経済学・経済政策
マクロはIS-LM・マンデル=フレミング(変動相場制では金融政策有効・財政政策無効)、ミクロは余剰分析と独占(MR=MC)・市場の失敗を、公式暗記でなくグラフで導出できることが合否を分ける。
中小企業診断士1次試験の「経済学・経済政策」は、ミクロ経済学とマクロ経済学からほぼ半々で出題される。マクロ分野の起点は国民経済計算(SNA、内閣府「国民経済計算」基準)であり、GDP(国内総生産)の三面等価の原則、すなわち生産・分配・支出の三面から見たGDPが事後的に必ず一致することが頻出論点である。GDPは「国内で一定期間内に生み出された付加価値の合計」であり、中間投入は含まれない。名目GDPと実質GDPの区別、GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP×100という関係、さらにGNI(国民総所得)=GDP+海外からの所得の純受取という関係式は毎年のように問われるため、定義から正確に押さえる必要がある。
マクロ経済理論では、ケインズ体系の45度線分析とIS-LM分析が中核である。45度線分析では、限界消費性向をcとすると政府支出乗数は1/(1-c)、租税乗数は-c/(1-c)となり、均衡予算乗数が1になることも重要である。IS-LM分析では、IS曲線は財市場の均衡(利子率低下→投資増→右下がり)、LM曲線は貨幣市場の均衡(所得増→貨幣需要増→右上がり)を表す。財政政策はIS曲線を、金融政策はLM曲線をシフトさせ、拡張的財政政策が利子率上昇を通じて民間投資を押しのけるクラウディング・アウトが生じる。流動性の罠(LM曲線が水平)では金融政策が無効となり財政政策の効果が最大になる点も、正誤判定で繰り返し出題されている。
開放経済ではマンデル=フレミング・モデルが最重要である。資本移動が完全な小国モデルにおいて、変動相場制の下では財政政策は自国通貨高を通じて純輸出が減少し無効、金融政策は有効となる。固定相場制の下ではこの結論が逆転し、金融政策が無効、財政政策が有効となる。この「変動相場制×金融政策有効/固定相場制×財政政策有効」の組合せは頻出の定番論点である。あわせて、為替レートの決定理論として購買力平価説と金利平価(アセット・アプローチ)、また国際収支統計(財務省・日本銀行「国際収支統計」、IMF国際収支マニュアル第6版準拠)における経常収支・金融収支の符号の扱いも確認しておきたい。
ミクロ経済学では、まず消費者行動理論として無差別曲線と予算制約線による効用最大化、価格変化の効果を代替効果と所得効果に分解するスルツキー分解が問われる。下級財のうち所得効果が代替効果を上回り需要曲線が右上がりになる財がギッフェン財である。需要の価格弾力性は「需要の変化率÷価格の変化率」(絶対値)で定義され、弾力性が1より大きい財では値下げが売上(支出額)を増加させる。生産者行動理論では、限界費用(MC)・平均費用(AC)・平均可変費用(AVC)の関係が重要であり、完全競争企業は価格=限界費用(P=MC)で利潤最大化し、損益分岐点はACの最低点、操業停止点はAVCの最低点である。
市場均衡と余剰分析も毎年出題される。完全競争市場の均衡では消費者余剰と生産者余剰の合計(総余剰)が最大化されるが、政府が課税や価格規制を行うと死荷重(厚生損失)が発生する。従量税が課された場合の税の帰着は、需要と供給の価格弾力性の相対関係で決まり、弾力性の小さい側がより多くの税を負担する。独占市場では、独占企業は限界収入=限界費用(MR=MC)となる生産量を選び、価格は限界費用を上回るため死荷重が生じる。独占度を測るラーナーの独占度は(P-MC)/Pで定義され、需要の価格弾力性の逆数に等しい。ゲーム理論からは、ナッシュ均衡と支配戦略、囚人のジレンマ(支配戦略均衡がパレート最適にならない)が定番である。
市場の失敗の分野では、外部性・公共財・情報の非対称性の3本柱を押さえる。負の外部性(公害等)が存在すると市場均衡は社会的最適より過大な生産となり、是正手段としてピグー税(社会的限界費用と私的限界費用の乖離分の課税)や、取引費用がゼロなら当事者間交渉で効率的資源配分が達成されるとするコースの定理が問われる。公共財は非競合性と非排除性を持ち、フリーライダー問題により市場では過少供給となる。情報の非対称性については、契約前の逆選択(アカロフのレモン市場)と契約後のモラル・ハザードの区別、対策としてのシグナリング(情報を持つ側が発信)とスクリーニング(持たない側が選別)の区別が正誤判定の定番である。
マクロの政策・時事分野では、日本銀行の金融政策の枠組み(日本銀行法第2条の物価の安定、公開市場操作、政策金利)、中央銀行が供給するマネタリーベースと市中の預金創造を通じて形成されるマネーストックの関係(信用乗数)、フィリップス曲線(インフレ率と失業率の短期的なトレードオフ、自然失業率仮説では長期フィリップス曲線は垂直)が出題される。また、実質利子率=名目利子率-期待インフレ率というフィッシャー方程式、景気動向指数(内閣府、CIとDI、先行・一致・遅行系列)などの経済統計の読み方も問われる。本章は計算問題とグラフ読解が多く、公式の暗記ではなく図で導出できるようにしておくことが60点確保の最短経路である。データ仕様注: 各問題のanswerフィールドは選択肢配列の0始まりindexであり、explain内では選択肢を表示ラベル「ア(1番目)/イ(2番目)/ウ(3番目)/エ(4番目)」で参照する。
この章の問題から3問
GDP(国内総生産)には、国内で生産された財・サービスの付加価値だけでなく、生産に用いられた中間投入(原材料等)の価額も含まれる。
正解 ×(誤り)
GDPは国内で一定期間に生み出された「付加価値」の合計であり、中間投入は二重計算を避けるため控除される(内閣府・国民経済計算の定義)。「中間投入も含む」が誤りのひっかけ。
資本移動が完全な小国のマンデル=フレミング・モデルでは、変動相場制の下で拡張的財政政策は自国通貨高を招き、純輸出の減少により国民所得を増加させる効果はほとんどない。
正解 ○(正しい)
マンデル=フレミング・モデルの定番結論。変動相場制では財政拡張→利子率上昇圧力→資本流入→自国通貨高→純輸出減少で効果が相殺され、財政政策は無効、金融政策が有効となる。固定相場制では逆。
需要の価格弾力性が1より大きい財では、価格を引き下げると消費者の支出総額(企業の売上)は減少する。
正解 ×(誤り)
弾力性>1(弾力的)の場合、値下げによる数量増加率が価格下落率を上回るため支出総額は「増加」する。減少するのは弾力性<1(非弾力的)の場合。増減を逆にしたひっかけ。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。