贈与税と相続時精算課税
暦年課税(年110万円控除・超過累進・生前贈与加算7年)と相続時精算課税(年110万円基礎控除+累積2,500万円特別控除・超過一律20%・相続時に贈与時価額で精算)を、贈与者ごとの選択・撤回不可という軸で正確に使い分けることが核心。
贈与税は、個人から財産を無償でもらった人(受贈者)に課される税で、相続税を補完する役割を持つ。生前に財産を移転して相続税を逃れることを防ぐため、相続税より高い税率構造になっている。課税方式には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、受贈者が贈与者ごとに選択する。暦年課税が原則で、相続時精算課税は届出によって選択する仕組みである。
暦年課税は、1年間(1/1〜12/31)にもらった財産の合計から、受贈者ごとに年110万円の基礎控除を引いた残額に超過累進税率を適用する。税率には、直系尊属(父母・祖父母)から18歳以上の子・孫への贈与に使う『特例税率』と、それ以外に使う『一般税率』の2種類があり、特例税率の方が緩やかである。相続が発生すると、相続で財産を取得した人が被相続人から相続開始前の一定期間に受けた暦年贈与は、相続財産に加算される(生前贈与加算)。2024年1月1日以後の贈与については、この加算期間が従来の3年から7年に延長され、延長された4年分は合計100万円を控除して加算する。
相続時精算課税は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の推定相続人である子・孫への贈与について選べる制度で、贈与者ごとに選択し、一度選ぶと撤回できない。累積2,500万円までの特別控除があり、超過部分に一律20%課税する。贈与者の死亡時には、精算課税で贈与した財産を『贈与時の価額』で相続財産に持ち戻して相続税を計算し、すでに払った贈与税を精算(控除・還付)する。2024年からは年110万円の基礎控除が新設され、この基礎控除分は贈与税も相続税も課されない(相続時の持ち戻し対象外)ため、使い勝手が大きく向上した。
贈与税には政策的な特例も多い。代表例として、婚姻20年以上の夫婦間で居住用不動産等を贈与した場合の配偶者控除(最高2,000万円・基礎控除と別枠・一生一度)、直系尊属からの住宅取得等資金の非課税、教育資金の一括贈与の非課税、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税などがある。これらは適用要件・上限額・適用期限が細かく定められており、要件を正確に押さえることが計算・理論双方で問われる。
試験対策上は、まず2つの課税方式の選択関係(贈与者ごと・撤回不可)を押さえ、暦年課税の計算手順(合計→基礎控除110万円→税率区分判定→速算式)と相続時精算課税の計算手順(年110万円基礎控除→特別控除2,500万円→超過20%)を確実に区別できるようにする。さらに2024年改正(生前贈与加算7年化・精算課税の年110万円基礎控除)は近年の最重要論点であり、改正前後の取扱いを混同しないことが得点の鍵となる。
この章の問題から3問
暦年課税における贈与税の基礎控除額は、受贈者1人につき年間110万円である。
正解 ○(正しい)
暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額から、受贈者ごとに年間110万円の基礎控除を控除する。複数人から贈与を受けても、もらった人(受贈者)を基準に合計110万円までが非課税。
相続時精算課税を一度選択すると、その選択をした贈与者からの贈与については、その後暦年課税に変更することはできない。
正解 ○(正しい)
正しい。相続時精算課税は、贈与者(特定贈与者)ごとに受贈者が選択するもので、贈与を受けた年の翌年の申告期限までに「相続時精算課税選択届出書」を提出して選択する(相続税法21条の9第1項・第2項)。届出書を提出した者は、その届出書に係る贈与者から受ける贈与について、その届出に係る年分以後のすべての年分において相続時精算課税の適用を受ける(同条3項)。そして、この届出書は撤回することができない(同条6項)。したがって、いったん選択した贈与者からの贈与を、その後暦年課税へ戻すことはできない。もっとも選択は贈与者単位であるため、選択していない他の贈与者からの贈与は従来どおり暦年課税として扱われる。
2024年1月1日以後の贈与について、暦年課税で相続開始前の一定期間内の贈与が相続財産に加算(生前贈与加算)される対象期間は、最終的に何年間に延長されたか。
- 3年間
- 5年間
- 7年間
- 10年間
正解 7年間
令和5年度(2023年度)改正により、生前贈与加算の対象期間は従来の相続開始前3年から7年に延長された(2024年1月1日以後の贈与が対象)。ただし延長された4年間(死亡前4〜7年)に受けた贈与については、その合計額から100万円を控除して加算する。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。