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権利関係② 物権変動・抵当権・借地借家法・区分所有法

民法177条の対抗問題は「登記なくして対抗できる相手(無権利者・背信的悪意者)か否か」の仕分けが核心であり、借地借家法・区分所有法は期間・書面要件・決議割合の数字暗記が得点に直結する。

物権変動の中心は民法177条である。不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ「第三者」に対抗することができない。ここでいう第三者とは、当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者を指す(大連判明治41年12月15日)。したがって無権利者・不法占拠者・背信的悪意者に対しては登記なくして対抗できる一方、単なる悪意者は第三者に含まれる点が頻出のひっかけである。また、取消し・解除・時効の場面では、その物権変動の「前」に現れた第三者か「後」に現れた第三者かで処理が分かれる。詐欺取消し前の善意無過失の第三者は民法96条3項で保護され、取消後・解除後・時効完成後の第三者とは対抗関係となり登記の先後で決する。相続では、法定相続分を超える部分の承継は登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できない(民法899条の2、平成30年相続法改正)。

抵当権は、債務者又は第三者(物上保証人)が占有を移さずに不動産等を担保に供する約定担保物権である(民法369条)。付従性・随伴性・不可分性・物上代位性の4性質を持ち、物上代位(民法372条・304条)では、目的物の売却・賃貸・滅失等により債務者が受けるべき金銭(賃料・保険金等)に対し、払渡し前に差押えをして権利行使できる。抵当権の効力は付加一体物(民法370条)に及び、抵当権設定当時の従物にも及ぶとするのが判例である。被担保債権のうち利息その他の定期金については満期となった最後の2年分に限り優先弁済を受けられる(民法375条)が、これは後順位抵当権者等を保護する趣旨であり、他に債権者がいない場合や債務者・設定者との関係では全額を主張できる。抵当権の順位の変更は各抵当権者の合意と利害関係者の承諾により可能で、登記が効力要件である(民法374条)。

抵当権と利用権の調整も頻出である。法定地上権(民法388条)の成立要件は、①抵当権設定当時に土地上に建物が存在すること、②設定当時に土地と建物が同一所有者に属すること、③土地・建物の一方又は双方に抵当権が設定されたこと、④競売により所有者を異にするに至ったこと、の4つである。更地に抵当権を設定した後に建物が築造された場合、法定地上権は成立しないが、抵当権者は土地とともに建物を一括競売できる(民法389条。ただし優先弁済は土地代金からのみ)。抵当権設定登記後に賃借した建物使用者は原則として買受人に対抗できないが、競売手続開始前から使用収益する建物使用者には買受けの時から6か月の明渡猶予期間が与えられる(民法395条)。第三取得者の保護としては代価弁済(民法378条)と抵当権消滅請求(民法379条。主たる債務者・保証人は請求不可)がある。

借地借家法の借地関係では、借地権の存続期間は当初30年以上(契約でより長い期間を定めればその期間)、最初の更新後は20年以上、2回目以降の更新後は10年以上である(借地借家法3条・4条)。地主側の更新拒絶には正当事由が必要であり(6条)、期間満了後も建物が存在し借地権者が使用を継続する場合は法定更新が生じる(5条)。借地権の対抗力については、借地権の登記がなくても、借地上に借地権者名義で登記された建物を所有すれば第三者に対抗できる(10条1項)。建物が滅失しても、一定事項を土地上の見やすい場所に掲示すれば滅失日から2年間は対抗力が維持される(10条2項)。定期借地権には、存続期間50年以上の一般定期借地権(22条・書面又は電磁的記録で特約)、事業用定期借地権(23条・10年以上50年未満・公正証書が必須)、建物譲渡特約付借地権(24条・30年以上)の3類型があり、事業用のみ公正証書限定である点が最頻出のひっかけである。

借家関係では、期間の定めのある建物賃貸借の更新拒絶通知は期間満了の1年前から6か月前までに行い、賃貸人側からの拒絶には正当事由が必要である(借地借家法26条・28条)。1年未満の期間を定めた普通建物賃貸借は期間の定めのないものとみなされる(29条1項)。建物賃借権は登記がなくても「建物の引渡し」があれば対抗力を生じる(31条)。定期建物賃貸借(38条)は、公正証書等の書面(電磁的記録も可)によって契約し、かつ契約前に「更新がなく期間満了により終了する」旨を記載した書面を交付して説明しなければならず(賃借人の承諾を得れば電磁的方法も可)、この事前説明を怠ると更新がない旨の特約は無効となり普通借家となる。定期借家では1年未満の期間も有効である点が普通借家との対比で問われる。借賃増減請求権(32条)につき、増額しない旨の特約は有効だが減額しない旨の特約は無効(定期借家では特約可)である点も重要である。

区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)では、集会の決議要件の数字が得点に直結する。原則は区分所有者及び議決権の各過半数(39条)、規約の設定・変更・廃止は各4分の3以上(31条)、共用部分の重大変更も各4分の3以上(17条。ただし区分所有者の定数のみ規約で過半数まで減じられる)、建替え決議は各5分の4以上(62条)である。集会は管理者が少なくとも毎年1回招集し、招集通知は会日の少なくとも1週間前(建替え決議のときは2か月前)に発する(34条・35条・62条4項)。規約の設定・変更等が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときはその者の承諾が必要である(31条1項後段)。共用部分の持分は専有部分の床面積(内法計算)の割合により、専有部分と分離して処分できない(14条・15条)。占有者(賃借人等)は、建物等の使用方法につき区分所有者が規約・集会決議に基づき負う義務と同一の義務を負い、会議の目的につき利害関係を有する場合は集会に出席して意見を述べることができる(46条2項・44条)が、議決権はない。

本章の学習戦略として、物権変動は「登記がなければ勝てない相手か、登記がなくても勝てる相手か」の仕分けを、抵当権は「物上代位の差押え」「375条の2年分」「法定地上権の4要件」を、借地借家法は「期間・正当事由・対抗要件・定期型の書面要件」の4点セットを、区分所有法は「過半数/4分の3/5分の4」の数字を、それぞれ確実に固めることが求められる。権利関係14問のうち借地借家法は毎年2問(借地1問・借家1問)、区分所有法は1問が定位置であり、本章だけで例年4〜5問分に相当する。民法の抽象論に深入りするより、条文の数字と要件を正確に暗記し、過去問の事例に当てはめる訓練を優先すべきである。特に定期借地3類型の期間と書面要件、定期借家の事前説明書面は、直近改正(電磁的記録の許容)を含めて最新の条文で押さえること。

この章の問題から3問

AがBに土地を売却したが登記は未了のまま、Aが同じ土地をCにも売却しCが登記を備えた場合、Cが単にAB間の売買を知っていた(悪意の)第三者であっても、Cは所有権取得をBに対抗できる。

正解 ○(正しい)

正しい。民法177条の「第三者」には単なる悪意者も含まれる(自由競争の範囲内)。登記なくして対抗できないのが原則であり、除外されるのは背信的悪意者・無権利者・不法占拠者等に限られる。「悪意だから保護されない」と誤解させるのが定番のひっかけ。

抵当権者は、抵当不動産の賃料債権に物上代位権を行使する場合、賃料が賃借人から抵当権設定者に払い渡された後であっても、差押えをすれば優先弁済を受けることができる。

正解 ×(誤り)

誤り。物上代位(民法372条・304条)は「払渡し又は引渡しの前に」差押えをしなければならない。払渡し後は設定者の一般財産に混入するため物上代位できない。差押えの時期要件を落とすひっかけ。

借地上に借地権者名義で登記された建物を所有していれば、借地権自体の登記がなくても、借地権者は借地権を第三者に対抗することができる。

正解 ○(正しい)

正しい。借地借家法10条1項。借地権の登記がなくても、借地上に借地権者「自己名義」で登記した建物を所有すれば対抗力が認められる。なお家族名義(例: 長男名義)の建物登記では対抗できないとするのが判例(最大判昭和41年4月27日)。

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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。