財産評価(土地・株式)
宅地は『市街地=路線価方式/郊外=倍率方式』、利用区分で評価額が変わり、株式は『上場=4価額の最安値/非上場=株主区分(支配=原則的評価・少数=配当還元)』が評価分岐の幹である。
相続税・贈与税では、取得した財産を「時価」で評価するのが原則(相続税法22条)だが、時価の算定が困難なため、国税庁の財産評価基本通達が画一的・客観的な評価方法を定めている。本章では実務・試験ともに出題の中心となる宅地(土地)と株式の評価を扱う。まず全体像として、評価の基本は『1物件ごとに通達の定める方式へ当てはめる』ことだと押さえる。
宅地の評価には2方式がある。市街地的形態の地域では路線価方式を用い、道路に付された1m²当たりの路線価に、奥行価格補正・側方路線影響加算・二方路線影響加算・間口狭小補正・不整形地補正などの画地調整を行い、地積を乗じて評価額を算出する。路線価が定められていない地域では倍率方式を用い、固定資産税評価額に国税局長が定めた倍率を乗じる。路線価は公示価格の概ね80%、固定資産税評価額は概ね70%の水準である点も理解しておきたい。
土地は利用区分によって評価額が変わる。自分で使う自用地が基準となり、他人に貸している貸宅地(底地)は『自用地評価額×(1−借地権割合)』、自分の土地に建てた貸家を賃貸している貸家建付地は『自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)』で評価する。借家権割合は現在全国一律30%。借地人側が持つ借地権は『自用地評価額×借地権割合』となる。これらの式を正確に区別できるかが計算問題の得点源となる。
株式の評価は、上場株式と取引相場のない株式(非上場株式)で大きく異なる。上場株式は、課税時期の最終価格と、当月・前月・前々月の各月平均額の4つのうち最も低い価額で評価する。取引相場のない株式は、取得者が同族株主等か少数株主かで分岐し、支配株主は原則的評価方式(会社規模により類似業種比準方式・純資産価額方式・併用)、少数株主は配当還元方式で評価する。会社規模は大会社・中会社・小会社に区分され、用いる方式が変わる。
学習の順序としては、(1)宅地2方式の使い分け、(2)主要な画地調整と利用区分別の計算式、(3)上場株式の4価額比較、(4)非上場株式の株主区分と会社規模区分、の順に固めると体系的に理解できる。計算は式の暗記だけでなく、与えられた数値をどの位置に当てはめるかを反復練習することが重要である。
この章の問題から3問
市街地にある宅地の評価方法として、財産評価基本通達が原則として採用しているのはどれか。
- 倍率方式
- 公示価格方式
- 路線価方式
- 鑑定評価方式
正解 路線価方式
相続財産の価額は、取得の時における時価による(相続税法22条)。この「時価」を画一的に算定するための取扱いが財産評価基本通達であり、宅地については、①市街地的形態を形成する地域にある宅地は路線価方式、②それ以外の宅地は倍率方式によって評価すると定めている(評基通11)。したがって市街地にある宅地の原則的評価方法は路線価方式であり、正解は(2)。路線価方式とは、路線価を基とし、通達15以下の画地調整を行って評価する方式をいう(評基通13)。一方、路線価が定められていない地域(主に郊外・農村部)の宅地は、固定資産税評価額に国税局長の定める一定倍率を乗じて計算する倍率方式による(評基通21、21-2)。
路線価方式における路線価は、その路線に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額であり、千円単位で表示される。
正解 ○(正しい)
正しい。相続税法22条は財産の価額を取得時の時価によるとし、その具体的な評価方法として財産評価基本通達13(路線価方式)が、市街地的形態を形成する地域にある宅地は路線価方式で評価すると定める。そして財産評価基本通達14(路線価)は、路線価を「宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線ごとに設定」し、その路線に接する宅地で一定の標準的な条件を備えるものについての1平方メートル当たりの価額とする旨を定めている。つまり路線価は「その路線に面する標準的な宅地の1m²当たりの価額」であり、設問の前段は通達14の定義どおり。なお、路線価が千円単位で表示されること(例:「300C」なら30万円/m²)、末尾のアルファベットが借地権割合(財産評価基本通達27参照)を示すこと、路線価が公示価格の概ね80%の水準に設定されていることは、通達本文の文言ではなく国税庁が路線価図の表示・評定水準として運用している取扱いである。
1画地の宅地が正面と側方の二つの路線に接する角地の評価で用いる調整は次のうちどれか。
- 奥行価格補正のみ
- 間口狭小補正のみ
- 二方路線影響加算
- 側方路線影響加算
正解 側方路線影響加算
財産の価額は取得時の時価による(相続税法22条)ところ、宅地の時価評価の具体的方法は財産評価基本通達が定める。市街地的形態を形成する地域の宅地は路線価方式により、正面路線価に奥行価格補正を行った価額を基礎に評価する(評基通11・13・15)。 正面と側方の2路線に接する角地(準角地を含む)は、側方路線の影響分を加算する「側方路線影響加算」を行う(評基通16)。すなわち、正面路線価に奥行価格補正率を乗じた価額に、側方路線価に奥行価格補正率と側方路線影響加算率を乗じた価額を加算して1平方メートル当たりの価額を求める。 これに対し、正面と裏面の2路線に接する宅地は「二方路線影響加算」による(評基通17)。したがって本問の角地では側方路線影響加算(選択肢3)が正しい。 なお、いずれの場合も正面路線とは、各路線価に奥行価格補正率(評基通15)を乗じて計算した金額が最も高い路線をいう(評基通16)。間口狭小補正(評基通20-4)は間口が狭い宅地に適用される別個の補正であり、角地であることを理由に用いる調整ではない。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。