。
健康保険法(大正11年法律第70号)は、労働者またはその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷、死亡または出産に関して保険給付を行う制度である(法1条)。保険者は全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合の2種類であり(法4条)、協会は主として中小企業の被保険者を、組合は設立事業所の被保険者を管掌する。適用事業所は、法定16業種で常時5人以上を使用する個人事業所および常時1人以上を使用する法人事業所が強制適用となる(法3条3項)。被保険者資格は適用事業所に使用されるに至った日に取得し、資格取得届は5日以内に提出する。なお、令和4年10月改正により、士業(弁護士・社会保険労務士等)の個人事務所も5人以上で強制適用となった点は近年の出題対象である。
標準報酬月額は第1級5万8千円から第50級139万円までの等級区分で定められる(法40条)。決定方法は、資格取得時決定、定時決定(4月・5月・6月の報酬月額を基礎とし、7月1日現在の被保険者について9月から適用)、随時改定(固定的賃金の変動があり、継続した3ヶ月間の報酬月額による等級と従前等級との間に原則2等級以上の差が生じ、かつ各月の支払基礎日数が17日以上の場合、4ヶ月目から改定)の3本柱に加え、産前産後休業・育児休業等終了時改定がある(法41条〜43条の3)。標準賞与額は年度累計573万円を上限とする(法45条)。定時決定と随時改定の要件比較は択一式の定番であり、支払基礎日数17日の要件も含めて正確に記憶すべきである。
傷病手当金は、療養のため労務に服することができない場合に、労務不能日が連続3日間(待期)あった後、4日目から支給される(法99条)。支給額は1日につき、支給開始日の属する月以前の直近の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額の30分の1に相当する額の3分の2である。支給期間は令和4年1月改正により「支給を始めた日から通算して1年6ヶ月」に改められ、途中で就労し不支給となった期間は支給期間に算入されない。旧法の「起算して1年6ヶ月」との違いは本試験で狙われる最重要改正点である。また、待期3日は連続していることを要し、有給休暇や公休日も待期に算入される点、報酬を受けられる場合は原則支給されない(差額支給あり)点も頻出である。
出産に関する給付として、出産育児一時金は1児につき原則50万円(令和5年4月改正、産科医療補償制度未加入機関等での出産は48万8千円)である(法101条、施行令36条)。出産手当金は、出産日(出産が予定日後のときは予定日)以前42日(多胎妊娠は98日)から出産日後56日までの間で労務に服さなかった期間、傷病手当金と同一の算定方法による日額の3分の2が支給される(法102条)。ここでいう出産は妊娠4ヶ月(85日)以上の分娩をいい、死産・流産・早産を含む。傷病手当金と出産手当金が競合する場合は出産手当金が優先し、傷病手当金の額が多いときはその差額が支給される(法103条)。死亡に関しては、被保険者が死亡したとき埋葬を行った者(生計維持関係のある者)に埋葬料5万円が支給される(法100条)。
高額療養費は、同一月の一部負担金等の額が自己負担限度額を超えたとき、その超過分が支給される(法115条)。70歳未満の所得区分は5区分であり、一般所得者(標準報酬月額28万〜50万円)の限度額は「80,100円+(療養に要した費用−267,000円)×1%」である。多数回該当(直近12ヶ月に3月以上の高額療養費支給)の場合は限度額が引き下げられ、一般区分では44,400円となる。世帯合算は70歳未満では21,000円以上の自己負担のみ合算対象となる点に注意する。保険料については、産前産後休業期間および育児休業等期間中の保険料は事業主の申出により被保険者・事業主負担分とも免除される(法159条・159条の3)。令和4年10月改正で、育児休業の月内14日以上の取得でも当月保険料が免除される一方、賞与保険料の免除は1ヶ月を超える育児休業に限定された。
任意継続被保険者は、資格喪失日の前日まで継続して2ヶ月以上被保険者(共済組合の組合員等を除く)であった者が、資格喪失日から20日以内に申し出ることで最長2年間なることができる(法3条4項・37条)。保険料は全額自己負担で、退職時の標準報酬月額と保険者の全被保険者の平均標準報酬月額のいずれか低い額を基礎とする(健保組合は規約により退職時報酬を基礎とすることも可)。令和4年1月改正により、本人の申出による任意の資格喪失が可能となった。被扶養者の認定は、年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)かつ同一世帯では被保険者の収入の2分の1未満が基準であり、令和2年4月からは原則として国内居住要件が課された(法3条7項)。これら直近改正は選択式の空欄候補として優先度が高い。
この章の問題から3問
傷病手当金の支給期間は、その支給を開始した日から起算して1年6ヶ月を経過した日に終了する。
正解 ×(誤り)
令和4年1月改正(法99条4項)により「支給を始めた日から通算して1年6ヶ月」に改められた。途中で就労等により不支給となった期間は1年6ヶ月に算入されないため、「起算して」暦日で終了するという旧法の記述は誤り。この新旧対比がひっかけの核である。
傷病手当金の待期3日間は連続していることを要し、この3日間には有給休暇を取得した日や公休日も算入される。
正解 ○(正しい)
法99条1項。待期は労務不能の日が「連続3日間」あることを要する(断続では完成しない)。行政解釈上、待期は報酬の有無を問わないため、有給休暇日・公休日・祝日も労務不能であれば待期に算入される。
任意継続被保険者となるには、資格喪失日の前日まで継続して2ヶ月以上被保険者であったことが必要であり、資格喪失日から20日以内に保険者に申し出なければならない。
正解 ○(正しい)
法3条4項。要件は(1)資格喪失日の前日まで継続して2ヶ月以上の被保険者期間(任意継続被保険者・共済組合の組合員等であった期間を除く)、(2)資格喪失日から20日以内の申出、の両方である。期間は最長2年。なお令和4年1月改正で本人の申出による任意脱退も可能となった。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。