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仕入税額控除とインボイス

納付税額=売上の消費税-控除対象仕入税額。控除には『適格請求書+帳簿の保存』が必須で、課税売上高5億円以下かつ課税売上割合95%以上なら全額控除、それ以外は個別対応方式か一括比例配分方式で按分する。

消費税は、生産・流通の各段階で売上に課税しつつ、前段階で支払った消費税額を差し引く「前段階税額控除」によって、税の累積(タックス・オン・タックス)を排除する仕組みです。この差し引く部分が「仕入税額控除」であり、納付税額は『課税標準額に対する消費税額(売上の消費税)-控除対象仕入税額(仕入れの消費税)』で計算されます。仕入税額控除は事業者の負担を実質ゼロに近づける制度の中核であり、その適用要件と計算方法が本章の主題です。

仕入税額控除を受けるには「帳簿及び請求書等の保存」が要件です(消法30条7項、保存期間は原則7年)。2023年10月1日からは『適格請求書等保存方式(インボイス制度)』が始まり、原則として税務署長の登録を受けた『適格請求書発行事業者』が交付する適格請求書(インボイス)の保存がなければ控除できません。適格請求書には、区分記載請求書の記載事項に加えて、①登録番号、②適用税率、③税率ごとに区分した消費税額等の記載が必要です。免税事業者は登録できず、その者からの課税仕入れは原則として控除対象外となりますが、経過措置として2023年10月〜2026年9月は80%、2026年10月〜2029年9月は50%相当額の控除が認められます。

控除できる金額は、課税売上割合によって変わります。課税売上割合=(課税売上高+免税売上高)÷(課税売上高+免税売上高+非課税売上高)で計算します。その課税期間の課税売上高が5億円以下、かつ課税売上割合が95%以上であれば、課税仕入れ等の税額を『全額控除』できます(95%ルール)。これに該当しない場合(課税売上高5億円超、または課税売上割合95%未満)は、非課税売上に対応する仕入れの控除を制限するため、按分計算が必要になります。

按分計算には2方式あります。『個別対応方式』は、課税仕入れを「課税売上対応分(全額控除)」「非課税売上対応分(控除不可)」「共通対応分(課税売上割合を乗じて控除)」の3つに区分します。『一括比例配分方式』は区分をせず、課税仕入れ等の税額合計に課税売上割合を一律に乗じます。一括比例配分方式は一度選ぶと2年以上継続適用しなければ個別対応方式に戻せません。一般に用途区分の手間を許容できれば個別対応方式の方が有利になることが多い点も実務上重要です。

税額計算では、税込金額から消費税額を割り戻す『割戻し計算』(税込×10/110、軽減税率は×8/108)と、インボイス記載の消費税額等を積み上げる『積上げ計算』があります。売上税額を積上げ計算した場合は仕入税額も積上げ計算とする等の組合せの制約がある点、控除しきれない部分(控除対象外消費税額等)は法人税・所得税で資産計上・損金算入の調整が必要になる点も、計算問題・理論問題の双方で問われます。

この章の問題から3問

適格請求書(インボイス)を交付できるのは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」に限られる。

正解 ○(正しい)

適格請求書を交付できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者のみ(消法57条の4第1項)。登録は課税事業者であることが前提で、免税事業者は登録できない。

課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上の課税期間は、課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除できる。

正解 ○(正しい)

いわゆる「95%ルール」。その課税期間の課税売上高が5億円以下、かつ課税売上割合が95%以上の場合に限り全額控除が認められる(消法30条2項)。課税売上高が5億円超の場合は95%以上でも個別対応方式または一括比例配分方式による(区分計算が必要)。

一括比例配分方式を採用した場合、これを継続して適用しなければならない期間として正しいものはどれか。

  1. 翌課税期間まで(合計2年以上)
  2. 2年以上継続適用後でなければ個別対応方式に変更できない
  3. 変更は自由でいつでも個別対応方式に戻せる
  4. 3年間継続適用が必要

正解 2年以上継続適用後でなければ個別対応方式に変更できない

一括比例配分方式を選択した場合、2年以上継続して適用した後でなければ個別対応方式に変更できない(消法30条5項)。簡便な方式の選択による有利不利の操作を防ぐ趣旨。

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