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民法① 総則・物権

意思表示(94条2項・95条・96条3項)と物権変動(177条の第三者・背信的悪意者・即時取得)を、平成29年・令和3年改正の条文と判例の結論をセットで正確に暗記することが本章攻略の核である。

司法書士試験の午前択一35問のうち民法は例年20問前後を占め、その中でも総則・物権は最頻出領域である。まず権利能力・意思能力・行為能力の三層構造を押さえる。意思能力を欠く者の法律行為は無効である(民法3条の2・平成29年改正で明文化)。制限行為能力者制度では、成年被後見人の行為は日用品購入等を除き取消し可能(民法9条)、被保佐人は民法13条1項列挙行為に保佐人の同意を要し、未成年者の法律行為は法定代理人の同意がなければ取り消せる(民法5条)が、単に権利を得または義務を免れる行為は例外である。制限行為能力者の相手方の催告権(民法20条)と、詐術を用いた場合の取消権喪失(民法21条)も繰り返し出題されている。

意思表示は本試験の核心である。心裡留保(民法93条)は原則有効だが相手方が悪意または有過失なら無効、虚偽表示(民法94条)は無効で、94条2項により善意の第三者に無効を対抗できない。94条2項の「第三者」は善意であれば足り無過失は不要とするのが判例(最判昭和28年10月1日等)であり、また同項の類推適用による権利外観法理は不動産登記と絡めて頻出である。錯誤(民法95条)は平成29年改正で「取消し」に効果が変更され、動機の錯誤(基礎事情の錯誤)はその事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り取消し可能となった。詐欺による取消しは善意無過失の第三者に対抗できない(民法96条3項)が、強迫による取消しは第三者に対抗できる点の対比が定番の出題である。

代理では、無権代理と相続の論点が最重要である。無権代理人が本人を単独相続した場合、追認拒絶は信義則上許されず当然に有効となる(最判昭和40年6月18日)のに対し、本人が無権代理人を相続した場合は追認拒絶できる(最判昭和37年4月20日)。表見代理は109条(代理権授与表示)・110条(権限外の行為)・112条(代理権消滅後)の三類型と、平成29年改正で明文化された重畳適用型(109条2項・112条2項)を整理する。自己契約・双方代理は無権代理行為とみなされる(民法108条)が、債務の履行および本人があらかじめ許諾した行為は除かれる。復代理・代理権の濫用(民法107条)も改正で明文化された点に注意が必要である。

時効は取得時効と消滅時効の双方から毎年出題される。所有権の取得時効は、所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有し、善意無過失なら10年、それ以外は20年である(民法162条)。占有の承継(民法187条)では、前主の占有を併せて主張する場合は前主の瑕疵も承継する。消滅時効は改正により「権利を行使することができることを知った時から5年」「権利を行使することができる時から10年」の二本立てとなった(民法166条1項)。旧法の「中断・停止」は「更新・完成猶予」に再構成され、裁判上の請求は完成猶予、確定判決による権利確定で更新となる(民法147条)。催告は6か月の完成猶予にとどまり(民法150条)、協議を行う旨の合意による完成猶予(民法151条)は改正の新設規定として要注意である。時効の援用(民法145条)の援用権者には保証人・物上保証人・第三取得者が明文で含まれた。

物権変動は司法書士試験の看板論点である。物権変動は意思表示のみによって効力を生じ(民法176条)、不動産物権変動は登記をしなければ第三者に対抗できない(民法177条)。177条の「第三者」は当事者もしくはその包括承継人以外の者で登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者に限られ(大連判明治41年12月15日)、背信的悪意者は含まれない(最判昭和43年8月2日)。ただし背信的悪意者からの転得者は、転得者自身が背信的悪意者でない限り登記なくして対抗される側とはならない(最判平成8年10月29日)。取消しと登記・解除と登記・時効と登記・相続と登記の各場面の処理は記述式(不動産登記)にも直結する。動産の対抗要件は引渡し(民法178条)であり、即時取得(民法192条)は取引行為により平穏・公然・善意・無過失で占有を始めたことを要し、占有改定では即時取得は成立しない(最判昭和35年2月11日)。

占有権・所有権では、占有訴権(民法197条以下)、共有の規律が重要である。特に令和3年民法改正(令和5年4月1日施行)により共有規定が大きく変わった。共有物の管理は持分価格の過半数で決し、形状または効用の著しい変更を伴わない変更(軽微変更)も過半数で可能となった(民法251条・252条)。共有物を使用する共有者がいても管理に関する事項は過半数で決定でき、賛否不明の共有者を除外して決する裁判制度も新設された。また所在等不明共有者の持分取得・譲渡制度(民法262条の2・262条の3)、相隣関係では隣地使用権(民法209条)・ライフライン設備設置権(民法213条の2)・越境した枝の切取り(民法233条)が改正され、新法からの出題実績があるため条文レベルで正確に押さえるべきである。

用益物権・担保物権の入口として、地上権・地役権も総則物権分野で問われる。地役権は要役地から分離して譲渡できず(民法281条2項・付従性)、要役地の所有権移転に随伴する。通行地役権の承役地譲受人に対する対抗については、譲渡時に承役地が要役地所有者により継続的に通路として使用されていることが客観的に明らかで譲受人がそれを認識可能であったときは、登記なくして地役権を対抗できるとした判例(最判平成10年2月13日)が重要である。本章の学習では、条文の原則・例外構造を正確に記憶した上で、判例の結論と理由付けをセットで押さえ、過去問の肢単位で正誤判断の根拠を言語化できる状態を目指すことが、基準点突破の最短経路である。

この章の問題から3問

虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗することができないが、この「第三者」として保護されるためには、善意であることに加えて無過失であることを要する。

正解 ×(誤り)

民法94条2項の第三者は善意であれば足り、無過失は要求されないとするのが判例(最判昭和28年10月1日)。即時取得(192条)の善意無過失と混同させるひっかけ。

強迫による意思表示の取消しは、取消し前に利害関係に入った善意でかつ過失がない第三者に対抗することができる。

正解 ○(正しい)

民法96条3項は詐欺による取消しについてのみ善意無過失の第三者保護を定めており、強迫による取消しは善意無過失の第三者にも対抗できる。詐欺との対比が定番論点。

占有改定による占有の取得によっても、民法192条の即時取得は成立する。

正解 ×(誤り)

判例(最判昭和35年2月11日)は、即時取得の成立には一般外観上従来の占有状態に変更を生ずる占有取得を要するとし、占有改定では即時取得は成立しないとする。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。