非課税・免税・輸出取引
不課税(対象外)→非課税→免税(輸出)の3段階を入口から区別し、最重要は『非課税は仕入控除できない/輸出免税は0%課税で仕入控除でき還付され得る』という効果の違いである。
消費税はまず『課税の対象(消法4)』に当たるかを判定する。課税の対象は①国内において②事業者が事業として③対価を得て④資産の譲渡・貸付け又は役務の提供を行うこと、の4要件をすべて満たす取引である。この4要件のいずれかを欠く取引(例:国外取引、無償取引、給与等の役務提供でないもの)は『不課税取引(課税対象外)』となり、消費税の世界に最初から入らない。まずこの『課税対象/対象外』の入口を区別することが本章の出発点である。
課税対象に入った取引のうち、消費税を課さないものが『非課税取引』である。非課税には2つの系統がある。第一は、消費に負担を求める税としての性格になじまないもので、(a)土地の譲渡・貸付け、(b)有価証券・支払手段等の譲渡、(c)利子・保険料・保証料等、(d)郵便切手類・物品切手等の譲渡、(e)行政手数料、(f)外国為替業務等が該当する。第二は、社会政策的配慮に基づくもので、(g)社会保険医療、(h)介護保険サービス・社会福祉事業、(i)助産、(j)埋葬料・火葬料、(k)身体障害者用物品の譲渡等、(l)一定の学校の授業料・入学金等、(m)教科用図書の譲渡、(n)住宅の貸付けが該当する。これらは消費税法別表第二(令和5年10月のインボイス制度導入に伴い旧別表第一から番号繰下げ)に限定列挙されており、列挙されていないものは非課税にならない点に注意する。
個別論点で頻出するのが『例外的に課税となるもの』である。土地の貸付けは原則非課税だが、貸付期間1か月未満のもの及び駐車場等の施設利用に伴う土地の使用は課税となる。住宅の貸付けは非課税だが、貸付期間1か月未満のもの及び旅館業に該当するものは課税となる。医療も社会保険医療は非課税だが、美容整形・自由診療・差額ベッド代の一部などは課税となる。『原則非課税・ただし○○は課税』というパターンを正確に押さえることが計算・理論双方で得点を分ける。
輸出取引等(消法7)は、国内において行う課税資産の譲渡等のうち、本邦からの輸出として行われるもの等について税率0%を適用する『免税取引』である。要件は、①課税事業者が行うこと、②輸出取引等(資産の輸出、国際輸送・通信・郵便、非居住者への無形資産の譲渡・貸付けや一定の役務提供等)に該当すること、③輸出許可書等の証明書類を整理し7年間保存することの3点である。輸出物品販売場(免税店)における非居住者への一定物品の譲渡も免税の対象となる。
最重要なのが『非課税』と『免税』の効果の違いである。非課税取引に対応する課税仕入れの消費税は原則として仕入税額控除できず、課税売上割合の計算では分母にのみ算入される。これに対し免税取引は税率0%の『課税資産の譲渡等』であるため、対応する課税仕入れの消費税は控除でき、課税売上割合では分子・分母の両方に算入される。したがって輸出主体の事業者は売上税額0円・仕入税額は控除可となり、消費税が還付され得る。この差異を、計算問題(課税売上割合・控除税額)と理論問題(趣旨説明)の双方で説明できるようにしておくことが本章の到達目標である。
この章の問題から3問
消費税の課税の対象となる取引の4要件として、誤っているものはどれか。
- 国内において行うものであること
- 事業者が事業として行うものであること
- 対価を得て行うものであること
- 利益が生じる取引であること
正解 利益が生じる取引であること
国内取引の課税の対象は、消費税法4条1項が「国内において事業者が行った資産の譲渡等……には、この法律により、消費税を課する」と定める。ここでいう「資産の譲渡等」は消費税法2条1項8号で「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」と定義される。両者を分解すると、(1)国内において行うもの、(2)事業者が事業として行うもの、(3)対価を得て行うもの、(4)資産の譲渡・貸付け又は役務の提供であること、という4要件になる(選択肢0・1・2はこれに該当する)。一方、利益(所得)が生じることは消費税法4条1項にも2条1項8号にも掲げられておらず、要件ではない。消費税は消費支出に着目した多段階課税であり、対価さえあれば赤字取引でも課税対象となるため、選択肢3が誤りで正解となる。
土地(土地の上に存する権利を含む)の譲渡及び貸付けは、貸付期間にかかわらず常に非課税である。
正解 ×(誤り)
土地の譲渡・貸付けは原則非課税(消法6①、別表第二1)だが、貸付期間が1か月未満の土地の貸付け及び駐車場その他の施設の利用に伴う土地の使用は非課税から除かれ、課税となる(消令8)。
次のうち、消費税が「非課税」ではなく「課税」となる取引はどれか。
- 社会保険医療(健康保険法等に基づく療養の給付)
- 住宅の貸付け(契約で居住用と明示・1か月以上)
- 一般の有価証券(株式・公社債等)の譲渡
- 美容整形・自由診療の医療サービス
正解 美容整形・自由診療の医療サービス
健康保険法等に基づく社会保険医療は非課税だが、美容整形や自由診療など保険適用外の医療サービスは課税対象となる(別表第二6)。住宅の貸付け(別表第二13)、有価証券の譲渡(別表第二2)は非課税。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。