申告・納付と各種特例
中間申告の要否・回数は『直前の課税期間の確定消費税額(国税分の年税額)』で判定し、48万円超400万円以下=年1回、400万円超4,800万円以下=年3回、4,800万円超=年11回、確定申告期限は原則『末日の翌日から2か月以内』(個人の年末分は翌年3/31)である。
消費税は、課税事業者が自ら税額を計算して申告・納付する申告納税方式をとる。課税事業者は『課税期間』ごとに、その末日の翌日から原則2か月以内に確定申告書を提出し、同時に納付する。課税期間は、個人事業者は暦年(1/1〜12/31)、法人はその事業年度が原則となる。期限には重要な例外が2つある。①個人事業者の年末(12/31)が属する課税期間分は、特例により翌年3月31日が申告・納付期限となる(所得税の3/15とは別)。②法人税の申告期限延長の特例を受ける法人は、届出により消費税の申告期限を1か月延長できる。
事業規模が一定以上の事業者には、年税額を前倒しで納める『中間申告(中間納付)』が課される。要否と回数は『直前の課税期間の確定消費税額(国税分=地方消費税を含まない額)』で判定する。48万円以下は原則不要、48万円超400万円以下は年1回、400万円超4,800万円以下は年3回、4,800万円超は年11回となる。各中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内に申告・納付する。なお48万円以下の事業者でも、届出により任意で年1回の中間申告を行うことができる(任意の中間申告制度)。
中間納付額の計算方式には2つある。『予定申告方式』は、直前の課税期間の確定税額を期間按分する方法で、年1回なら×6/12、年3回なら各回×3/12、年11回なら各回×1/12(国税分)を納める。一方『仮決算方式』は、中間申告対象期間を一つの課税期間とみなして仮の決算を行い、実際の取引に基づいて税額を計算する方法である。前期より業績が悪化した期に仮決算方式を選ぶと中間納付を抑えられるが、仮決算でマイナス(還付)が出ても中間段階では還付されない点に注意する。中間納付した税額は、確定申告で精算され、確定税額から控除し、納め過ぎなら還付される。
『課税期間の特例(短縮)』は、届出により原則1年の課税期間を3か月ごと又は1か月ごとに短縮できる制度である。主な狙いは、輸出取引や多額の設備投資により還付が見込まれる事業者が、1年を待たずに早期に還付を受けてキャッシュフローを改善することにある。手続は『消費税課税期間特例選択・変更届出書』を、適用を受けようとする短縮課税期間の開始の日の前日までに提出する。一度適用すると、事業の廃止を除き2年間は取りやめや区分変更ができない縛りがあり、やめる際は『課税期間特例選択不適用届出書』を提出する。申告回数が増える事務負担とのトレードオフを理解しておく。
本章の論点は『期限・回数・金額基準・届出のタイミング』という数値と手続が中心であり、計算問題・理論問題の双方で問われる。特に中間申告の3つの閾値(48万円/400万円/4,800万円)と対応回数(1回/3回/11回)、判定基礎が『国税分の年税額』であること、課税期間特例の2年縛りと届出期限(前日まで)は確実に固めたい。
この章の問題から3問
法人の消費税の確定申告書は、その課税期間の末日の翌日から原則として1か月以内に提出しなければならない。
正解 ×(誤り)
誤り。消費税法45条1項は、事業者は課税期間ごとに、その課税期間の末日の翌日から2か月以内に確定申告書を提出しなければならないと定めており、法人の原則的な申告期限は「2か月以内」であって1か月以内ではない。ただし消費税法45条の2第1項により、法人税法75条の2の申告期限延長の特例の適用を受ける法人が、所轄税務署長に届出書を提出した場合には、その事業年度終了の日の属する課税期間の確定申告書の提出期限を1か月延長することができる。
個人事業者のその年の12月31日の属する課税期間に係る消費税の確定申告・納付の期限は、翌年3月31日である。
正解 ○(正しい)
正しい。原則として、事業者は課税期間ごとに、その課税期間の末日の翌日から2か月以内に確定申告書を提出しなければならず(消費税法45条1項)、その申告書に記載した納付税額も同じ期限までに納付する(消費税法49条)。したがって個人事業者(課税期間=暦年、末日12/31)の原則期限は翌年2月末日となる。もっとも、個人事業者のその年12月31日の属する課税期間分については、租税特別措置法上の確定申告期限の特例により、申告・納付期限が翌年3月31日まで延長されている。所得税の確定申告期限(原則3月15日)とは日付が異なる点に注意。
消費税の中間申告の要否および回数を判定する基準として正しいものはどれか。
- 直前の課税期間の課税売上高(税込)
- 直前の課税期間の確定消費税額(国税分=地方消費税を含まない額)
- 当課税期間の見込課税売上高
- 直前の課税期間の課税標準額
正解 直前の課税期間の確定消費税額(国税分=地方消費税を含まない額)
中間申告の要否・回数は、消費税法42条が定めるとおり「直前の課税期間の確定消費税額」(=消費税法45条1項4号に掲げる消費税額。国税である消費税の額であり、地方消費税は含まない)を基準に判定する。したがって正解は(1)。課税売上高や課税標準額そのもの、当課税期間の見込額では判定しない。 具体的には、直前の課税期間の確定消費税額を同期間の月数で按分した金額に応じ、 ・消費税法42条1項:1月ごとの中間申告(直前期の確定消費税額ベースで年4,800万円超=年11回) ・同条4項:3月ごとの中間申告(同400万円超4,800万円以下=年3回) ・同条6項:6月ごとの中間申告(同48万円超400万円以下=年1回) となる。48万円以下の場合は上記各項の要件を満たさず、中間申告義務は生じない。 なお、地方消費税を含めた税込ベースの納付額で判定してしまうと区分を誤るため、判定は必ず国税分(消費税法45条1項4号の消費税額)で行う点が実務上の要注意点である。
登録不要 ・ 採点と解説はその場 ・ 進捗は端末に保存
消費税法の他の章
本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。