財務諸表の表示(財規・会社計算規則)
財規=金商法・財務諸表(CF含む)、会社計算規則=会社法・計算書類(CF含まず)という制度の対比を軸に、総額主義と流動固定分類(営業循環→一年基準の順)、純資産の区分(株主資本・評価換算差額等・新株予約権/連結は包括利益累計額・非支配株主持分)を正確に押さえる。
財務諸表の『表示』は、二つの制度を起点に理解する。一つは金融商品取引法に基づく『財務諸表等規則(財規)』で、有価証券報告書に載せる財務諸表(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・キャッシュ・フロー計算書・附属明細表)の用語・様式・作成方法を定める内閣府令である。もう一つは会社法に基づく『会社計算規則』で、すべての株式会社が作成する計算書類(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表)の基準を定める法務省令である。前者は投資家保護、後者は債権者・株主保護を主目的とし、根拠法令が異なる。会社法の計算書類(連結計算書類を含む)にはキャッシュ・フロー計算書が含まれない点は試験頻出の差異である。
表示を貫く一般原則として、明瞭性の原則・総額主義の原則・継続性の原則・重要性の原則がある。総額主義は資産と負債、収益と費用を相殺して純額表示することを禁じ、企業の全体像を隠さず開示させる。一方で重要性の原則は、金額や質的に重要性の乏しい項目について区分掲記や注記の省略など簡便な処理・表示を認める。この二つは矛盾せず、『原則は総額で明瞭に、ただし重要性が乏しければ簡便でよい』と両立的に理解する。
貸借対照表は、資産の部・負債の部・純資産の部に大別する。資産・負債の流動固定分類は、第一に正常営業循環基準(営業循環内の項目は期限にかかわらず流動)、第二に一年基準(決算日の翌日から1年以内に期限到来なら流動、超えれば固定)という順序で判定する。長期借入金のうち1年内に返済期限が到来する部分は『1年内返済予定の長期借入金』として流動負債へ振り替える。資産には流動資産・固定資産(有形・無形・投資その他の資産)・繰延資産の区分がある。
純資産の部は、個別貸借対照表では『株主資本(資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式)』『評価・換算差額等(その他有価証券評価差額金等)』『新株予約権』に区分する。自己株式は株主資本から控除(マイナス表示)する。連結貸借対照表では、『評価・換算差額等』に代えて『その他の包括利益累計額』を用い、さらに『非支配株主持分』を表示する点が個別との違いである。その他有価証券評価差額金は株主資本ではなく評価・換算差額等に属することを取り違えないこと。
損益計算書(区分式)は段階利益で構成する。売上高−売上原価=売上総利益、−販売費及び一般管理費=営業利益、±営業外損益(受取利息・支払利息等)=経常利益、±特別損益(固定資産売却損益・災害損失等)=税引前当期純利益、−法人税等=当期純利益、の順である。どの項目がどの区分に属するか(特に経常利益と特別損益の線引き)を正確に判別できることが、計算・理論双方の得点源になる。
この章の問題から3問
財務諸表等規則(財規)は金融商品取引法に基づく財務諸表の用語・様式・作成方法を定めた内閣府令であり、会社計算規則は会社法に基づく計算書類等について定めた法務省令である。
正解 ○(正しい)
財規は金商法(旧証券取引法)系の開示制度、会社計算規則は会社法系の計算書類制度に属する。両者は根拠法令が異なり、対象書類(財務諸表 vs 計算書類)も用語が異なる。
会社計算規則上、株式会社が作成すべき「計算書類」に含まれないものはどれか。
- キャッシュ・フロー計算書
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 貸借対照表
正解 キャッシュ・フロー計算書
会社計算規則上の計算書類は、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表の4つ(事業報告・附属明細書は計算書類とは別)。キャッシュ・フロー計算書は会社法の計算書類には含まれない。なお会社法の連結計算書類にもCF計算書は含まれず、CF計算書は金商法に基づく財務諸表・連結財務諸表でのみ作成が求められる点に注意する。
財規では、資産・負債を流動・固定に分類する基準として、まず正常営業循環基準を適用し、これに該当しないものについて一年基準(ワン・イヤー・ルール)を適用する。
正解 ○(正しい)
流動・固定分類は、(1)正常営業循環過程内にあるものを流動とし、(2)それ以外について決算日の翌日から1年以内に履行期・回収期が到来するものを流動、それを超えるものを固定とする二段階で判定する。
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本ページの講義ノートと問題は、各試験の出題範囲に基づきAIが作成し、法令・基準に照らして別のAIレンズで敵対的に検証したものです(検証プロセス)。法改正等で誤りが見つかった場合は随時修正します。合格を保証するものではありません。