Ukaru.資格試験オンライン講座

民事訴訟法・民事執行法・民事保全法

既判力は主文中の判断(訴訟物)にのみ生じ、例外は相殺の抗弁(114条2項)。基準時=事実審口頭弁論終結時と115条の主観的範囲拡張、執行・保全の救済手段の区別が合否を分ける。

司法書士試験における民事訴訟法は例年5問出題され、民事執行法・民事保全法が各1問を占める。まず管轄から確認する。民事訴訟法4条は被告の普通裁判籍所在地の管轄を定め、5条は財産権上の訴えにつき義務履行地等の特別裁判籍を認める。合意管轄(11条)は第一審に限り書面(電磁的記録を含む)ですることを要し、応訴管轄(12条)は被告が管轄違いの抗弁を提出せず本案について弁論等をした場合に生じる。専属管轄には合意管轄・応訴管轄の規定は適用されない(13条)。また移送(16条〜)では、管轄違いによる移送のほか、遅滞を避ける等のための移送(17条)、簡易裁判所の裁量移送(18条)が頻出である。令和4年改正(令和8年までに順次施行)によりウェブ会議による口頭弁論参加(87条の2)や訴状のオンライン提出が整備された点も新傾向として押さえる。

当事者論では、当事者能力(28条・29条)と訴訟能力が中心である。法人でない社団でも代表者の定めがあれば当事者能力が認められる(29条)。訴訟能力を欠く者の訴訟行為は無効だが、追認により行為時に遡って有効となる(34条2項)。訴訟代理では、訴訟代理権は書面で証明を要し、当事者の死亡によっては消滅しない(58条1項1号)点が民法の代理と異なる重要論点である。また補佐人・法定代理人の区別、特別代理人(35条)の選任要件も問われる。二当事者対立構造を欠く訴えは不適法であり、訴訟要件(当事者適格・訴えの利益等)は職権調査事項である。確認の訴えの利益では、遺言者生存中の遺言無効確認は不適法とするのが判例(最判平11.6.11)である。

口頭弁論と証拠では、処分権主義(246条)と弁論主義の区別が核心である。裁判所は当事者が申し立てていない事項について判決できず(246条)、主要事実は当事者の主張がなければ判決の基礎にできない。裁判上の自白(179条)が成立すると証明不要となり、原則として撤回できないが、相手方の同意がある場合、刑事上罰すべき他人の行為による場合、反真実かつ錯誤による場合は撤回が許される(判例)。擬制自白(159条)は公示送達による呼出しを受けた当事者には適用されない(同条3項ただし書)。証拠では、文書提出命令(220条)の一般義務化と自己利用文書の除外、文書の成立の真正の推定(228条4項の二段の推定)が頻出である。証明責任の分配は法律要件分類説が基礎となる。

判決の効力では既判力(114条)が最重要である。既判力は主文に包含されるもの、すなわち訴訟物たる権利関係の存否の判断についてのみ生じ、判決理由中の判断には生じないのが原則だが、相殺の抗弁については相殺をもって対抗した額について既判力が生じる(114条2項)。既判力の基準時は事実審の口頭弁論終結時であり、基準時後の形成権行使につき、取消権・解除権は遮断されるが、建物買取請求権は遮断されないとするのが判例(最判平7.12.15)である。既判力の主観的範囲は当事者間が原則だが、口頭弁論終結後の承継人、請求の目的物の所持者等に拡張される(115条)。また複雑訴訟として、通常共同訴訟の共同訴訟人独立の原則(39条)、必要的共同訴訟(40条)、独立当事者参加(47条)、補助参加(42条)とその参加的効力(46条)の区別を体系的に整理すること。

上訴・再審と簡裁手続も毎年出題される。控訴は判決送達から2週間以内(285条)、不利益変更禁止の原則(304条)により附帯控訴(293条)がない限り控訴人に不利益な変更はできない。少額訴訟(368条〜)は訴額60万円以下の金銭支払請求に限られ、同一簡裁で年10回まで、一期日審理の原則、反訴禁止、控訴禁止(異議のみ)、判決による支払猶予(375条)が特徴である。督促手続(382条〜)では、支払督促は金銭その他の代替物等の給付請求に限られ、債務者の住所地等の簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てる。仮執行宣言前の督促異議により支払督促は効力を失い、訴訟に移行する(390条・395条)。なお手形訴訟は別個の特則(350条〜)である。

民事執行法は不動産強制競売と担保権実行が軸である。強制執行には執行文の付与された債務名義の正本が必要(25条)だが、少額訴訟判決・仮執行宣言付支払督促は執行文不要である(同条ただし書)。債務名義(22条)の種類、承継執行文(27条2項)、執行文付与に対する異議・異議の訴え(32条・34条)、請求異議の訴え(35条)、第三者異議の訴え(38条)の区別が頻出。不動産競売では差押えの効力発生時期(登記または送達の先後、46条)、剰余主義(63条)、売却のための保全処分(55条)、買受人の代金納付による所有権取得(79条)と登記嘱託(82条)を押さえる。債権執行では差押命令は債務者と第三債務者に送達され、第三債務者への送達時に効力が生じ(145条)、金銭債権の差押債権者は送達から1週間(給与等は4週間)経過後に取立て可能(155条)。転付命令(159条)は券面額での代物弁済的移転であり、送達時までに他の差押えがないことを要する。

民事保全法は仮差押え・係争物仮処分・仮の地位を定める仮処分の三類型を区別する。保全命令は被保全権利と保全の必要性を疎明(証明ではない)して申し立て(13条)、担保を条件とすることができる(14条)。仮差押命令は金銭債権のための制度であり、目的物を特定しないで発することも動産についてのみ可能(21条)。保全異議(26条)・保全取消し(37条〜39条)・保全抗告(41条)の救済体系、本案の訴えの不提起等による取消し(37条: 起訴命令)を整理する。保全執行は保全命令の送達前でも着手でき(43条3項)、債権者に命令が送達された日から2週間以内に執行しなければならない(43条2項)。仮の地位を定める仮処分は原則として口頭弁論または債務者が立ち会うことができる審尋期日を経なければ発せられない(23条4項)点が他の類型と異なる。

この章の問題から3問

裁判上の自白が成立した事実については、裁判所はこれに反する事実を認定することができず、自白した当事者は、いかなる場合であってもこれを撤回することができない。

正解 ×(誤り)

前段は正しい(民訴法179条・弁論主義)が、後段が誤り。判例上、①相手方の同意がある場合、②刑事上罰すべき他人の行為により自白した場合、③自白内容が真実に反しかつ錯誤に基づく場合には撤回が許される。「いかなる場合であっても」がひっかけ。

第一審の管轄の合意は、書面でしなければその効力を生じないが、電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされる。

正解 ○(正しい)

民訴法11条2項・3項。管轄合意は第一審に限り、一定の法律関係に基づく訴えに関し、書面ですることを要する。電磁的記録による場合は書面でされたものとみなされる(同条3項)。

訴訟代理権は、当事者本人の死亡によって消滅する。

正解 ×(誤り)

民訴法58条1項1号。訴訟代理権は当事者の死亡によっては消滅しない。民法111条1項(本人の死亡による代理権消滅)と異なる訴訟法上の特則であり、頻出のひっかけ。この場合訴訟手続の中断も生じない(124条2項)。

この章の残り12問を解く

登録不要 ・ 採点と解説はその場 ・ 進捗は端末に保存

司法書士の他の章

本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。