労働保険徴収法・労務管理その他の労働一般
保険関係は事業開始の日に法律上当然に成立し(届出は10日以内・成立要件ではない)、年度更新は6月1日〜7月10日、延納は両保険成立の継続事業で概算保険料40万円以上——徴収法は手続の数字の正確な暗記が得点に直結する。
労働保険の保険料の徴収等に関する法律(徴収法)は、労災保険と雇用保険の保険料の徴収手続を一元化した法律であり、択一式では労災・雇用の各科目から計6問程度が徴収法から出題される。まず保険関係の成立を押さえる。労災保険・雇用保険の適用事業については、事業が開始された日又は適用事業に該当するに至った日に、法律上当然に保険関係が成立する(徴収法3条・4条)。事業主は保険関係が成立した日から10日以内に保険関係成立届を所轄の労働基準監督署長又は公共職業安定所長に提出しなければならない(同4条の2)。届出は成立の要件ではなく事後の手続にすぎない点が繰り返し問われる。また、建設の事業等の二元適用事業では労災保険と雇用保険の保険関係を別個に取り扱い、それ以外の一元適用事業では両保険を一体として扱う。事業の廃止・終了により保険関係は法律上当然に消滅する(徴収法5条)。
労働保険料の中心は一般保険料であり、賃金総額に一般保険料率(労災保険率+雇用保険率)を乗じて算定する(徴収法11条)。継続事業の事業主は、保険年度(4月1日から翌年3月31日)ごとに概算保険料を申告・納付し、保険年度終了後に確定保険料を申告して精算する。この年度更新の申告・納付期限は、6月1日から7月10日までである(徴収法15条・19条)。保険年度の中途に保険関係が成立した事業では、成立の日から50日以内に概算保険料を申告・納付する。事業主が申告をしない場合や申告に誤りがある場合、政府は職権で保険料の額を決定する(認定決定)。認定決定された確定保険料については、納付すべき額(その額に1,000円未満の端数があるときは端数切捨て後の額)の100分の10に相当する追徴金が徴収される(徴収法21条)。ただし天災その他やむを得ない理由がある場合は徴収されない。
概算保険料の延納(分割納付)も頻出である。労災保険と雇用保険の両方の保険関係が成立している継続事業では、概算保険料の額が40万円以上(労災保険又は雇用保険の一方の保険関係のみ成立している事業では20万円以上)である場合、又は労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合に、申請により最大3期に分けて納付できる(徴収法18条、徴収則27条)。有期事業では、事業の全期間が6か月を超え、かつ概算保険料の額が75万円以上(又は事務組合委託)の場合に延納できる。また、賃金総額の見込額が当初の見込額の100分の200を超えて増加し、かつ増加後の概算保険料の額が申告済みの額との差額13万円以上となるときは、増加概算保険料の申告・納付義務が生じる(徴収法16条・17条)。建設の事業では、概算保険料額160万円未満かつ請負金額(消費税等相当額を除く)1億8,000万円未満の小規模有期事業は法律上当然に一括される(有期事業の一括、徴収法7条)。
メリット制は、個々の事業の災害率に応じて労災保険率又は労災保険料の額を増減させる制度である(徴収法12条3項)。継続事業では、①100人以上の労働者を使用する事業、②20人以上100人未満の労働者を使用し災害度係数が0.4以上の事業等が対象で、連続する3保険年度の収支率に基づき、労災保険率(非業務災害率を除く部分)を原則として100分の40(±40%)の範囲内で増減させる。増減幅は原則±40%であるが、単独の有期事業のうち立木の伐採の事業は±35%、一括有期事業とみなされる建設の事業・立木の伐採の事業は±30%である点、また中小事業主が安全衛生措置を講じた場合の特例メリット制(±45%)の存在も選択式対策として押さえたい。労働保険事務組合は、中小事業主(金融・保険・不動産・小売業は常時50人以下、卸売業・サービス業は常時100人以下、その他の事業は常時300人以下の労働者を使用する事業主)の委託を受けて労働保険事務を処理する団体であり、厚生労働大臣の認可を要する。印紙保険料の納付事務など委託できない事務がある点も問われる。
労務管理その他の労働に関する一般常識(労一)では、まず労働組合法が最重要である。労組法7条の不当労働行為は、①組合員であること等を理由とする不利益取扱い・黄犬契約、②正当な理由のない団体交渉拒否、③支配介入・経費援助、④労働委員会への申立て等を理由とする報復的不利益取扱いの4類型である。労働組合の要件(労組法2条)、法人格の取得、労働協約の効力(規範的効力・一般的拘束力=事業場の同種労働者の4分の3以上に適用される場合の拡張適用、労組法17条)まで体系的に整理する。労働契約法では、労働契約の原則(3条)、就業規則による労働条件の変更(9条・10条)、出向・懲戒・解雇の権利濫用法理(14〜16条)、そして有期労働契約の通算契約期間が5年を超えた場合の無期転換申込権(18条)と雇止め法理(19条)が中心論点である。
個別法令では、パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の不合理な待遇差の禁止(8条)・差別的取扱いの禁止(9条)、労働施策総合推進法のパワーハラスメント防止措置義務(30条の2、中小企業も2022年4月から義務化)、女性活躍推進法の一般事業主行動計画と男女の賃金の差異の公表(常時301人以上)を押さえる。育児介護休業法は改正が続く頻出領域であり、出生時育児休業(産後パパ育休)、育児休業の分割取得(2回)に加え、直近の改正で「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」に改められ、対象となる子の範囲が小学校3年生修了までに拡大され、感染症に伴う学級閉鎖や入園式・卒園式等も取得事由に追加された点、所定外労働の制限(残業免除)の対象が小学校就学前まで拡大された点を最新の条文で確認しておくこと。
労一の選択式では労働経済(統計・白書)からの出題が定着している。厚生労働省「就労条件総合調査」(労働時間・年次有給休暇の取得率・退職給付等)、「賃金構造基本統計調査」(賃金水準・男女間格差)、「雇用動向調査」(入職率・離職率)、総務省「労働力調査」(完全失業率・非正規雇用比率)の各統計について、調査主体・調査対象・直近の傾向(水準のおおよその数字と方向感)をセットで記憶する。数値を丸暗記するのではなく、「年休取得率は上昇傾向で6割台」のように傾向と桁を押さえるのが実戦的である。科目別基準点(選択式は原則3点、択一式は原則4点)がある本試験では、労一は基準点割れのリスクが最も高い科目の一つであり、徴収法の手続論で確実に得点を積み、労一は法令部分を取り切って統計は傾向勘で拾う、という得点設計が合格戦略の要諦である。
この章の問題から3問
労災保険の適用事業については、事業主が保険関係成立届を提出した日に保険関係が成立する。
正解 ×(誤り)
誤り。保険関係は事業が開始された日に法律上当然に成立する(徴収法3条)。保険関係成立届は成立した日から10日以内に提出すべき事後の手続(徴収法4条の2)であり、成立の要件ではない。届出日と成立日をすり替えるのが典型的なひっかけである。
労災保険及び雇用保険の両方の保険関係が成立している継続事業(労働保険事務組合に事務処理を委託していないもの)の事業主は、概算保険料の額が20万円以上であれば、申請により概算保険料を延納することができる。
正解 ×(誤り)
誤り。両保険の保険関係が成立している継続事業では概算保険料の額が40万円以上であることが延納の要件である(徴収法18条、徴収則27条)。20万円以上で足りるのは、労災保険又は雇用保険のいずれか一方の保険関係のみが成立している事業の場合。金額要件の入れ替えがひっかけ。
事業主が確定保険料申告書を提出しないため政府が保険料の額を認定決定した場合、天災その他やむを得ない理由がある場合を除き、事業主はその納付すべき額の100分の10に相当する追徴金を納付しなければならない。
正解 ○(正しい)
正しい。認定決定された確定保険料については、納付すべき額(その額に1,000円未満の端数があるときは端数切捨て後の額)の100分の10の追徴金が徴収される(徴収法21条1項)。ただし天災その他やむを得ない理由による場合は徴収されない(同条ただし書)。なお印紙保険料の認定決定に係る追徴金は100分の25である点と区別すること。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。