宅建業法② 業務規制・重要事項説明・8種制限
8種制限は「宅建業者が自ら売主・買主が非業者」の売買のみに適用され、クーリング・オフ8日・手付/損害賠償予定は代金の2割・保全措置5%/10%かつ1000万円・担保責任特約は「引渡しから2年以上」のみ有効、という数字の正確な暗記が合否を分ける。
宅建業法は、購入者等の利益保護のため業務全般に規制を課している。広告に関しては、誇大広告等の禁止(業法32条)により、著しく事実に相違する表示や実際よりも著しく優良・有利と誤認させる表示が禁止され、注文がなく取引が成立しなかった場合でも違反が成立する点が頻出である。また広告開始時期の制限(33条)により、未完成物件は開発許可・建築確認等の処分後でなければ広告できない。契約締結時期の制限(36条)も同様だが、貸借の媒介・代理は契約締結時期の制限の対象外(広告は対象)という対比が本試験の定番論点である。取引態様の明示義務(34条)は、広告時と注文を受けた時の双方で必要であり、広告で明示済みでも注文時に改めて明示しなければならない。
媒介契約の規制(34条の2)では、専任媒介契約の有効期間は3か月以内(超える定めは3か月に短縮)、依頼者への業務処理状況の報告は専任媒介で2週間に1回以上、専属専任媒介で1週間に1回以上、指定流通機構(レインズ)への登録は専任媒介で契約締結日から7日以内(休業日除く)、専属専任媒介で5日以内(休業日除く)と定められている。媒介契約書面(34条の2書面)は売買・交換の媒介で交付義務があり、貸借の媒介には不要である。なお法改正により、媒介契約書面・重要事項説明書・37条書面はいずれも依頼者等の承諾を得て電磁的方法による提供が可能となった(押印義務も廃止)。数字の組合せを問う出題が毎年のように見られる。
重要事項説明(35条)は、宅建業者が契約成立前に、宅地建物取引士をして、取引士証を提示させた上で書面(または電磁的方法)を交付して説明させる義務である。説明の相手方は買主・借主等(取得しようとする者)であり、売主には不要である。相手方が宅建業者の場合は書面交付のみで足り、説明は省略できる(35条6項・7項)。IT重説はテレビ会議等により売買・貸借とも実施可能である。説明事項として、登記された権利、法令上の制限、私道負担(建物の貸借では不要)、水道・電気・ガスの整備状況、代金以外に授受される金銭、契約解除、手付金等保全措置の概要、水害ハザードマップにおける所在地、建物状況調査(実施後1年以内、鉄筋コンクリート造等の共同住宅は2年以内)の結果の概要などが問われる。
37条書面(契約書面)は契約成立後遅滞なく両当事者に交付する。必ず記載する事項(必要的記載事項)は、当事者の氏名・住所、物件の特定、代金・借賃の額と支払時期・方法、引渡し時期、移転登記の申請時期(貸借では不要)であり、定めがあれば記載する事項(任意的記載事項)には、契約解除、損害賠償額の予定、手付金等保全措置(貸借では不要)、契約不適合責任に関する定め等がある。35条書面と37条書面の記載事項の比較、売買と貸借での要否の違いが最頻出である。報酬規制では、売買の媒介の報酬限度額は代金400万円超なら「代金×3%+6万円」に消費税を加えた額であり、依頼者双方から受ける場合も各人からこの限度まで、代理はその2倍が上限となる。低廉な空家等(800万円以下)の売買では媒介の特例上限30万円(税抜)が認められる改正にも注意する。
8種制限は、宅建業者が自ら売主となり、宅建業者でない者が買主となる売買契約にのみ適用される(業者間取引には不適用・78条2項)。①クーリング・オフ(37条の2)は、事務所等以外の場所で買受けの申込みをした場合、書面で告げられた日から起算して8日を経過するまで書面により撤回・解除でき、業者は損害賠償・違約金を請求できず受領した金銭を速やかに返還する。ただし宅地建物の引渡しを受け、かつ代金全部を支払ったときは不可。買主が自ら申し出た自宅・勤務先で申込みをした場合は「事務所等」に当たりクーリング・オフできない点がひっかけの定番である。効力は書面を発した時に生じる(発信主義)。
②手付は必ず解約手付とみなされ、その額は代金の2割(10分の2)を超えて受領できない(39条)。買主は手付放棄、売主は倍額を現実に提供して、相手方が履行に着手するまで解除できる。③損害賠償額の予定と違約金は合算して代金の2割を超えてはならず、超える定めはその部分が無効となる(38条)。④手付金等の保全措置(41条・41条の2)は、未完成物件では代金の5%または1000万円超、完成物件では10%または1000万円超の手付金等を受領する前に、銀行保証・保険・(完成物件のみ)指定保管機関による保全が必要である。買主への所有権移転登記がなされたときは保全不要。保全措置を講じなければならない場合に業者が保全措置を講じないときは、買主は手付金等の支払いを拒むことができる。
⑤自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限(33条の2)により、他人物売買は物件を取得する契約(予約を含む。停止条件付きは不可)を締結している場合を除き禁止され、未完成物件は保全措置を講じた場合を除き禁止される。⑥契約不適合責任(担保責任)の特約制限(40条)では、民法(2020年債権法改正後の566条)より買主に不利な特約は原則無効だが、「不適合を通知すべき期間を引渡しの日から2年以上とする特約」のみ有効とされる。「引渡しから1年」とする特約は無効となり、その場合は民法の原則(買主が不適合を知った時から1年以内の通知)に戻る点が最重要のひっかけである。⑦割賦販売契約の解除等の制限(42条)は30日以上の相当期間を定めた書面による催告が必要、⑧所有権留保等の禁止(43条)は代金の3割を超える支払いを受けた後の所有権留保を原則禁止する。
本試験では宅建業法から20問出題され、本章の範囲(重要事項説明・37条書面・8種制限・媒介契約・報酬)だけで例年8〜10問を占める合否の分水嶺である。学習法としては、①35条と37条の記載事項を売買/貸借の別も含め表で対比する、②8種制限は「業者間には適用なし」を全問の前提として最初に確認する、③数字(3か月・2週間/1週間・7日/5日・8日・2割・5%/10%・1000万円・2年・30日・3割)を正確に暗記する、の3点が得点に直結する。個数問題(「正しいものはいくつあるか」)での出題が増えているため、曖昧な知識を残さず全肢を根拠付きで判定できる精度まで仕上げることが求められる。
この章の問題から3問
宅地建物取引業者が誇大広告を行った場合、その広告を見た者から注文がなく、取引が成立しなかったときは、宅建業法第32条の誇大広告等の禁止の規定に違反しない。
正解 ×(誤り)
誤り。誇大広告等の禁止(宅建業法32条)は広告行為そのものを規制するため、注文や契約成立の有無にかかわらず、著しく事実に相違する表示等をした時点で違反が成立し、監督処分・罰則(6月以下の懲役等)の対象となる。「実害がなければ違反にならない」は定番のひっかけ。
宅地建物取引業者は、建築確認を受ける前の建物について、貸借の媒介に係る広告をすることはできないが、貸借の媒介に係る契約を締結することはできる。
正解 ○(正しい)
正しい。広告開始時期の制限(業法33条)は売買・交換・貸借のすべての取引態様に適用されるが、契約締結時期の制限(36条)は売買・交換のみが対象で、貸借の媒介・代理には適用されない。広告と契約で規制範囲が異なる点が頻出の対比論点。
重要事項説明の相手方が宅地建物取引業者である場合、宅地建物取引士は重要事項を記載した書面を交付すれば足り、その内容を説明する必要はない。
正解 ○(正しい)
正しい。平成28年改正(平成29年4月施行)で追加された業法35条6項により、相手方が宅建業者の場合は35条書面(重要事項説明書)の交付(承諾を得れば電磁的方法も可)のみで足り、取引士による説明は不要。書面交付自体の省略はできない点に注意。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。